始め、OH メーザーで検出された星 40 個の IRAS 結果を調べた。いくつか の星では地上観測で同定されたものに比べスペクトルが非常に赤い。 | 2色図上のプロットは古典的ミラ型星から非常に赤い OH/IR 星までの系列を 示している。しかし、最も赤い星はちょっと様子が異なる。それらの脈動は 非常に弱いか、全く脈動しない。それらは AGB の最後まで行き着いたのではないか。 |
OH/IR 星の発見と同定 OH/IR 星の大部分は 1612 MHz OH メーザーサーベイ観測 Baud, Habing, Mathews, Winnberg (1981) で発見された。それに続く、近赤外観測で多くが同定されたが、いくつかでは 未だに決定されていない Jones, Hyland, Caswell, Gatley (1984). |
OH と 35 μm フラックス Herman 1983 は OH/IR 星では35 μm と OH のフラックス密度比が約3 であることを発見した。これは、OH/IR 星が IRAS で容易に検出されることを 意味する。この論文では、明るい OH/IR 星の IRAS 観測結果を論ずる。 |
サンプル サンプルは Baud, Habing, Mathews, Winnberg (1981) のリストにある 114 天体から OH ピーク 4 Jy 以上の 43 個を選んだ。 これら全ては 3 - 5 年の OH モニター観測が行われている。 |
IRAS 同定 位置情報のみに基づき、 40/43 天体を IRAS 同定した。 |
![]() 図1.OH 26.5+0.6 と OH 17.7-2.0 の 黒丸=IRAS スペクトル。白丸=地上観測 スペクトル 図1には二つの OH/IR 星スペクトルを示す。OH 26.5+0.6 は典型的 OH/IR 星で、 Werner et al 1980 による 50 μm までの地上観測がある。 OH 17.7-2.0 は検出された OH/IR 星の中では最も赤い Herman, Isaacman, Sargent, Habing (1981) この星は殆ど変光しない。 |
![]() 図2.サンプル OH/IR 星の IRAS 二色図。白丸= ピークトウピーク OH 振幅が 0.3 等より小さい。黒丸= 0.3 等より振幅大。 バツ= OH 検出の可視ミラ、IRC 天体、AFGL 天体。実線=黒体。 IRAS 二色図 図2は IRAS 3バンドで測光された 40 OH/IR 星の IRAS 二色図を示す。 図には比較のために可視、IRC, AFGL 天体として初めに登録された OH 源 も示した。黒体のカラーも示した。 |
温度 図1を見ると、 OH26.5+0.6 のカラー温度が近赤外での 500 K から、遠赤外 での 150 K まで広い範囲に亘ることが分かる。Werner et al 1980 が観測した 他の 4 OH/IR 星も同様の広い温度範囲を示す。他と大きく異なるのは OH 17.7-2.0 で、スペクトル巾は狭く、カラー温度は 150 - 250 K で ある。 ( OH 17.7-2.0 の近赤外温度は 高くないのか?) カラー温度の変化 図2には OH を伴う可視ミラの 2000 K から、約 400 K の IRC, AFGL を経て大振幅 OH/IR 星の 100 K までの連続的な変化が良く表されている。 |
カラー温度とマスロス この赤さはダストシェルのコラム密度=光学的深さで説明される。 流出速度の変化はファクター2程度なので、この柱密度の範囲巾はマスロス率 の範囲に対応する。非常に赤い星では 10-4 Mo/yr と見積も られる。それらはすぐに PN になるだろう。 ( 中まで詰まっていればね。) 無変光 OH/IR 天体 図2で最も目立つ特徴は、F25/F12 = 1 付近で変光の性質が変化 することである。それより青い星は全て大きな変光を示す。しかし、 赤い星は小さな振幅か、無変光である。Herman 1983 PhD Thesis は これら弱い変光の星は進化の最末期に辿りついたのではないかと 述べている。Baud, Habing 1983 は進化の最後にマスロス率は最高に なるとした。これは、これら弱い変光星が非常に赤いことと合致する。 今後 IRAS には数百のもっと弱いが類似の天体が含まれている。それらの OH 検出は興味ある課題である。 |