分光測光距離と運動距離を用いて、太陽から 8 kpc にまで達する HIIRsに よる渦状構造がマップ化された。分光測光距離は Balona, Crampton 1974 と Walborn 1972, 1973 による OB 星絶対等級較正に基づいている。運動距離は Georgelin 1974 が提案した南北銀河系で異なる回転速度を使用して求めた。 | HIIRsの運動解析から太陽運動成分 Uo = -7.2 km/s, Vo = 14.7 km/s, それにオールト定数 A = 14.4 km/s/kpc が求まった。 太陽から数 kpc 内の HIIRs と OB-星の運動は同じで、両者は同じ回転速度を有し、さらに、星と ガスの運動に系統的速度差は検知されなかった。Ro=9kpc. |
最近、HIIRsとそれに関係する星の観測データが大量に増えた。そこで、
それらの再解析から以下のようなことを研究する。 (i) 励起星までの分光測光距離 (ii) HIIRs の分光測光距離と視線速度から決まる回転曲線 |
(iii) HIIRsの空間分布と渦状構造
(iv) HIIRsの銀河系定数 Uo, Vo, A, α と OB-星のそれら この論文は可視天体に限定するが、将来は電波天体に拡張する予定である。 |
![]() 表1.OB-星の絶対等級較正 OB-星の絶対等級 MK-スペクトル型からの OB-星の絶対等級は Walborn 1972 と Balona, Crampton 1974 の与えた値の平均から決めた。表1がその結果である。 Hγ 等値巾からの絶対等級は Balona. Crampton 1974 の較正を用いた。 両者の平均で等級精度を上げた。WR-星には Crampton 1971b に基づく新しい 較正を行った。表2に WR-星の較正結果を示す。 |
![]() 表2.WR-星の絶対等級較正 赤化 MK-スペクトル型から決めた固有カラーを用いて、UBV 測光と組み合わせて、 Crawford 1971 の関係式で赤化を求めた。Av/E(B-V) = 3.0 を使用した。 平均距離と視線速度は全ての HII 領域内の星に対して求める。銀河星団が 付随している場合は主系列フィットによる距離も求める。 |
非対称回転曲線 可視電波観測の運動、形態学的な検討から Georgelin 1974 PhDT は回転曲線が 北銀河と南銀河で異なると結論した。 R = 7 - 13 kpc では、可視データ(HIIRs と励起星)は南曲線は北曲線より高く、 Kerr 1970 の HI の解釈と一致する。 少なくとも R = 7 - 9 kpc では。R < 7 kpc では、再結合線、分子線、星間 Ca 吸収線観測から、南曲線は北曲線より低い。これも 21 cm 観測と一致する。 |
二つの回転曲線による運動距離 分光測光距離が得られない場合、この論文の図1では可視運動距離を用いた。 それらの距離は二つの回転曲線を用いた。その結果、恒星距離が運動距離よりも 大きくなるという現象が緩和された。 |
図1=可視 HIIRs の分布 図1には可視 HIIRs の分布を示す。 Ro = 9 kpc を仮定した。図中の円は 3 kpc 膨張腕 (Rougoor, Oort 1960) を表す。丸の大きさと濃さは HIIR の サイズと強さを示す。分光測光データは r < 4 kpc まで で、その先 8 kpc までは運動距離が用いられた。 Becker (1964) でなじみ深い3つの腕の断片が見える。例えば MK-距離と Hγ 距離の 双方が知れている星や、複数個の星がある HIIRなど、距離精度の高い天体のみ をプロットすれば、腕はよりはっきり現れる。全体の分布は銀河星団 (Moffat, Vogt 1973), や O-型星 Walborn (1973) のそれらと良く合う。 ペルセウス腕 Morgan, Sharpless, Osterbrock 1952 や が提案したこの腕は l = [100, 140], r = 2.5 kpc にある。 Georgelin, Georgelin, Roux 1973 は腕が l = 198 まで伸びている証拠を示した。この結果は Lindblad 1967 の HI 21 cm の結果と合致する。銀経の小さくなる方向ではこれが主要腕として 伸びているかどうかの証拠がない。これを局所腕と繋げたい気はする。 局所腕 とも座(Puppis) 方向には 10 個の HIIRs があり、局所腕を Pup OB2 アソ シエイションまで (Bok et al. 1967, Havlen 1972) 伸ばしている。この 方向で遠方にある二つの HIIRs (Fitzgerald, Moffat 1974 in preparation だが ADS で見つからず。)はペルセウス腕の外側の腕に属するのかも知れない。 その反対側 l = 70 方向では r = 8.2 kpc にある遠方 HIIRs 群が電波で Wynn-Williams 1969 により発見された。この HIIRs 群は最近、 Georgelin, Georgelin, Roux 1973 可視光で研究され、Crampton 1973 (unpublished) はそのスペクトルを撮った。 この遠方 HIIRs 群はおそらくペルセウス群に属する。この方向の遠方領域を 観測することで、局所腕とペルセウス腕がつながるかどうかの疑問が解消する 筈である。 |
サジタリウス・カリーナ腕 HIIRsは l = [290, 40] で繋がっている。これは Georgelin, Georgelin 1970 が lv-図で示した連続性の結論とも一致する。HI 21 cm データにおいても、 Weaver 1970 が全く同じ方法で同一の結論に達していた。HIIRsはカリーナ方向少なくとも 8 kpc まで伸びている。これは、 Bok 1970 や Humphreys 1970 による腕追跡天体の研究結果と合う。l = [32, 50] では減光が強いため 遠方可視 HIIRs の発見はない。 ノルム・ケンタウルス腕 最内側腕、または Courtes,Georgelin,Monnet 1970 の用語ではノルマ・ケンタウルス腕には r = 4 kpc の所に 13 HIIRsがある。 Weaver 1970 はこれをスパー=突起または "feature" と看做した。 主要腕は? Ro が 10 kpc 以下である証拠が増えている。Balona, Feast 1974 は Ro = 9 kpc を与えた。可視観測は 9 kpc 近くまで来ているが、これ以上は電波 観測が必要である。H109α は有望である。図1に示す可視天体分布と Mezger 1970 による H109α データから考えると、二本の主要腕があり、それに枝 や羽が付いているのではないか?図1を見ると、この可能性を探求するには l = [20, 70] と l = [320, 350] 領域の研究が重要である。 |
今回, 分光測光距離が判った HIIRs が 158 と前回の研究から倍増したので、 それを使って、太陽運動と銀河系回転定数を求めた。結果を表3に示す。 それらは Balona, Feast 1974 の結果と良く合った。 |
![]() 表3.太陽運動と銀河回転定数 |
Minn, Greenberg 1973 は星とガスの速度差が銀経と共に変化することを示 し、その原因が渦状構造に伴う密度波にあると主張した。52 HIIRsデータ から、しかし、Moore 1972 はそのような差がないと述べた。 | 今回 101 HIIRsデータを図2にプロットした。銀経に伴う変化は見えない。 Minn, Greenberg 1973 が使用したデータに絞ると、変化が見えるので、差が 新しいデータ追加に依ることは明らかである。 |
良く分からない。 |