Slowly Evolving post-AGB Stars ?


Oudmaijer, Waters, Pottasch
1993 ESOC 46, 122 - 128




 アブストラクト 

 AGB から PN への遷移期にあると考えられる多数の F-型超巨星を調べた。  それらが post-AGBs であると仮定し、HR 図上の左方向への進化が遅いと、 最近 AGB を離れた G, F 型星に選択効果を及ぼすことを示す。


 1.イントロダクション 


図1.(a). Oudmaijer92 サンプル星全体のスペクトル型分布。 (b). post-AGB 候補星のスペクトル型分布。(c). Schonberner 0.546 Mo モデ ル進化経路。(d). Schonberner 0.565 Mo モデル進化経路。 (e). Schonberner 0.598 Mo モデル進化経路。 (f). Schonberner 0.644 Mo モデル進化経路。

 高銀緯超巨星 

 最近高銀の B-G 型超巨星は post-AGBs ではないかと考えられるようになった。 Waelkens et al 1990, Waters et al 1990 はそれらの殆どはスペクトル型が F であることを指摘した。 Oudmaijer et al. (1992) は SAO カタログと IRAS/PSC との照合から、新たな post-AGBs 候補星を見 出した。

図2.B, A, F, G 型超巨星の銀緯分布。B 型星パネルの点線=我々の post-AGB 候補。

 SAO/IRAS サンプル 

  Oudmaijer et al. (1992) は SAO カタログと IRAS/PSC との照合から、新たな post-AGBs 候補星を見 出した。この選択ではまず、赤外超過のある B, A, F, G 型星が 462 個 選ばれ、そこから 73 個の超巨星が残された。

 既知 post-AGBs 

 ここでは、それらの星と Waelkens et al 1990, Waters et al 1990 にある 20 post-AGBs を合わせて考察する。
(後者の選択基準は? )
図1a を見ると、F 型が圧倒的に多い。

 超巨星の銀緯分布 

 図2には、超巨星の銀緯分布を示す。F型超巨星は他のスペクトル型と異なる 分布を示すことが判る。


 2.進化タイムスケール対スペクトル型 

 Schonberner モデル 

 Schonberner 1981, Schonberner (1983) の post-AGB 進化計算を用い、その Teff を Allen 1973 から採った スペクトル型に解釈して図1(c) - (f) を作った。

  AGB 期の終わり 

 Schonberner はややいい加減に AGB 期の終わりを Te = 5000K (G5) に設定した。そのため、0.644 Mo 進化経路で予想される多数の G 型星は 単に晩期型とされる。

 モデル質量による進化の差 

 初めの 1000 年間に星の表面温度は 1000 K 上昇する。
(6000 K までということ? )
その後、高質量モデルは低質量モデルより急速に進化する。その結果、高質量 モデルでは相対的に G 型期が長くなる。0.546, 0.565, 0.598 Mo モデルでは B 型期の時間が長い。
 なぜ F 型 post-AGBs が多いのか? 

 以上の議論から、F 型星が多いことは、高質量コアの星が多いことで説明 可能である。しかしながら、 Trams (1992) は高銀緯 post-AGB 星が低質量で Mc < 0.6 Mo であることを見出した。 従って、観測されているより多くの B-型 post-AGB 星が期待されるはずで ある。

  

 まず post-AGBs を探す際に選択バイアスが掛かる可能性がある。

(1)SAO カタログは V = 8.5 mag まで完全と考えられる。 しかし post-AGB 星が高温化して行くと、V 等級は暗くなる。

(2)post-AGB 晩期=B 型期には、シェルが広がり暗くなるため、 IRAS/PSC に載らなくなる。

これらの点を定量的に調べるため、モデル計算を行った。





図4.Schonberner の 4 モデルの進化。L = 1400 Lo (0.546 Mo), 4000 Lo (0.565 Mo), 6000 Lo (0.598 Mo), 8300 Lo (0.644 Mo) である。 距離 D = 1 kpc を仮定。水平実線= IRAS と SAO の完全度限界。

 3.モデル 

 シェル 

 ダストシェルは光学的に薄いと仮定する。さらに、
  ρd = 3 g cm-3
  Q(λ) = Qo(λ/λo)-1, X
  Qo = 7.5 10-4 at λo = 125 μm
  グレイン径 = 0.1 μm
  ガス/ダスト = 100
  ρ ∝ r-2

 モデルスタート時期 

 dM/dt = 5 10-5 Mo/yr を仮定すると、Rin = 2.2 1016 cm とする。これは Vexp = 10 km/s に対して、力学年齢 700 年に対応する。Schonberner モデルは T = 5000 K から出発するから、 この年齢は T = 6000 K に対応する。われわれはここからモデル計算を 始める。

 モデル初期状態 

 モデル初期状態は、したがって、 Te = 6000 K で内側境界ダスト温度は 120 K である。V バンドで光学的深さは 0.3 以下である。

 3.1.結果 

 観測限界 

 図4には、Schonberner の4モデルに対して、4バンドの等級変化を示す。 水平実線は完全性を示す。下の2質量モデルでは、F12 が直ぐに光球等級に なり、F25 も少し遅れて IRAS の完全性限界の下に沈む。 それに対し、上の2質量モデルではどの IRAS バンドも一貫して観測可能 であり続ける。星が 15000 K より熱くなると、 V mag の観測限界は 重要な制限となる。

 厚い、薄いシェル  

 何を言っているのか分からない。 


 4.議論/結論 

 二つの説明 

 なぜ晩期型の post-AGB 星が多数見つかるのか、の説明は二つ可能である。

(1)Schonberner が与えた進化タイムスケールによると、核質量が大の星は 遷移期間の大部分を晩期型星として過ごすから。

(2)各質量が小の星は進化が遅い。そのため IRAS が検出可能なのは post-AGB の最初期に限られてしまう。  
 検出限界を下回る 

 各質量が小の星の有効温度上昇のタイムスケールは、AGB シェルの温度低下 時間よりずっと大きい。このため、進化の遅い中心星の温度が 8000 K を超す 時には、F12 が IRAS の検出限界を下回ってしまう。

 F12 検出の条件を外す 

 したがって、もし F12 検出の条件を外し、または F25 検出の条件 さえも外して、post-AGBs を探せば、もっと多くの B-型 post-AGBs を検出することになるだろう。