O-型星の2次元分類システムに関する新しい結果を提示する。新しく追加し た南北天の星の分類が与えられ、特異な Of-的スペクトルの二つの群が述べら れる。絶対等級に関する修正を議論した。正常な O-型星の分類と分布を示す。 | 最も驚くべき結果は、カリーナ・サジタリウス腕が l = [285, 20] の間 全区間で局所腕から分離していることである。他の若い天体に関する以前の 結果との良い一致は O-型星の新しい光度分類を支持する。 |
O-型星分光光度の必要性 太陽近傍の銀河系構造の研究で O-型星は排除されることが多かった。主に その光度がよく決まらないことが原因である。O-型星の絶対等級は最も早期 で 1.5 等、O9 で 3.0 等と差が大き過ぎる。しかし、より晩期型ではこの差 はもっと大きいので、サブタイプに分けられるなら、十分使用可能なはずで ある。そこで、分光的な光度分類が試みられた。このため、新しく O-型星の スペクトルが撮られた。 |
274 個の O-型星の2次元分類が行われた。これ等のサンプルは一様で南北の 両天に渡っているという利点がある。従って、銀河系構造の研究にも適している。 |
.O-型星分類の較正用標準星を表1に、プレート II には O6.5 - O7 の
スペクトルを示す。これを見ると二つの特徴に気付く: (i) NIII 輝線と HeII-λ4686 が SiIV λ4089 とよく相関して いる。 SiIV λ4089 は晩期 O-型で光度のよい指標である。 (ii) 光度が上がるにつれ λ4686 ラインが吸収から輝線へと滑らかに 変化していく。 183 星の2次元スペクトル分類が表2に示される。これまでに分類され た O-型星の全てがこのリストに含まれる。 |
![]() 表1.O-型星分類の較正用標準星 |
![]() 表3.絶対等級較正の追加星=星団に属する O-型星 |
![]() 表4. O-型星絶対等級較正の平均値 新しく観測された O-型星の多くが、独立に決められた距離指数のグループ =星団に属していた。それらを表3に示す。 新しく決まった O-型星絶対等級較正の平均値を表4に示す。以前と異なる点は O6 - O8.5 主系列星である。これは IC 1805 と IC 2944 で多数の O6-8.5 星 サンプルが得られるようになったためである。以前はサンプル数不足のためこの 領域は一括して処理されていた。最も大きな変化は O8-O8.5V で起きた。 |
4.1.図1a = 解釈を入れない図エラーが筋に26特異星と11非測光星を除く 237 O-型星は今回のスペクトル分類から 距離が決まった。それらの空間分布を図1a に示す。Av/E(B-V) = 3.0 を 採用した。図1(a) を見ると、距離エラーが大きなアソシエイションで 太陽に向かう短い筋として現れている。筋は距離 2kpc で長さ 0.5 kpc くらい ある。絶対等級エラーとしては 0.5 等に相当する。 O-型星がない! l = [270, 285] と [20, 55] 方向には O-型星が見つからないのは目立つ。 また、l = [285, 20] では太陽近傍の最も見つけやすい部分に空白部が存在す る。この二つは合わさってはっきりした草刈り跡のような模様を作り出す。 この帯は局所腕とカリーナ・サジタリウス腕を分離する空白部なのである。 この結果は超巨星 Humphreys 1970、 や様々な若い天体 Moffat, Vogt 1973 の空間分布と共通の特徴を有している。 |
4.2.図1b = 解釈を入れた図星団位置図1b では図1a に対する可能な解釈を提示する。この図では 11 星団と アソシエイションを各グループの平均位置として示す。それらは、NGC6530, VI Cygni (=Cygnus OB2), Cepheus OB3, IC1805, NGC1892, Orion OB1, NGC2244, Trumpler14, Trumpler16/Collinder228, IC2944, Scorpius OB1 である。 IC1805 と NGC2244 は R=3 と R=4 の場合を描いて線で結んだ。 IC1805 では R=4 はこの星団をペルセウス腕と局所腕の中間の腕間領域に引き出すことに 注意。 サジタリウス腕の折れ曲がり l = 20 付近でサジタリウス腕は急に角度を付けるのは等級選択効果である。 それは破線で示した。多くの暗く、赤化の大きな O-型星が l = 20 - 30 領域 に見つかっているが、 l = 30 - 55 領域にはない。図1b には 2 kpc 円を 描いてある。この円の先では距離エラーが大きい。 局所腕の枝分かれ 局所腕は二つに分かれて見える。以前は外側の枝はシグナス領域からの 傾きに対し非連続に跳ね上がると考え、 Humphreys 1970、 それをオリオンスパーと呼んでいた。しかし、今回の図では、 そちらの方がシグナス側の傾きに連続的につながって見える。逆に内側枝、 Puppis-Vela 枝、は急な折れ曲がりを示す。カリーナ・サジタリウス腕の カリーナ・ケンタウルス部は Puppis-Vela 枝と平行に並ぶ。このような 現象は 銀河 NGC1232 でも見られる。興味深いのは Becker 1964 が独立にこの点を指摘していることである。 |