アレシボから見える |b| ≥ 10°, |l| < 90° 範囲には F25 ≥ 2 Jy の OH/IR 星が 62 個存在する。それらは IRAS カラーで選択され た候補星に対し OH 探査を行った結果である。そこには 4 つの O-リッチ PPNs も含まれる。その一つ 18095+2704 の膨張年齢 103 年を使って、高銀緯星の 1612 MHz 放射期間を平均 1670 年と較正できた。これは WX Psc の恒星表面 から 1612 MHz 放射帯までの星風到着時間 770 年と同程度であり、また熱パ ルスによる光度突出期間 500 年とも近い。サンプル内の 118 OH/IR 疑似天体 =OH/IR 星と同じ星周カラーを持つが 1612 MHz メーザーナシ、に対応する OH メーザーナシの PPN はしかし、一つ しか存在しない。 | もし OH/IR 疑似天体が独立に PPN 期を通過するなら 8 ≒ 118 x (4/58) PPNs が想定されるのにである。したがって、疑似天体の大部 分は前駆 OH/IR 星である可能性が高い。超星風期の長さは赤外天体全体の数と PPN の数とから 103 x (58+117)/(4+1) = 3605 ≒ 3700 年である。しかし ながら、半銀河中心方向の OH/IR 星と疑似天体に対応すべき O-リッチ PPN が 一つもないという事実に、二つの炭素星と 4 つの C-リッチ PPN があることを 考えると、反中心方向の OH/IR 星の大部分は AGB 期を C-リッチ PPN として 離れることが強く示唆される。これは高銀緯星の超星風は循環的であること を直接に意味する。(全然意味が通らない!) |
長い SW 期説 5 Mo 星が 10-4 Mo/yr で 4 Mo 失い 1 Mo 縮退コアを残すには 40,000 年必要。1 Mo 星が 10-5 Mo/yr で 同じ期間経つと、 0.4 Mo 失い 0.6 Mo 縮退コアを残す。1612 MHz 放射帯までの到達時間は 300 - 1000 年である。したがって OH/IR 星のシェルは一定マスロスで扱って構わ ない。その場合、CO は OH より一桁以上広がる。これが OH/IR 星の CO が弱 いことを異常 Heske90 としている。また、OH/IR 星と同じ IRAS カラーを持ち ながら OH メーザーが検出されない疑似天体が 75 % もある説明もできない。 短い SW 説 SW 期間が短いと指摘したのは Pottasch 84 が最初である。彼は PN の高密 度部の半径を膨張速度で割って 2 - 10 103 年という数字を出した。 続いて、 Lewis, Eder, Terzian (1990) は |b| > 10° OH/IR 星の 1612 MHz メーザー放射期間を、PPNs との 数の比から、1000 年であるとした。 |
続いて David, Papoular 1992 は高質量
OH/IR 星の カラー をフィットするには、dM/dt が時間と共に指数関数的に
増加する必要があるとした。JUsttanont et al 1996 はさらに進めて、
OH 26.5+0.6 の FIR, CO 観測を再現するために、突然の超星風開始を導入し
た。最後に Olofson et al 1993 は 600 pc 以内の炭素星完全サンプル 68 個
内に分離 CO シェルの例を 3 つ発見した。これは泉浦らの U Ant のダスト
シェルの発見に次ぐものである。
アレシボ再訪 ここでは、カラー選択した IR 星の観測を用いて、アレシボの結果を再訪 する。我々の超星風期間の評価は PPN の数に基づいている。 PPNs は 1612 MHz より 1665, 1667 MHz の方が強いので、その観測結果も使用する。 |
マスロス停止で赤くなる AGB マスロス終了後、星は青くなるが、残骸シェルは膨張を続け低温となる ので IR カラーは赤くなる。 Volk, Kwok (1989) は IRAS 二色図で PPN が OH/IR 星領域から右の方に離れて行くことをモデル で示した。図1を見よ。 18095+2704 の年齢 18095+2704 は Hrivnak, Kwok, Volk (1988) が研究した典型的な O-リッチ PPN で, 1612, 1665, 1667 MHz OH メーザー が検出されている。彼らは SED をモデルフィットして得たシェル内径と OH の膨張速度とから、分離シェルの年齢を 103 年とした。 (論文には違う数字。 ) 高銀緯 OH/IR 星が良い理由 (1) 狭い質量範囲 質量上限は軌道進化で銀河面から離れるのに要する時間=主系列寿命、で決まる。 下限はハッブルタイムから 0.8 Mo. (2) IR カラーの巾が狭い (3) 18095+2704 がメンバーに含まれる tws の新しい導出が可能 Lewis, Eder, Terzian (1990) は、アレシボサーベイの初めの2区画のデータ化エア tsw の暫定値を導いた。 この値は完全サーベイデータと 22GHz サーベイ(Engels, Lewis 1996)を用 いて改訂可能である。 |
![]() 図1.アレシボで 1612 MHz メーザーが検出された天体。強調は |b|>10 (25-12) = log [S(25)*12*0.89/S(12)*25*1.09] = log(S25/S12)-0.32-0.09, (60-25) = log [S(60)*25*0.82/S(25)*60*0.89] = log(S60/S25)-0.38-0.04. |
メーザー源の二色図 Olnon, Baud, Habing, de Jong, Harris, Pottasch (1984) はメーザー星の系列を IRAS 二色図上に描いた。アレシボ δ - [0,38] 領域で F12 > 2 Jy の OH メーザー源のカラー区分は、 (60-25) < -0.9 で、-0.7 < (25-12) < +0.25 -0.9 < (60-25) で、2.0x(25-12) - 0.9 < (60-25) < 2.25x(25-12) (25-12) = log(S25/S12)-0.41, (60-25) = log(S60/S25)-0.42 を使うと、 log(F60/F25) < -0.48 で、-0.29 < log(F25/F12) < +0.66 -0.48 < log(F60/F25) で、 2.0xlog(F25/F12)-1.3 < log(F60/F25) < 2.25x(F25/F12)-0.5 図1にはアレシボ OH/IR 天体の二色図を |b|>10 源に強調を付けて示す。 大部分は pre-IRAS OH/IR 星とミラ型星をつなぐカラー帯に存在する。 -0.38 < (25-12), つまり 0.03 < log(F25/F12) にはサンプル星が殆ど 存在せず、あったとしても全体の集合の縁にへばりついたものである。 表1=リスト 表1には S(25) ≥ 2 Jy の 1612 MHz, |b| 6gt; 10 アレシボ天体 81 個 のリストを載せる。周期は GCVS, Whitelock et al 1994 および Jones, Bryja, Gehrz, Harrison, Johnson, Klebe, Laurence (1990) から採った。 図2=ΔV 図2には ΔV と (25-12) の関係、および二色図を示す。プロット点は メインラインと水メーザーの検出状況をコード化してある。大部分の点はどち らも検出されていることを示す。 図2a の右半分側にある天体は 22 GHz =水メーザーが検出されないのに、 反対側では大部分で検出されているのは注目すべきである。 同様に、図2c において、メインラインが検出されない(水非検出の間違い?) 3天体は赤い側の端に固まっている。これらは Lewis (1989) が提案した時間系列から期待されるパターンと一致している。 |
PPNs の特徴 そう言うわけで、18095+2704, 19386+0155 = 1612 MHz よりメインラインが 強く、水メーザーを持たない赤い天体、は PPNs なのである。一方、図の青半分 にある星は OH/IR 星、またはミラ型星である。 ミミックの検出率は低い それら OH/IR 星における水 メーザー検出率 92 %, メインライン 97 % という高い検出率は、カラー選択 した最初のサンプルの 75 % を占めるミミックと好対照を示す。 (数字の表現が整理されていないので イライラする。ミミックって 1612 MHz 非検出の星? ) ミミックでは、水メーザー検出率は 36/111 = 32 %、メインラインは 41/206 = 20 % である。 YSO ? 03220+3035, 03237+1149, 04236+2559, 04305+2414 は図2の赤い側星の半数 だが、膨張速度が決まらない。それらは 1612 MHz と同じ速度に孤立した 1665, 1667 MHz ラインを示す。さらに 4 天体は RA = 3 - 5 h で Orion-Taurus 分 子雲複合に近い。したがって PMS 星の可能性がある。 ミミック カラー選択した |b| > 10 の IRAS 天体中 75 % は 1612 MHz 非検出である。 これらの内で赤い天体は Lewis 1992 により、ミミックと名付けられた。 -0.7 < (25-12) < -0.38 という OH/IR 星の狭いカラー巾により、この 命名をここでも使ってよいだろう。ミミックの多くは M-型の通常のミラ型星で P = 300 - 450 d である。ミミックの割合は (25-12) > -0.5 では 29 % 以下に低下する。 |
スペクトル型が決まる PPNs は赤い PPNs と同定する方法は、カラーで粗選択した後、 (1)スペクトル型が K より早期である。 (2)SED が双峰型である。 Hrivnak, Kwok, Volk (1989) (1)のまとめは (Hrivnak, Kwok, Geballe, 1994. 以降 HKG) に述べられ、ここで扱う |b| > 10° には 4 個の PPNs を見出した。 残りの内3個はその範囲外で、3個は 6 < |b| < 10 である。 このように、PPNs は稀な天体ではないが、HKG サンプルは極めて赤い。というのは スペクトル型が決まるほどの量の光を透過させるには、ダスト外層が薄く低温 になる必要があるからである。その結果、多くはアレシボサーベイのカラー領域 の縁の向こう側に存在する。 急速遷移区間の星 PPN 典型例 IRAS 18095+2704 は HKG サンプル中最も青い星で、 F25 = 126 Jy の F3 Ib 星で、双峰型 SED (Hrivnak, 1988) を示す。1612 MHz OH は弱い。大部分の |b|>10 OH/IR 星が存在する (25-12) < -0.4 カラー領域から現在のカラー +0.04 への移動が急速なため、 この中間カラー区間には PPNs が殆ど存在しない。それにもかかわらず、図2には -0.38 < (25-12) < 0.25 区間に 7 つの天体が存在する。 (何のリスト? ) |
その上、元々
のサンプルはこのカラー領域に 43 天体を含んでいる。それらを表2に示す。
その中には2つの炭素星と3つの C-リッチ PPNs を含む。これらは HKG リストから
サンプルに入ってきた。
反銀河中心方向の PPNs 期待値 表2天体の多くはオリオンータウルス領域にあり、多くは YSOs であろう。 12は Weintraub の PMS 星リストに載っている。他の多くもカラーからやはり YSOs と思われる。|l| > 90 の反銀河中心方向には (25-12) = [-0.7, -0.4] 区間に 113 IR 天体がある。残りのアレシボ探査領域にが IR 天体 175 個、その内 7個の PPNs があることから、7*(113/175) = 4.5 個の PPNs が期待される。 YSO の分別 YSOs はしばしばメインライン OH の方が 1612 MHz より強い。そのスペク トルの 1667/1665 = 9/5 という熱放射の比率になっている。したがって メインラインの系統的観測から PPNs を選び出すことが可能である。 |
![]() 図3.PPN IRAS 19386+0155 の OH スペクトル |
![]() 図4.PPN IRAS 20531+2909 の OH スペクトル |
![]() 図5.IRAS 20136+1309 の 1667 MHz スペクトル 3.1.観測手続きOH 観測を必要とする天体は次の3つである。(1)表1にある YSO ではないかと疑われる 4 天体。 (2)PPN 候補 IRAS 20531+2909 (3)表2にあり、 PPN スクリーニングを必要とする天体。 3.2.観測結果(60-25) > -0.8 には PPNs が一つもないOH が一本しかない 1612 MHz 検出天体を再観測し、第2ラインを探した。 どれにも見つからず、03237+1149 と 04236+2559 に至っては 1612 MHz 自体 が非検出となった。ただし、 1665, 1667 MHz は見つかった。表3にそれらを まとめた。強度比が 9/5 であることからこれらは OH/IR 星というよりは、 YSO の可能性が高い。以降では YSOs として扱う。すると、 図2から分かるように、 (60-25) > -0.8 には PPNs が一つもないことと なる。 メインライン検出 YSOs 表2に載っている星の大部分はメインライン非検出である。12個がメイン ライン検出であり、どれも 1665 と 1667 MHz の双方で検出されている。 19386+0155 と 20136+1309 を除くとそれらは巾が狭い、一本ラインで、 強度比が熱放射の値に近い。8天体は (60-25) >: -0.8 である。それらの 5個は Weinstaub 1990 のPMS リストにあるので YSO であることは確かで あろう。それより青い (60-25) < -0.8 の 03256+3107 と 04111+2804 も YSO と思われる。 |
![]() 図6.PPN IRAS 19114+0002 の 1665 MHz スペクトル. 一番強い 1167 MHz や 1612 MHz に比べ 100 倍も弱い。 候補を狭める (60-25) >: -0.8 のメインライン非検出 19 天体はオリオンータウルス領域 にあることから PMS 星ではないかと思われる。実際、その内 5 個は Weinstaub 1990 のPMS リストにある。こうして、表2にある天体から O-リッチ PPN を探し出す作業は、残り14個にまで狭まった。今回のプロジェクトの 成功例の一つは 19386+0155 で、 1612, 1665, 1667 MHz の検出から PPN であ ろう。もう一つは 20136+1309 における 1667 MHz の検出である。 図3= 19386+0155 図3は 19386+0155 のスペクトルである。スペクトルは 18095+2704 の 1667 MHz スペクトル (Lewis, Eder, Terzian 1990) に、カラーも含め、似ている。この SED は双峰型で (van der Veen, Habing, Geballe, 1989) が予想した PPN の特徴に合う。この天体の 1612 MHz ラインは (Lewis, Eder, Terzian 1990) では検出されなかった。当時の観測から今回は進歩している。 図4= 20531+2909 図4は 20531+2909 のスペクトルである。3 本の OH ラインが見えるが、 1665, 1667 MHz が 1612 MHz より低い点で Lewis, Eder, Terzian 1990 の観測と異なる。特に彼らのスペクトルでは 1667 MHz が狭くて強いライン を示していた点が違う。 図5=20136+1309 とず6=19114+0002 20136+1309 は弱い 1667 MHz があるが、1612 MHz はない。図5にそれを 示す。有名な 19114+0002 は HKG でも調べられているが、 1612, 1667 MHz が 赤成分が 38 Jy なのに、青ピークは 1.6 Jy と弱い。 1665 MHz は 170 mJy を超えない。スペクトルを図6に示す。 |
表4=内側銀河系の PPNs (25-12) > -0.38 天体の議論で最も混乱するのは YSO との分別である。 その予防のため、第1にアレシボから見え、|l| < 90 に集中する。そこに は PPNs と見做される天体が 8 個しかない。表2の最後の7つの内の6個+ 表1からの 18095+2704, 20531+2909 である。それらの内の一つは AC Her で PPN ではない。残りは表4に並べた。 メーザー期間の算定 我々の |l| < 90 サブセットは7つの PPNs と関連する。これらの PPNs の中のメーザーのない二つ 17361+0422 と 18062+2410 は非常に赤く、 (25-12) と F25 と共にメーザー強度が系統的に弱まるという傾向に合致する。 17361+0422 は他のどれより (60-25) が青く、18062+2410 は (25-12) が赤い。 マスロスが停止すると (25-12) が急速に変わることは確かだが、18095+2704 が (25-12) = -0.4 から +0.04 までを 103 年で越えたような速さの例はあるも のの、通常はもっと長い。1612 MHz 期間の平均値は以下の式で求まる。 103年*(OH/IR星の数+1612付きPPNの数)/(PPNsの数) = 103x(62+3)/4 = 1670 年 分母は 「1612付きPPNs」じゃないのか。 1612 なしも入れて 3 から 4 らしい。103 年の 18095+2704 は典型値でないと書いていたのでは? こうして、高銀緯 OH/IR の 15 個に一つは O-リッチ PPN であることが分かる。 ミミックから PPN はありか? 元々のカラー選択サンプル=|l|<90 かつ (25-12)=[-0.7, -0.4] にある 118 ミミックに合わせるには、ミミックが直接 PPN になる天体だったとしたら、 上の比は (25-12)<+0.05 の PPNs が約8個あることを意味する。 |
OH メーザーあり天体では、1/15 が (25-12)=[-0.4, +0.05] の PPNs だったから、メーザーナシ天体の方でも 118x(1/15) = 8 個の (25-12)=[-0.4, +0.05] PPNs が期待できるということ? しかし、そんなミミック天体としては 20516+2648 しかない。したがって、我々の 結論はミミックの大部分は OH/IR 前駆天体である。そうすると、超星風の期間 は 103x(62+118)/5 = 3700 年である。 ミミック中の炭素星の数は? 超星風開始後しばらく時間が掛かる OH/IR 星で (25-12) < -0.7 の星は殆どない。1612 MHz 期の短さと合わせ て考えると、メーザーは厚めで赤い、超星風により形成されるシェルに付随する。 したがって、超星風が始まってからメーザーが励起されるまでにはかなりの時間 が掛かる。 メーザーの進化 高緯度小質量星での、光学的に厚いシェル形成に伴うメーザーの進化はこう して認識できるようになった。つまり、 (1)超星風開始後すぐには OH メーザーは励起されない。他のメーザーもダメ。 (2)超星風が継続するとメーザーを維持できるようになる。他のメーザーも 活動を始める。 (3)表1を見ると 1612 MHz メーザーが大抵 水メーザーや OH メインライン を伴うことが分かる。 (4)OH/IR 星が水メーザーを発している間は PPN ではない。 (5)図2の OH/IR 星の大部分は水メーザー源でもあるから、シェルの進化経路は OH/IR 星領域から始まり、その赤縁で水メーザーが消え、OH メーザーを持つ PPN 領域に入る。 |
![]() 図7.OH/IRs, PPNs, PPN 候補の二色図。|l| < 90 のアレシボ天体。 (|b| > 10 かどうか書いてない。 ) 黒丸= 1612 検出。白四角=1617 検出。黒四角=メーザーなし。 OH/IRs と PPNs の二色図 図7は、上に述べた進化を |l| < 90 の星について示す。これら PPNs の進化は二色図上赤い方向への経路で表される。図8は |l| > 90 の OH/IR 星と3.2.節の議論をくぐり抜けた IR 源を示す。そこには4つの C-リッチ PPNs 05113+1347, 05341+0852, 05381+1012, 07430+1115 と2つの炭素星、それ に3つの未確認天体(表2でアステリスクを付けた)も示されている。 それらのどれも OH メーザーを出していないし、また O-リッチ PPN と認定され ていない。OH/IR 星の数からは 1 O-リッチ PPN, ミミックの数からは 3 O-リッチ PPNs が期待される。 (ミミックが O-リッチとは限らない。) 反銀河中心方向に C-リッチ PPNs 図8が図7と異なる第2点は C-リッチ PPN 候補の出現である。 Jura, Joyce, Kleinmann (1989) は太陽円外側に炭素星が多いことに注意した。Lewis 1994 はその方向では カラー選択した星の OH メーザー検出率が低いと述べた。これは銀河系外周部 が低メタルであることに関係するのだろう。 |
![]() 図8.OH/IRs, PPNs, PPN 候補の二色図。|l| > 90 のアレシボ天体。 (|b| > 10 かどうか書いてない。 ) 黒丸= 1612 検出。黒四角=炭素星。白四角=C-リッチ PPN. バツ=状態不明。 熱パルスと超星風 超星風は熱パルスの度に間歇的に生じるのであろう。Olofsosson et al 1993 の炭素星 CO 観測で見出された分離シェルを持つ3つの炭素星は超星風が繰り 返し生じるという仮説を支持する。 繰り返し超星風仮説 繰り返し超星風仮説は David, Papoular 1992 のモデルによる OH/IR 星カラ ーフィット、 Heske et al. (1990) による OH/IR 星の低い CO 強度観測からも支持される。 C-リッチ PPN の生誕 反中心方向高銀緯でアレシボから観測されない領域にはさらに 19 OH/IR 星 が存在するが、二つの C-リッチ PPN 22223+4327 と Z02229+6208 が追加さ れたが O-リッチ PPN はない。OH/IR 星はO-リッチで AGB 期をはじめるが、 AGB 期を出る時は C-リッチなのではないか? |
超星風は赤い OH/IR 星の殆どは赤いカラーを有す。(25-12) < -0.7 の青い領域は膨張 速度が小さく、光学的に薄いシェルのミラ型星に占められている。 光学的に厚く、膨張速度が大の星は赤い領域を占め、中心星は見えないので スペクトル型は不明である。1612 MHz は超星風の目印となる。 ミミックの位置づけ 赤い色だが 1612 MHz メーザーのないミミックが多数存在する。第4章で 議論した通り、もし |l| < 90 の (25-12) = [-0.7, -0.4] 118 ミミック が OH/IR 星と同じ割合で PPN になるならば、8 個のミミック PPNs が期待さ れるが、PPN カラーを持ち OH 1612 MHz メーザーのないミミック PPN 候補と しては 20516+2648 と 20136+1309 しか見出されなかった。 |
OH/IR 経路と独立のミミック超星風からミミック PPN という経路は否定された。
ミミックはミラ型星と OH/IR 星の中間段階を占めるらしい。時間が経つと
OH メーザーを放射するようになるのである。この予想は (25-12) = -0.7 では
1612 MHz 検出率が 5 % であったのが -0.4 では 70 % に上がる事実とも合う。
(二色図上で、本当にミラ、ミミック、 OH/IR と移って行くのか?ミミックの変光振幅はどうか?CO は? ) 繰り返し超星風? |b| > 10 サンプルから求めた 1612 MHz 放射期間は 1670 年である。 ミミックも加えた超星風期間は 3700 年となる。超星風期間は短いし、もし 超星風が繰り返し起きる現象ならば、各回の時間はさらに短くなる。 実際、VY Her = IRAS 17050+1714 の OH メーザーは過去 14 年間の間に 1/10 以下に下がり、ついには 1999Jul に消失してしまった。また、IRAS 18455+0455 の 1612 NHz メーザーは過去 10 年の間にファクター 200 も 下がった。これらの変化の頻度を調べることは重要である。 |