AGB を離れてから時間が経った熱い popst-AGB 星を IRAS PSC で探した。 このため 12 μm では検出されない星を選んだ。こうして得た 15 星中 12 星は B 型である。 | 残る3天体は純粋の post-AGB 星らしい。それらの SED をフィットして AGB を離れたのは 1000 年昔であることが判った。その一つ SAO243756 は 過去 20 年の間に輝線が現れたらしい。 |
高銀緯の特異 F-型超巨星 Bidelman (1951) は高銀緯の特異 F-型超巨星の存在を注意した。IRAS はそれらの天体が赤外超過 を伴うことを明らかにした。 Parthasarathy, Pottasch (1986), Trams et al. (1991) は赤外超過が AGB から PN へ遷移中の天体の特徴であることを明らかに した。 SAO 中の post-AGBs Oudmaijer et al. (1992) は SAO カタログと IRAS PSC との同定から、超巨星のスペクトルクラスに 属し、スペクトル型が B, A, F, G でかつ赤外超過のある星を 73 個得た。 既知の明るい post-AGB 星の殆ど全てといくつか新たな post-AGB 候補が 含まれていた。それらの超巨星のスペクトル型はほとんどが F 型である。 IRAS 二色図からの post-AGBs Hrivnak, Kwok, Volk (1989), Volk, Kwok (1989), Slijkhuis 1992 による IRAS だけからの選択では G 型星が主役になる。 IRAS を基礎にすると低温度の星に重みが掛かるらしい。 観測候補は G, F 型、モデルは B 型 これら観測スペクトル型分布は post-AGB 進化モデルが期間の大部分の 期間を B-型星として過ごすと述べているのと対照的である。 Schonberner 1981, Schonberner (1983) によると、 0.598 Mo 星の進化経路は図1のようである。 Te = 5000 K から 30,000 K までの進化期間の 70 % は B-型星として送る。 他のコアマスに対する Schonberner の計算も類似の結果を与える。 IRAS 法は何が原因か? 観測とモデルの差を単純なモデルで解釈した。 (1)AGB を去って数百年で、ダストシェルは急速に冷える。 (2)その結果、時間と共に F12 に寄与しなくなる。 F25, F60 はまだ残る。 (3)以前の IRAS 選択法では、F12 の検出を必要条件としていた。 (4)このため、IRAS 法は若くて低温度の post-AGB 星に重みが掛かる。 |
![]() 図1.0.598 Mo post-AGB 星モデルが G, F, A, B 型でいる時間比。 F12 なしの SAO/IRAS 星 従って、 IRAS PSC 中に冷たいダストシェルを持つ可視星があるか を調べることが重要である。それは、SAO/IRAS サンプルから F12 が検出 されない星を選ぶことで達成される。 Pottasch グループの電波探索 このような探査がもっともらしいことは、 Ratag et al 1991, Ratag, Pottasch 1991, Van de Steene, Pottasch 1995 が行った、IRAS で PN カラーを有する天体の電波サーベイからも分かる。彼らによると、電波が検出 された天体は F25, F60 のみが検出された星に片寄っていた。 |
FQ(12) = 1 の赤外超過 SAO 星 FQ(12) = 1, FQ(25), FQ(60) = 2, 3 の基準で 253 天体が選択された。 ほぼ全てについて文献には赤外超過の記録がない。PSC で SAO と重なるとさ れたのは 34611 天体である。ただし、幾つかは複数の SAO 天体と重なる。 その多くは FQ(12) = 2, 3 である。 スペクトル型 Oudmaijer et al. (1992) で示したように、462 天体がスペクトル型 B, A, F, G でかつ光球放射に対し 超過を示す。 光度クラス 次にそれらの光度クラスを調べたいが、SAO カタログには載って いない。Simbad で約半数が判明し、残りの天体は観測を行っている。 これまでに 23 天体が光度クラス I, II と分かった。スペクトル型不明、 光度クラス III - V の星はこの先議論しない。結果得られたサンプルを 表1、2に示す。 |
2.1.選択天体の性質おかしい天体Simbad によると、7天体は HIIR/SFR を伴う。1天体はミラ型星である。 SAO 12455 は SU Cas 近傍で反射星雲を伴う。 SAO 152360 は Sco OB1 に 属しているようである。SAO 161368 は散開星団 6613 のメンバーであり、 反射星雲を伴っているらかも知れない。SAO 161293 は HIIR の一部である。 SAO 219536 は散開星団 NGC 2547 に属する。そのスペクトル型 B5 II は 主系列星としては不適当である。 SAO 241580 (R Cen) は F12 の上限値 489 Jy は極めて高い。これはスキャン回数が少なかったための結果で、 F12 が暗かったせいではないだろう。 これらは棄却 上に述べた天体はここでは議論しない。残りは 15 天体である。 |
2.2.1.スペクトル型分布前回までと異なるスペクトル型分布残った星は 15 個である。内 12 が B 型、A、F, G 型が一つづつである。 このスペクトル型分布は、 Oudmaijer et al. (1992) の結果;光度クラス I, II 73 星は 21/B, 12/A, 28/F, 12/G、とは大きく 離れている。 Oudmaijer et al. (1992) のサンプルではほとんどが F-型であった。 B-型か? Oudmaijer et al. (1992) で B-型星とされた HR 4049 と HD 44179 (the Red Rectangle) も解析が進む と、 7500 K (F-型) と分かった。B-型と間違えられていたのはメタル量が極端 に低かったからである。そのため、金属線が現れず高温スペクトルの様に見え たのである。 2.2.2.銀河面からの高度高度分布大質量星のスケール高は 120 pc (Mihalas, Binney 1981) である。 Bidelman (1951) が問題にしたのは、post-AGBs の z がそれよりも大幅に大きくなるからであ った。今回のサンプルにもその問題が生じているかを見るため、表3に サンプル星の z を示した。 |
![]() 表3.大質量超巨星であったとした場合の距離 星間減光 固有カラーは FitzGerald 1970 から、 固有 V 等級は Schmidt-Kalller 1982 から採った。 (星周減光は考慮しない? ) 6天体は |z| < 120 pc である。残りの 15 天体はそれ以上遠くにある。 |
![]() 表4.60 μm での サイズ。 60 μm 画像の分類 データを再解析した結果、分解能 45" の 60 μm 画像を得た。 表4に天体のサイズを示す。シラスの 影響も考慮して、天体の周辺に広がった構造が見えるかどうかを調べた。 サンプルは3つのグループに分かれる。 (i)分解できない SAO 240664, SAO 243756, SAO 225457 (ii)ほぼ円形の広がった構造 SAO 94416, SAO 40342, SAO 152697, SAO 173547, SAO 238003 (iii)より大きな構造に埋もれている SAO 221352, SAO 251447, SAO 242725, SAO 243233, SA 244390, SAO 162012, SAO 69795 |z| < 120 pc の多くは (iii) に属する。 シラス この分類をどう解釈すべきか?シラスが影響している可能性は大きい。 (iii) 天体はシラスの強い領域にある本当に大質量の超巨星である可能性が ある。(ii) 群も同様の可能性がある。(i) 天体は post-AGBs であろう。 |
![]() 図3.SAO 40342 と SAO 240664 の 60 μm 一次元スキャン。 3.2.一次元重ね合わせ一次元重ね合わせスキャンの一次元重ね合わせを使い、広がりを実証する。図3にその例 を示す。 フラックスの再決定 広がった天体の総フラックスを決め直した。結果は表5にある。 |
![]() 表6.SAO 40342 周辺星間物質のモデル計算 4.1.60 μm で広がった天体HR 4049 Waters et al 1989 を除き、これまで IRAS で post-AGBs に広 がった構造が検出された例はない。しかし、 1 kpc 距離で冷たい構造が古い PNe で検出された例 Leene et al. 1987, 1988 はある。Bachiller et al 1993 は CO の検出に成功し、そこから運動学年齢 10,000 年を導いた。4.2.例:SAO 40342SAO 40342 は B8 I, V = 9.4, E(B-V) = 0.40 天体で文献データはない。 60 μm サイズは 110" x 80" である。 星周シェルモデル星周ダストモデルは Hildebrand 1983 から得た:ρd = 3 g cm-3, Q(λ) = Qo(λ/λo)-p, Qo = 7.5 10-4, λo = 125 μm, グレインサイズ 0.1 μm, ガス/ダスト = 100. |
![]() 表7.SAO 40342 星周シェルのモデル計算 星とダスト 星は Kurucz 1979 log g = 2.0, Teff = 11,000 K モデルを使用した。 表6に幾つかのテスト計算の結果を示す。 星間物質モデル 結果を表7に示す。 4.3.結論星周シェルか星間物質なのか決まらない現在のデータからは広がった放射の原因が星周シェルなのか、照射を受けて 光っている星間物質なのか、判定できない。 グループ (iii) グループ (iii) の星は |z| の低さから大質量超巨星の可能性が高い。 |
![]() 表8.測光 5.1.SED フィットフィットIRAS 観測はダストシェルモデルでフィットした。UV, 可視の測光等級は Kurucz モデルでフィットした。星間減光は Savage, Mathis 1979 を 使用した。現実には減光は星間減光と星周減光が合わさっているが、 ダストシェルは光学的に薄いから星周減光は無視できる。 (たった3つしかフィットしていない! SED の FIR 部は星周減光を表している のに。 ) ベストフィットは表9に示す。 ダストシェルの Vバンド光学的深さ ダストシェルの Vバンド光学的深さも表9に示す。明らかに1より小さいこ とが判る。 (何度も云うが、表9の 小さい光学的深さでは FIR フラックスを産み出せない。 ) |
![]() ![]() 図4.上=SAO 240664, 中 = SAO 225457, 下 = SAO 243756 のSEDフィット。 点線= 黒丸(測光観測)に合わせた Kurucz モデル。 実線=IRAS に合わせたベストフィット。白丸=ダストモデルからの 計算結果。 |
SAO 225457 Olsen 1979 は Stromgren 測光に基づき、この星を "interesting color" に分類した。組成解析からやや低メタルとされる。 SAO 243756 Kilkenny, Hill 1975 のカタログにあり、彼らは Hβ が輝線で埋めら れ吸収線が浅くなっているとした。しかし、最近の研究では輝線となっている。 つまり、この 20 年で吸収線から輝線に変わっている。この星は SAO 244567 (Pottasch 1992, Parthasarathy et al 1993, Feibelman 1995) や V1853 Cyg (Parthasarathy 1994, Smith, Lambert 1994) と似る。 |
PN 誕生? これらの星は以前正常な B-型星と分類されていたが、赤外超過が発見されて 新たな関心を集めるようになった。最近の観測はそれらのスペクトルが吸収線 から輝線へと変わったことを示す。Parthasarathy et al 1993、 Smith, Lambert 1994 はこの変化を新しい PN の誕生と解釈した。この考えは 魅力的だが、少し数が多すぎないか? PNe 数 20 年間で PN が3つ誕生したとすると 100 年で 15 PNE となる。すると、 PN の寿命を 25,000 年として 3750 PNe となる。これは銀河系全体の PNe 数 7000 - 73000 Peimbert 1993 とまあ釣り合う。 |
![]() 図5.SAO カタログの V 等級分布 6.1.論文1との比較スペクトル型の変化Oudmaijer et al. 1992 = 論文I では F12 が検出された IRAS PSC 天体を同定した。その結果、論文I ではサンプルの大部分が G - F 型であるのに、本論文では B-型となる という変化が生じた。 輻射補正 BC の影響 図5は SAO 250,000 天体の V 等級分布である。V = 8 mag まで完全 であると分かる。もし post-AGB 星が光度一定で進化するなら、 V 等級 の変化は輻射補正 BC の結果として生じる。図6にそれを示す。 Teff = 6000 K から 25000 K (B0) まで変わる間に V 等級は 3 等暗く なることが判る。これは進化と共に SAO カタログからこぼれる割合が増 えることを意味する。 B-型 post-AGBs は逃した 図7には論文 I の post-AGB サンプルと、本論文の 15 天体の V 等級 分布を示す。論文 I の F-型星は V = 8 - 9 mag にピークを持つ。これ らの星は B 型になると V = 11 - 12 mag になるはずである。つまり、 F12 を非検出とする方法で B-型 post-AGBs を F-型 post-AGBs と同じ深さ まで検出することは SAO カタログでは出来ない。 |
![]() 図6.輻射補正 ![]() 図7.実線= post-AGBs と RV Taus の V 等級分布。破線=この論文 の 15 サンプル星の V 等級分布。 |
4.2.post-AGBs の完全サンプルを目指して球状星団と銀河post-AGBs スペクトル分布、進化タイムスケール、PN 生成率 などの問題に解答を与えるには DM 一定の球状星団や銀河を使うの が良い。 |
球状星団 De Boer 1985 は "UV" bright objects を研究した。Gonzalez 1994, Gonzalez, Wallerstein 1994 は ω Cen に post-AGBs を3星 発見した。 それらの星、 ROA 24, V1, V29, は Teff = 5000 - 6250 K である。 M31 king et al 1992 は M 31 に 100 の青く、 post-AGBs に対応する 明るさの星を探し、 PN らしき星を 3 つ見つけた。彼らは 熱い post-AGBs がサンプルに含まれると考えている。 |