AGB から PN への遷移期にある 42 IRAS 点源の可視、赤外観測結果を示す。
それらの IRAS カラーは質量放出 AGB 星と似ているが、λ < 10 μm
の SED は全然似ていない。SED により天体を 5 グループに分けた。それらは
AGB から PNe への進化経路ではなく、母星質量、 C/O 比、現在の放出率
による違いである。 (J-H, H-K) 図上の位置からは大量の高温ダストの存在が推定される。モデル (Bedijn 1987) と較べてもそれは確認される。これらの天体は現在も質量放出 を続けており、 1000 年より近い過去に AGB から離れた。 | 簡単なモデルから、星温度、シェル内側半径、力学年齢を導いた。年齢と星 温度をモデル(Shonberner 1988)と較べ大体合うことが分かった。しかし、 Reimers のマスロス式ではマスロス率は時間と共に減少していくはずだが、観 測は一定または逆に増加傾向を示す。これら約 10-7 Mo/yr の 大きさは AGB での 10-4 Mo/yr に比べるとずっと低いが、それは AGB から PN への変換時期を決定するので重要である。post-AGB マスロス率 は 10-8 - 10-4 Mo/yr であった。 |
IRAS PSC には 25 万天体が載っている。内 2/3 は星で、その多くはダスト シェルを伴う。 van der Veen, Habing 1988 のシナリオは、次第に強まる マスロス率、というモデルに基づいている。そこでは P = [100, 500] 日のミラ 型星はこのマスロス率増加の早期を代表し、OH/IR 星 P = [500, 1000] 日が 最終時期を示している。 |
最後には脈動が止まり、マスロスは大きく低下する。
そして惑星状星雲が誕生し、中心星が見えるようになる。
前論文では AGB 期に関心が集中した。本論文は AGB と PN の間を扱う。問題
となるのは、 (i) 遷移天体をどう選ぶか? (ii) その中での種類分けは? (iii) タイムスケール (iv) AGB から PN へのシナリオ |
![]() 表1.IRAS 天体がカタログ上で、どう分類されているか。各領域内で観測され た天体数は "Obs" 列に示されている。 脈動停止 図1で領域 IIIb はマスロス率大の脈動 AGB 星 = 赤外星または OH/IR 星 である。領域 V は PNe を含む。IIIb と V との大きな違いは、IRAS 変光指 数 VAR の平均である。領域 IIIb では 〈VAR〉 = 65 だが、 V では 〈VAR〉 = 16 と低い。IIIb では大部分が脈動変光星だが、V では 脈動が停止している。Bedijn 1987 が初めて脈動が止まるとマスロス率が一桁 以上下がるという提案を行った。脈動を停止した星は図1の破線から外れ、右 方へ移行して領域 V へ入るのだ。 |
領域 IV Bedijn は領域 IIIb からいきなり V に突っ込むのか、まず IV に入り、そ れから V へ移るのかを決められなかった。しかし、 (i)変光振幅が大きく、深い 10 μm 吸収を示す多くの OH/IR 星が領域 VI で見つかる。 (ii)領域 IV での 〈VAR〉 = 30 は IIIb と V との中間値である。 (iii)IIIb - IV - V へと移ると、可視天体との同定率が 7% - 20% - 44 % と 変わる。 から、 IIIb 天体のかなりがまず IV に入るのではないか。 III - IV - V 領域 III - IV - V は AGB から PNe への進化系列を成しているのではない か。IV, V には遷移天体=非脈動、低マスロス率、電離領域無しの天体がいる のか?そこで、 IIIb, VI, V から 12, 25, 60 で Q = 3 の天体を選んだ。 それらは IIIb = 565, IV = 206, V = 588 個あった。PSC に記録されている 他のカタログでの記載は表1にまとめた。カタログ記載率の変化を見ると、IIIb は主にマスロス AGB, V は PNe, IV は中間である。ただ、どの領域でもカタログ 未記載の星が多く、確認が必要である。 |
![]() 図2a. 領域 IIIb 天体分布はどの領域でも銀河面に集中している。4(領域III)<1 %, 3(領域 IV)< 1 %, 10(領域V) < 2 %, が |b| > 30° に分布する。 また、 どの領域も銀河中心への集中が明白である。ただ、 IV にはいくつかの塊りが 見える。それら (l, b) = (170, -15), (120, -5), (-5, 18), (-150, -18) は Taurus-, Cepheus-, Ophiuchus-, Orion- 分子雲領域である。T Tau 変光星、 不規則変光星は全てこれらの塊りに属する。恐らくこの塊りは若い天体であろう。 |
![]() 図2b.領域 IV ![]() 図2c.領域 V |
![]() 図3a. 領域 IIIb 図3には各領域での F12 分布を示す。 IIIb ではフラックス分布は 8 Jy を ピークとした分布を示す。III と IV の天体の近親度から、領域 IV でも F12 は 8 Jy をピークとする分布になると予想したが、そうではなく、 4 Jy に一つ のピーク、 1 Jy 以下に第2ピークという分布であった。これは4つの塊り内 天体の F12 分布が他と全く異なることの影響と考え、それらを除いて分布を 作り直すと似た形になった。 |
![]() 図3b.領域 IV ![]() 図3c.領域 V |
分類基準 上の図から、領域 IV 天体を以下のように細分類する。 (1)惑星状星雲= PN カタログに載っている星 (2)若い天体= F12 < 2 Jy (3)極端 AGB 星= F12 > 2 Jy, 可視同定なしで, VAR > 50。 (4)遷移天体=F12 > 2 Jy で可視同定ありか、 F12 > 2 Jy, 可視同定なし、VAR < 50 実数は この基準に従うと、IV では惑星状星雲 14 個、若い天体 70個、遷移天体 77 個、 極端 AGB 39 個となる。非常に深い 9.7 μm 吸収を持つ 8/11 が極端 AGB で あった。3/11 は遷移天体でもっと浅い吸収の3天体も遷移天体である。 |
領域 V 領域 V の F12 分布は IIIb と全く異なる。簡単な説明=領域 V 天体は領域 IIIb に 比べ、全フラックス中の少ない割合しか F12 に回さないが、光度は同じである。 また領域 V 内の実線=未同定天体の F12 分布は、点線=惑星状星雲の分布と異なる。 惑星状星雲は F12 が小さいほど多い。これは放出エネルギーの大部分が中心星からの UV, 可視光で、 λ > 25 μm は冷たいダストの熱放射だからである。 一方、未同定天体は F12 < 4 Jy で平らな分布を示す。これは IIIb と V との 中間で、これらが遷移天体であることを意味する。 遷移天体の総数 IIIb 天体は皆 AGB と考える。 IV には遷移天体候補が 77 個あった。 さらに 領域 V 内で惑星状星雲カタログに載っていない星 350 個を全て遷移 天体と看做すと、遷移天体の総数は 430 となる。 |
低 F12 = YSO の意味 2色図上で同位置にあるので、 SEDの形は似ている。従って、F12 が低いという YSO の性質は、おそらく YSO 平均距離と、光度自体が低いことの相関で F12 が 2 Jy より大きくなるほど近距離に YSO が存在しないことを意味している。 だから、問題は F12 が 2 Jy より低くなるほど遠方の 遷移天体がなぜ存在しないのか ということである。低フラックス YSO が観測されるなら、似た SED を持つ低 フラックス AGB が観測されても良いではないか? 再確認 全体として、分類を再度確認するためのデータは与えられるか?最初から自分で 行う必要がある? |
領域 V の未登録天体 領域 V の未登録天体を全て遷移天体と看做すのは乱暴すぎないか? 何しろ数が多すぎる。 しかし、その後の研究でそれらの再分類が進行したと信じる。 変光 VAR によるチェックより確実な、変光観測は重要である。また、可視同定には何が 使われたか?IRAS 位置の誤差はどう評価されているのか? |
観測星の選択 領域 IV, V で選ばれた天体を規定したい。可視、近赤外の観測はそれら天 体の性質を決めるのに役立つ。先ず、 RA = [15h 2h], F12 > 10 Jy で、 PSC でカタログ記載のマークがない天体を両領域から選んだ。次に、 同じ RA 帯の中から SAO に載っている星、さらに領域 IV から F12 < 2 Jy の星を加えた。第2章で述べた分類基準に依れば、これらは若い天体であるが、 中心星が若い場合には容易に検分できる。最後に幾つかの厚いダストに覆われ、 多分若い惑星状星雲と、いくつかの変光のない又は微小な OH/IR 星を加えた。 表1に "Obs" とあるのがそれら選択された星である。 |
選ばれた42星の内訳 次節では、選ばれた42星の観測を示す。9/42 = 若い惑星状星雲、7/62 = 輝線星または「他の星」である。16/42 は IRAS PSC に記載はない。極最近 9/42 が新たな 1612 NHz メーザー源として登録された。 |
![]() 表2.観測ログ 観測モードと望遠鏡 観測の種類は可視測光、赤外測光、赤外 CVF分光、赤外回折格子分光、であ る。大部分はラシーヤの 0.5, 0.7, 1.5 m 望遠鏡で行われた。 1 - 5 μm 測光の幾つかと、回折格子分光の全ては UKIRT 3.8 m 望遠鏡で行われた。表2 に観測ログを示す。天体毎の観測は表3に示す。IRAS データ及び近赤外天体 位置との差は表4、5に示す。 測光 1 - 5 μm 測光結果は表6a に示す。 ESO と UKIRT のフィルター間には 表6b のノートにあるように、僅かな差がある。ここでは問題になる量ではない。 8 - 13 μm 測光が約 20 天体について行われた。その結果は表6b に載せた。 LRS 情報もそこに示した。 赤外分光観測 2 - 3 μm 分光測光を ESO 1-m 望遠鏡 + CVF で 4 天体に対して行った。 UKIRT では 8 天体の回折格子 2 - 4 μm 分光観測が行われた。両観測で得 たスペクトルの特徴は表6c に載せた。 可視観測 12 IRAS 天体の可視測光観測が ESO 望遠鏡で行われた。観測は Walraven システムとカズンズシステムの二種が混ざっている。また文献から6天体の 可視等級が得られた。表8には測光システム間の較正定数を示す。 |
![]() 表3.選択された IRAS 源の観測のまとめ。 |
表4.観測天体の IRAS データ。 ![]() |
表5.観測天体の赤外位置及び IRAS 位置との差。 ![]() |
表6a.近赤外測光の結果。
![]() |
表6b.10 μm 帯測光と IRAS 8 - 13 μm LRS 情報。
![]() 表6c.赤外分光と分光測光観測のまとめ ![]() |
表7a.Walraven VBLUW 測光とそれから導いた B, V 等級
![]() 表8.測光システムの較正定数。 ![]() |
表7b.カズンズ VRI システムによる等級。
![]() 表7c.文献から引いたジョンソン B, V 等級。 ![]() |
MIR スペクトルの分類 18 天体では高精度の LRS スペクトルが得られた。さらに 11 天体で 8 - 13 μm での狭帯域測光を行った (表6b)。内 7 天体は惑星状星雲で、それらの スペクトルは次の3種に分かれる。 (i) Hen 1044, CP-568032, NGC 6790, IC 51217 PAH 起源の 7.8, 8.6, 11.3 μm 放射帯。炭素系であろう。 (ii) MZ-3, NGC 6572 メタル輝線のみ。 MA-3 では S III 18.8 μm 最強。NGC 6572 では NE III 15.5 μm 最強。 (iii) Vy 2-2 9.7 μm 放射帯。酸素系だろう。 |
9.7 μm 帯の意味 LRS と以上の観測から、9.7 μm 吸収帯を持つ 17 天体で、弱い吸収が 13 天体に、強い吸収は 4 天体であった。さらに 1 天体でのみ放射帯を示した。 9.7 μm 吸収帯が存在するのは酸素系であると同時に、これらの天体が AGB を 離れた時期が最近であることを意味する。 (どうしてか?理屈が分からない。 ) 非常に強い 9.7 μm 吸収帯は、 AGB を離れる寸前または直後にのみ期待 される。この点は 4.5 節で詳しく論じる。1612 MHz OH メーザー天体で LRS がある IRAS 天体は、全て 9.7 μm 吸収帯または放射帯を示した。しかし、 9.7 μm 帯がある星でも OH メーザーが検出されないものもある。 IRAS 17097-3210 IRAS 17097-3210 は狭帯域観測で N1(8.4μm) に超過が見られた。これは おそらく PAH 8.7 μm 放射である。 |
4.1.2.短波長分光CO バンドと有効温度表6c に示すように 11 天体のスペクトル観測が行われた。 2.3 μm CO 吸収バンド強度は温度と共に光度にも依存する。またダスト放射が被ると強度 を弱める。そうではあるが、CO 強度を温度の指標に使用して、中心星が本当に AGB から離れ、温度が 5000 K 以上になったかを調べるために使った。 Baldwin et al.1973 は Te < 5000 K では中間から強い CO 吸収を予想した。 Te = 5000 - 6500 K の F - K0 型では弱い CO 吸収が見られる場合がある。 しかしそれより早期では見えない。 各天体の CO 吸収 IRAS 16342-3814: 唯一強い CO 吸収を示す。恐らく M 型(Te < 3500K). IRAS 16279-4557: K 型程度の CO 強度。 Te = 4000 - 5000 K. IRAS 22272+5435: 同上。可視星= SAO 034504 K5. IRAS 16115-5044: 非常に弱い CO 強度。晩期F - 晩期G, Te=5000-6000K IRAS 19500-1709: 同上。SAO 163075 F8. |
CO 吸収のない星 残りの星:CO 吸収が見えない。 Te > 5000 K だろう。炭素系なら PAH 3.3 μm 放射帯が見えるだろう。実際、 IRAS 18213-2948: CO 無し。3.3 μm 帯。 IRAS 16279-4757: 同上。ただし、9.7 μm 吸収もある。O/C どっち? 高温度星 IRAS 17516-2525: Brα, Brγ, Pfγ から Te = 20,000 - 30,000 K. 同時に 3.1 μm 氷の吸収あり。YSO かも知れない。 3.1 μm 氷の吸収 IRAS 16115-5044: 3.1 μm 氷吸収。9.7 μm 吸収もある。 IRAS 16342-3814: 3.1 μm 氷吸収。9.7 μm 吸収もある。 IRAS 17150-3224: 3.1 μm 氷吸収。9.7 μm 吸収もある。 IRAS 18213-2948: 3.1 μm 氷吸収。 4.1.3.C/O 比21/42 = 50 % は酸素リッチ、 6/42 = 14 % は炭素リッチ、15/42 = 36 % 不明である。表9の第2列を見よ。 |
SED の分類 地上観測による N3 バンドデータに IRAS フラックスを合わせてファクター 倍し、全体のレベルを調整した。SED を5クラスに分類した。 I. 4 - 25 μm SED は平坦で、短波長側で急落。5星。 II. 25 μm 付近に極大があり、短波長側に緩く低下。11 星。 III. 25 μm 付近に極大があり、急落して 1 - 4 μ に平坦部。7 星。 IV. 25 μm 付近と < 2 μm に二つの明瞭なピーク。19 星 次の二つにサブ分類する。 IVa. 第2ピークが 1 - 2 μm 域にある。 IVb. 第2ピークが < 1 μm にある クラス I 大部分には明瞭なスペクトルの特徴が見られない。幾つかの例は、 IRAS 19386+0155: V=11.2 の星。0.3 - 0.5 μm で急落下。 IRAS 16133-5151: PN の MZ-3. 中心星 V = 14.1. IRAS 17516-2525: 水素再結合線あり。隠れた高温星。SEDはMZ-3 類似。 クラス II やはり、明瞭なスペクトルの特徴がない。 IRAS 21306+4422: PN IC 5117 に同定。中心星 V = 16.7. |
クラス III 幾つかのスペクトルには中心星成分が見える。 IRAS 16342-3814: V = 13.7. 0.3 - 0.5 μm で星成分が急落。 IRAS 17487-1922: V = 12.8. 同上。 IRAS 14562-5406: V = 11.4. PN PK321.0+3.1. IRAS 17047-5650: V = 11.3. PN CP-568032. IRAS 19219+0947: V = 13.1. PN Vy 2-2. クラス IVa 1 - 2 μm にあるピークは星の成分であろう。 IRAS 19158+0141: V = 18.8. PN PK37.0-5.1. クラス IVb 可視成分が強く、ダスト成分とはっきり分離。 IRAS 15373-4220: V = 8.3. SAO IRAS 17097-3210: V = 8.7. SAO IRAS 18131-3008: V = 8.8. SAO PN PK2.0-6.2. IRAS 18213-2948: V = 8.1. SAO IRAS 19114+0002: V = 7.9. SAO IRAS 19500-1709: V = 8.7. SAO IRAS 22272+5435: V = 9.2. SAO IRAS 17311-4924: V = 10.7. 輝線星。 IRAS 18096+0650: V = 9.0 PN IRAS 19204+0124: V = 11.3 PN 近赤外二色図の利用 どのクラスにも惑星状星雲が存在することは、クラスが進化系列となってい ないことを意味する。Whitelock 1985 は (J-H, H-K) 図、Persi et al 1987 は (H-K, K-L) 図を使い、赤外放射源が星雲、星、ダストのどれかで PN の分類 を試みた。(H-K, K-L) 図は熱いダストが存在するかどうかを調べられるので 遷移天体の分類にも使用できそうである。 |
![]() 図5a.IRAS 天体の (J-K, H-K) 図。星のタイプ別マークの分布。 J, H, K バンドでの放射源 (i) プラズマ熱輻射 多くの惑星状星雲では支配的。水素、ヘリウムの f-f, b-f 放射。 (ii) 約 1000 K の熱いダスト 惑星状星雲、遷移天体双方で支配的になる可能性あり。 (iii) 中心星 惑星状星雲で星温度が低い、又は非常に明るいと重要。T < 10,000 K の 遷移天体では星の貢献度が高い。 (iv) H+, He+, He++ 再結合線 完成した惑星状星雲でのみ重要。 (v) 伴星 2000 - 3500 K の伴星があると、支配的になる。 図5=2色図の説明 図5を見ると、MS, G 系列は Koornneef 1983 から採った。"Mira box" はGlass, Feast 1982 のものである。"Mira box" 右上から黒体 T = 2000 - 1000 K の経路が伸びる。図の右下には Whitelock 1985 の "nebula box" があり、彼女の調べた PNe の 80 % がこの中にあ る。"ff + bf" と書かれた単破線は Persi et al. 1987 から採った 色々な温度のプラズマからの f-f + b-f 放射である。"hot star + 1000 K BB" と書かれた長破線は高温度星とその周りの 1000 K ダスト シェルによる系列である。光学的深さは左下から右上へと上が H-Kって行く。 (シェルの自己吸収と同時に 星の吸収を入れている?シェルの幾何学は? ) "cool star + 1000 K BB" は "MS and G" のもっと上から出て、 1000 K BB 点に動く。 (ミラで止まってるけど) S-タイプ、D-タイプ遷移天体 図5a にはカタログに載った5種類の IRAS 天体の分布を示す。注意すべき は古典的な変光 OH/IR 星が H-K=5, J-H=6 という赤さなのに、それより ずっと青いことだ。この図を使い Whitelock 1985 は3種類の PNe を区別した。 N-タイプ= "nebular box" 内である。S-タイプ=ボックスの左上側。 D-タイプ=ボックスの右上側。彼女に倣って、我々は遷移天体を S-タイプ と D-タイプに分けたい。N-タイプは若い PN であるからここでは考えない。 |
![]() 図5b.IRAS 天体の (J-K, H-K) 図。遷移天体クラス別マークの分布。 (i) バツ印=惑星状星雲 NIR があるバツ印の惑星状星雲 10 個の中で nebula box に入るのは Vy2-2 一個だけである。NGC 6592 はボックスの左側すぐ近くにある。 この二つは N-タイプ PN とされるだろう。PK2.0-6.2 は MS+G 系列上にあり、 S-タイプである。PK37.0-5.1 はボックスの真上にある。始めこれは驚きであ った。しかし、この星は低温の R0 炭素星に分類されているのでカラーは 炭素星のものであろう。これも S-タイプ PN である。 (電離領域はどこにあるのか? ) MZ-3, CP-560832, PK321+3.1, IC5117 はボックスの右上にあり、D-タイプ PNe である。 (ii) アステリスク= V < 11 で、既知 PNe ではない ボックスの右上 MS+G 系列にあるアステリスク天体= S-タイプ遷移天体 (iii) マル= OH メーザーあり 黒体系列の上にある。例外は黒体のすぐ下にある OH344..1+5.8 と図の右上端に ある OH19.2-1.0 である。どちらも双極流の兆候がある。OH24.7+0.2 はここに 含めない。J で暗すぎ、 H-K=4.6, J-H > 3 なので、古典的 OH/IR とする。 (iv) 黒点= OH 報告がない 17個全て、ボックスの上 J-H > 1.0 にある。4/17 = BB より上。9/17 = BB より下。4/17 は図中にない。 IRAS17074-4549 と IRAS17347-3149 J, H が暗すぎ、観測不能。K-L = 3.9 と 3.3. IRAS15373-5308 と IRAS18536-0753 J が暗すぎ、観測不能。H - K = 3.3 と 2.2. 上の4天体は多分 "古典的" OH/IR 星経路の近くにあるのであろう。 分類の例外 IRAS15452-5450(OH326.5-0.6) と IRAS19067+0811(OH42.3-0.1) は上の分類の例外。 4.4 節で論じる。 |
図5b=クラス毎に集合している (iii), (iv) の天体は S- 型または D-型なのか?この疑問に答えるには、 スペクトルの形状=クラス別に分けた図5b を見て欲しい。明らかにクラス毎 に集まっていることが分かる。 クラス IVb = 可視成分がはっきり見える=白四角 MS/G 系列近くにある。例外は NGC6572 で星雲ボックスの下に位置する。 クラス IVa = 1 - 2 μm に第2ピーク=白三角 黒体系列の上部、ミラボックスから右上 (H-K, J-H) = (1, 2) までの狭い領域を占める。 クラス III = 明白な第2ピークはない=黒四角 黒体の下。ミラボックス右側へ H-K=0 から 2 まで、 J-H=1.0±0.2 の短い帯。 例外は Vy2-2 で星雲ボックス内に入っている。 クラス II = 明白な第2ピークはない=黒三角 黒体の下、黒四角の上、ボックスの右、J-H = 1 - 2.5、 巾は H-K で 0.5 の狭い帯。 3天体は J と H で暗過ぎ、図に載らない。 クラス I = 明白な第2ピークはない=三本足 集まらず散らばる。2天体は J が暗すぎて図にない。 明らかにクラス I, II, III は濃いダスト層を持っている。そこで、 PN が ない遷移天体を次のように分類する。 |
D-タイプ=クラス I, II, III 下で定めた S-タイプ領域の外。 S-タイプ=クラス IVa, IVb H-K < 0.8 または黒体系列より上にある。 クラス IVa 第2ピーク位置が λ < 1 μm. J-H < 0.6, H-K < 0.8. K0 型より早期。T* > 5000 K. 星周ダストによる赤化は大きくない。 クラス IVb 第2ピーク位置が 1 μm λ < 2 μm. J-H > 0.6. 黒体系列より上にある。その原因は (i) 中心星が K0 より晩期、T* < 5000K.星周ダストで少し赤化を受けている。 (ii)中心星が K0 より早期、T* > 5000K.星周ダストでかなり赤化。 (iii) 連星。遷移天体の伴星が低温。 ここでは連星は扱わない。(i) と (ii) は二つのピークの相対比を見ることで 区別できる。 現在のマスロス率の違い S-, D- 型の差が生じる原因は、現在のマスロス率の違いであろう。 S-型 では現在のマスロス率は低く、膨張した過去の AGB シェルの赤化しか受けて いない。しかし D-型のマスロス率は S-型よりずっと大きく、中心星は過去の AGB シェルと現在のマスロスシェルの二つの赤化を受ける。 |
![]() 図6a.IRAS 天体の (H-K, K-L) 図。随伴天体のタイプを示す。 PN の分布 図6の実線=主系列(MS)と破線=巨星(G) は Koornneef 1983 から採った。 黒体も実線で示した。"ff+bf" の破線=下ほど電子温度が低温のプラズマ。 Persi et al 1987 は S-タイプ PN がプラズマ破線の左側、 N-タイプ PN は H-K < 1.0 で右側に分布することを示した。遷移天体でも同様の分布が 期待される。 図6a = 天体タイプ別の分布 図6a では天体タイプ別の分布を示す。ここでも遷移天体のカラーは古典的 OH/IR 星が占める (K-L, H-K) = (5, 5) から離れた所に分布する。 S-タイプ PN PK37.0-5.1 は MS 付近に PK2.0-6.2 は MS の左側に、N-タイプ PN NGC6572 は ff+bf の破線上にある。その他の PN は D-タイプに分類されるが、 K-L > 1.0 破線の右側にある。それらの位置は、多くで星周ダスト温度が 800 - 1000 K にあることを示唆している。 S-型遷移天体 S-型遷移天体は破線の左側にある。遷移天体の系列は天体が 800 - 1000 K の熱いダストに包まれていることを示す。 ( D-PN ではそれらの K-L を BB と 較べて 800 - 1000 K と納得したが、 S-型の場合どこからこの値が出てくるか 不明。 ) 例外は IRAS 15452-5459 と IRAS 19067+0811 で, 共に OH メーザー源であり、 図5a では BB の上方にあるので S-タイプに分類された。この2天体は図6a では右端に位置し、それらが実は D-タイプであることを示唆する。4.3.節 でもこの二つの分類が問題となった。 |
![]() 図6b.クラス別に示す。 図6には次の4天体が現れない。 IRAS 18327-0715 (クラス I) 図6の境界の外。J-H, K-L から Td=500K IRAS 17047-4549, 17347-3149 (クラスII) H-K カラーなし。K-L からは Td=700K IRAS 17487-1922 (クラスIII) K-L カラーなし。4.3.節で S-タイプに分類。 D-タイプの熱いダスト これらは、D-タイプ遷移天体は、現在もマスロスが進行しており、 800 - 1000 K の熱いダストに包まれていることを示唆している、 |
遷移天体の SED 特性 これまでに、遷移天体の SED 特性が強いマスロスを伴う OH/IR 星と異なる ことを示した。 OH/IR 星では 2 - 3 μm の SED 勾配が急で、図5、6の 遥か外にはみ出てしまう。Td = 300 - 400 K である。熱い内側ダストの光が 途中で吸収され外に漏れ出ないからである。マスロスが停止すると、内側シェ ルは外側に膨張して 100 年以内に 150 - 200 K に下がる。同時に星周シェル は光学的に薄くなり、中心星が見えてくる。 Bedijn 1987 モデル Bedijn 1987 モデルによると、 AGB を離れて 50 - 150 年で中心星が見え始める。彼のモデルでは、 T* = 2000 - 3000 K. λ < 10 μm フラックスは星起源。 T* > 7000 K. λ < 3 μm フラックスは星起源。 O-リッチ星の場合、AGB 終了 50 - 150 年で、9.7 μm 吸収帯は放射帯に 変わる。 200 - 600 年で構造が消える。 モデルとの不一致 Bedijn 1987 図7によると、T* = 2000 - 3000 K モデル SED はこの論文の クラス IVa と似ている。違いは星成分の相対強度で、IRAS 16115-5044 以外で は星成分はダスト成分よりずっと弱い。一方モデルでは両者は同程度に強い。 クラス IVa SED は, AGB 終了 150 年後、 T* = 7000 K の星光がシェルを透か して見えるというモデルにフィットする。 クラス IVa SED は, AGB 終了 500 - 1000 年後、もう少し熱い星の光がシェル を透かして見えるモデルにフィットする。 |
クラス II とモデル クラス II の代表 OH 17.7-2.0 は最近 Le Bertre et al 1987 が研究した。 Bedijn 1987 は 1.6 10-3 Mo/yr のマスロスが、exp(-t/&tau:) (τ = 26 yr)で低下すると仮定して、t = 300 年、T* = 15,000 K で フィットした。その時点でのマスロスは 10-8 Mo/yr である。 彼は正しくも、このフィットが一意ではないと述べている。彼の結果の もっとも重要な点は、タイプ II と III のスペクトルが残余シェルと、現在も 続くある程度のマスロスの組み合わせでフィットされたことである。この 残存マスロスが時間と共に変わるのか一定なのかは不明である。 マスロス停止か低下か クラス II, III, IVa, IVb スペクトルは AGB マスロスが過去 1000 年以内 に急低下したが、完全に停止したモデルの必要はないことを示す。おそらく クラス II, III の現時点マスロス率は IVa, IVb より高い。それは、4.3.節 4.4.節で見出した、クラス IVa, IBb 天体が D-タイプ遷移天体、クラス II, III は D-タイプに分類されることと合致する。やはり D-タイプ遷移天体に 分類されるクラス I 天体は AGB マスロスが継続しているか、落ちたとしてもファ クター 10 以下であるモデルで説明される。他の可能性として、AGB マスロス が止まったのは 20 年前以内という考えもあるが、そのようなサンプルが 5 天体も見つかるという可能性は非常に低い。 |
5.1.アプリオリな仮定中心星中心星はコアのすぐ外側で水素燃焼を行っており、外層部質量はまだ十分大 きい(> 10-4 Mo)ので、コアと外層は独立に扱える。 Wood, Zarro (1981) が適用でき、 (L/Lo) = 5.925 104[(Mc/Mo)-0.494] (1) AGB から PN まで L = 一定であるが、外層質量 Me が減少する結果、 有効温度は Shonberner 1987 による次の式で上昇する。 dT*/dt = -(dT*/dMe)[(dMw/dt) + (dMh/dt)] (2) ここに dMw/dt = post-AGB マスロス率で、dMh/dt = 水素燃焼によるコア 質量増加率(Iben 1981) で、下の式で与えられる。 dMh/dt = (Mc - 0.495Mo)/τN (3) ここに、X = 0.7 を仮定して、τN = 1.2 106 yr である。dT*/dMe は Schonberner 1987 のモデル値を使用する。 dT*/dMe は Me > 0.01 Mo では小さく、 Me < 0.01 Mo で大きい。 星周シェル シェル=内シェル+外シェル 内シェル[R*, Rin]=星表面から post-AGB 星風(dMw/dt) 開始まで。 外シェル[Rin, R∞]=Rin 外側 AGB 星風(dMagb/dt)。 内シェルと外シェルの膨張速度は必ずしも同じでない。多くの PN で双極流 のような非対称形状が存在するが、この論文ではシェルの形を球対称とする。 |
5.2.積分フラックス、距離、光度、母星質量フラックス積分フラックス F1(Lo/kpc-2) は IRAS フラックス密度を直線で結んだもので、総フラックス FT の下限を与える。F1 を表9の第3列に示す。 12 μm 輻射補正 BC12 = FT/νF12 ( van der Veen, Breukers 1987) は第4列に示した。第5列には FIR、 λ>12μm のフラックス、の割合 FIR/FT を示す。 FIR/FT > 0.7 の赤い天体では F1 は FT に近いが、 PN のような輻射の大部分を UV 域で放射する天体では下限を与えるに過ぎない。第6列には 4.2. 節で 述べた IRAS フラックスを地上観測に合わせるためのファクター を等級 表示した、Δm = -2.5 log(Emeas/Ecal) を示す。 クラス毎に一定光度を仮定 大部分の天体では距離が不明で光度 L が求められない。従って、逆の方向から攻める。 各クラスには単一の光度を仮定し、フラックスから逆に距離を出す。 van der Veen (1989a) の ε=1.5 の時の Mi-Lf 関係式 27b Mi = 2.1 Lf + 0.62 と式 (1) とから、Mi と距離を求め、銀河面高度を決めて、分布のスケール高 H を 決める。求めた H(L) を 観測から決まっている H(Mi) が合えば、正しい L の 推定値と考える。こうして、サンプルを スペクトルのクラス I, II とクラス III, IVa, IVb に分けるとベストな結果が得られることが判った。表10を見よ。 クラス I, II に対しては、 L* = 15,000 Lo, Mi = 3.8 Mo, Mc = 0.75 Mo. H = 85 pc を得た。クラス III, IVa, IVb に対しては L = 5000 Lo, Mi = 1.7 Mo, H = 250 pc を得た。 |
![]() 図7a.スペクトルクラス I, II の Z 分布。破線=PNe. |
![]() 図7b.スペクトルクラス III. IVa, IVb の Z 分布。破線=PNe. |
![]() 表10a.スペクトルクラス I, II の光度、初期質量、スケール高。 |
![]() 表10b.スペクトルクラス III. IVa, IVb の光度、初期質量、スケール高。 |
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