LMC 星間物質のガスとダストの収支を調べた。Spitzer 中間赤外観測を用い、 LMC 全体で星間物質にガスとダストが注入される割合を調べた。AGB 炭素星候 補からの中高質量放出量は 8.5 - 21 10-3 Mo/yr である。酸素 AGB 星も含めると 27 10-3 Mo/yr となる。この数字は SFR と整合する。 LMC SNe からのガス注入は 20 - 40 10-3 Mo/yr である。 | 現在、LMC の SFR は AGBs と SNe からのガス還流を上回っている。現在の SFR は既 存ガス量に依存している。これは、外部からのガス降着が無ければ、星間ガスが 枯渇するにつれて SFR は低下することを意味する。高z銀河で見出されている 不明ダスト量問題は LMC にも存在する。ダスト寿命=0.4 - 0.8 Gyr 内に AGBs, SNe から蓄積されるダスト量は現在星間ダスト量より大幅に少ない。他のダスト源 が必要で、多分 SFRs に関連するであろう。 |
ダスト供給源 AGBs と SNe は銀河での主要なダスト供給源 Gehrz (1989) であるが、その相対的な重みは不明である。 Dwek 1998 は SNe がシリケイトダストの主要供給源で、一方 AGB 炭素星が 炭素質ダストの大部分を作るとした。 Jura, Kleinmann (1989) は AGBs が銀河系内のダストであるが、銀河面では SNe が主要となると 述べた。 (この論文に超新星の記述はない。 ) 超新星では衝撃波によるダスト破壊過程も進行するので、ダスト形成効率に関する 有効性は論争中の問題である。AGBs のダスト形成効率もやはり不明瞭である。 |
データ 銀河進化モデルは星種族を銀河の誕生から現在まで追跡することで、現在の 星間物質の組成を説明する。その為には、ダスト形成効率、ガスとダストの 放出効率、恒星内部の核合成の知識が要る。この論文では、LMC における ガスとダストの星間空間への注入率を測る。IRS/Spitzer による LMC AGBs の 赤外スペクトルと SAGE データを主に用いる。 |
![]() 図1.SMC/LMC 炭素星からのガス放出率(Groenewegen07, Gruendl08)と [3.6]-[8.6] の関係。ガス/ダスト=200 を仮定。 マスロス率の計算 Groenewegen07 は IRS/Spitzer スペクトルと SSO での JHKL 観測をモデル フィットした。Gruendl08 はextremely red objects (EROs) 13 個を発見した。 内7/13 は C-リッチと分かった。それらは 2MASS でも IRSF でも検出されて いない。図1,2、3にはそれらの結果を示す。フィットの結果は、 ![]() ダスト形成温度 Groenewegen07、 Gruendl08 はダスト形成温度を 1000 K とした。Lodders, Fegley 1995, Tielens, Waters, Bernatowicz 2005 はグラファイトの凝結温度 が C/O 比により変わり、C/O = 1.2 の場合 Tc = 1700 K になることを示した。 Tc の影響を調べるため、Gruendl08 が観測した 050231.49-680535.8 (J2000) を Tc = 1000, 1200, 1300, 1700 K でフィットした。その結果、光学深さと 風速の両方が Tc と共に増加することが判った。 |
![]() 図2.LMC 炭素星からのガス放出率(Groenewegen07, Gruendl08)と [3.6]-[24] の関係。 ![]() 図3.SMC/LMC 炭素星からのガス放出率(Groenewegen07, Gruendl08)と Ks-[8.6] の関係。ガス/ダスト=200 を仮定。 (赤線は独立なフィットか?) (SED で光学深さは決まってしまわないか? 風速まで決まるのはどうしてか? ) Tc = 1000 K から 1700 K まで上げると、マスロス率は 2.4 倍になる。 これは、赤外カラーだけから得たマスロス率は系統的に 1/2.4 まで過小評価 している可能性を示唆する。 |
IRS スペクトルの分類 様々な研究で観測された LMC AGBs の IRS/Spitzer スペクトルを集めた。 それらを、赤外放射帯、分子吸収帯を使って O-リッチと C-リッチに分けた。 O-リッチ星は大抵巨星か超巨星である。しかし、図 A1 に示すように二つの YSOs か post-AGBs が混じっている。それらの星の SAGE 対応天体を探した。 122 IRS 星で 1" 以内に対応天体が見つかった。7 IRS 星は 1" - 2" 以内に SAGE 天体があった。5 IRS 星の対応 SAGE 天体はそれより遠い。2" 以内の 同定を採り、76 O-リッチ星と 40 C-リッチ星が SAGE で同定された。 (1合わない) O-リッチグループに IRS はないが OH メーザー検出の星を一つ加えた。 |
可視炭素星、M-型星 Kontizas01 は可視分光で同定された炭素星のカタログを作った。それらの 3" 以内で SAGE カタログを探し、 5710 マッチを得た。 Cioni01 は LMC 中の赤い天体 126 星の可視スペクトルを得、C-リッチ 11, O-リッチ 61 を得た。それらはグラフ内では"C-AGB(optical)", "O-AGB(optical)" と表記される。さらに多くの研究から M-型星を選んだ。1710 星が見つかり、 内 1568 星が IRAC で、971 星が MIPS で 1" 以内に見つかった。位置は SIMBAD から得たので、これらは "O-AGB(Sim)”と名付けた。幾つかは AGB でなく、 RGB 星かも知れない。 |
![]() 図4a.SAGE全体の[3.6]-[8.0] - [8.0] CMD. [3.6]-[8.0] - [8.0] CMD 図4に [3.6]-[8.0] - [8.0] CMD を示す。 Meixner et al. (2006) と Blum et al. (2006) は [3.6]-[8.0] - [8.0] CMD を天体分類に用いた。我々は Blum et al. (2006) の "extreme-AGBs" をIRS/Spitzer スペクトルに基づいて、 O-リッチ、C-リッチに分けた。その境界は ![]() 炭素星領域にある OH/IR 星 低光度O-リッチ星(図A1)に加え、9つの IRS O-リッチ星が C-リッチ領 域にある。 (低光度O-リッチ星もC-リッチ 領域にあるのか?図でどれか?) 内 4 個は OH/IR 星 (Wood92) で、シリケイト吸収帯を示す。上の境界線 が完全な分類を与えることは不可能である。しかし、この C-リッチ区間に炭素 星の大部分が入ることは確かである。OH/IR 星カラーの炭素星はマスロス量は 大きくなく、 OH/IR 星の数は少ない。したがって、炭素星からの総マスロス を考える上では、少数の OH/IR 星を C-リッチと誤認したままでも、影響は 少ない。 |
![]() 図4b.分光で分類された AGBs の [3.6]-[8.0] - [8.0] CMD. C-リッチと O-リッチの境界を示す。破線=Meixner06 による検出限界。 TRGB は [8.0] = 10 付近である。C-リッチ星の数は [3.6]-[8.0] =0.7, [8.0]=9 付近から減少する。 (文意不明。英語も変。) 光学的に薄いシェルの星 また、式 4 - 7 で区分された領域外には多数の 「可視」炭素星がある。 しかし、現在得られる TCDs, CMDs ではその領域で C-リッチと O-リッチを 分けることは難しい。それら光学的に薄いシェルの星からのマスロスは後に 論じる。 銀河 [3.6]-[8.0] > 4 付近で少数の未分解銀河が AGBs 領域に混入している。 Blum et al. (2006) は遠方銀河の [3.6]-[8.0] カラーを研究した。彼らは [3.6]-[8.0] = 3, [8.0] > 10 付近に銀河候補が集中していることを見出した。彼らは 銀河候補が [3.6]-[8.0] = 3 [8.0] = 7 まで上がってくると考えた。 そこで、彼らは [3.6]-[8.0] = 3, [8.0] < 10 の天体を分類しなかった。 しかし、IRS/Spitzer サンプル AGBs は [3.6]-[8.0] = 3, [8.0] = 7 付近に C-リッチ星が存在することを示す。3.2.節では [3.6]-[8.0] = 3, [8.0] < 7 の大部分が LMC の星であることを示す。 [3.6]-[8.0] = 0.7 炭素星の数密度は Ks-[8.0] = 1.4 (図A1) または [3.6]-[8.0] = 0.7 で 変化がある。これはマスロスが強い星と弱い星との境界である。青い方の 星はオパシテイは H- と分子吸収帯であるが、赤い星ではダスト 放射が MIR 超過の原因である。 HIIRs, YSOs, WRs, PNe HIIRs, YSOs, WRs, PNe はすべて C-リッチ星の領域に入り込む。我々は それらの期待数は少ないので総マスロスに及ぼす影響は小さいと考える。 (幾つかの議論があったが省く。) |
![]() 図A7.[3.6]-[24] - [3.6]. 赤=O-リッチ。青=C-リッチ。 カラー・マスロス関係式 C-リッチ AGB 星からのマスロスには 2.1. 節で述べた カラー・マスロス 関係式を使う。表1に高いマスロスの星のリスト例を示す。基本的には [3.6]-[8.0] カラーを使用するが、低マスロス星に対しては Ks-[8.0] で補う。 総マスロス率 [3.6]-[8.0] > 0.7 の C-AGBs は 1779 星ある。それから出した全マス ロスは 7.4 10-3 Mo/yr である。個々星での最高値は 9.3 10-5 Mo/yr である。図4と図A7にあるように限界は [3.6] で 決まる。表2にはマスロス率区分に入る星数を示す。 |
![]() 表2.マスロス率区分ないの星数。マスロス評価には二つのカラーが用いられ 比較した。 |
低マスロス 低マスロス星に関しては、Ks-[8.0] と [3.6]-[8.0] の二つのカラーは 少し異なるマスロスを与える。Ks-[8.0] を使う方が良いだろう。我々は [3.6]-[8.0] > 2.2 では [3.6]-[8.0] カラーを、それ以外では Ks-[8.0] を使用する。この方式で得た総マスロスは 8.6 10-3 Mo/yr である。 Srinivasan et al. (2009) 推定値 Srinivasan et al. (2009) は別の方法から AGB マスロス総量を 2.5 10-3 Mo/yr と見積もっ た。本研究の方が高いのは、マスロス率が非常に大きな星を含んでいるからで ある。それら、 Blum et al. (2006) は以前には何であるか未分類であった。 もっと厚いダスト星? Ks と [3.6] の検出限界から、もっと厚いダスト星が未検出のままでいる可 能性はある。 (あるとしたら [8] で明るくて[3.6] で見えない星? ) |
表2=マスロス分布 表2にはマスロス率の区分ごとに星数を示す。表から、 > 6 10-6 Mo/yr の大マスロス星が総マスロスの大部分を担うことが判る。類似の結果は MW においても知られている。Knapp, Morris 1985, Jura, Kleinmann (1989), Le Bertre et al 2001, Ojha et al 2007. 青い AGBs LMC には [3.6]-[8.0] > 0.7 の C-リッチ AGBs が 1779 星存在する。 それより青い AGBs の数は赤い AGBs の 10 倍である。 10.5 < [8.0] < 8 (? ) で [3.6]-[8.0] < 0.7 には 13460 星が存在する。[8.0] = 10.5 は TRGB 等級である。さらに、 TRGB の下にも C-リッチ AGB 星がある。 (AGB? ) それらは外因性の炭素星か熱パルス後の光度低下期にある炭素星であろう。 ダスト駆動マスロス星のカラー [3.6]-[8.0] = 0.5 を脈動/オパシティ駆動マスロスとダスト駆動マスロスの 境界と仮定しよう。そこでのマスロスを 10-8 Mo/yr と適当に 仮定すると、全体でも 10-4 Mo/yr で全体への寄与は無視できる。 |
図5と表3は,高、中程度マスロス C-リッチ AGBs の空間分布を示す。 C-リッチ AGBs の 1/3 が "bar centre" に集中している。二つの星団があり、 一つは NGC 2154 (RA, Dec) = (05h27m17s, -67°15.7') で 44 C-星が集 まっている。もう一つは NGC 1978 (RA, Dec) = (05h57m382, -70°44.1') で 24 C-星が見つかっている。 |
4.1.単位面積当たりの AGB マスロス率表4の数値を用いて、LMC 単位面積当たりのマスロス率は 2.2 10-4 Mo yr-1 kpc-2 である。この値は場所により 1.1 - 5.1 10-4 Mo yr-1 kpc-2 の変動を示す。 これは太陽から 1 kpc 以内のマスロスを調べた Jura, Kleinmann (1989), の 3-6 10-4 Mo yr-1 kpc-2 と同程度で ある。彼らは dMgass/dt > 2 10-6 Mo/yr の星に限ったが、 低マスロス星を加えても結果は変わらないだろう。 Thronson, Latter, Black, Bally (1987), Tielens 1990, Groenewegen et al 1992 も類似の結果を得ている。4.2.他のマスロス天体(表5)4.2.1.SNe理論モデルKodama、Arimoto 1997 のモデルは最近数 Myr の SFR = 現在値とした。 Mup = 60 Mo, Mlo = 0.1 Mo の Kroupa01 IMF では "the ratio of the SFR to the gas expulsion rate(GER) by Type II SNe is 0.32" (Kodama,Arimoto 1997 にはその個所が 見つからない。それと、上の英語は意味が逆でないか? ) Smecker-Hane, Cole, Gallagher, Stetson (2002) は 200 Myr 昔の赤色巨星を用いて SFR を測定した。この値を現在値と考えると、 バーで 0.01 Mo yr-1 deg-2, 円盤で 0.004 Mo yr-1 deg-2 である。 これは SNe からのガス注入として、 バーで 0.003 Mo yr-1 deg-2, 円盤で 0.001 Mo yr-1 deg-2 を意味する。 (この論文は主系列星光度関数から SFH を導いている。最近の SFR(t) もガタガタ。まあ平均としてはいいかな。 ) つまり、バーでは SNe からのガス還流が AGBs からの還流より大きい。しかし、 円盤では AGBs の方が優勢である。 |
![]() 表5.LMC 星間物質に注入されるガスとダストへのタイプ別貢献度 SNR の観測 Mathewson et al 1983 は LMC 内に 25 SNRs を見出した。それから、彼らは タイプII SNe/275 yr, タイプ I SNe/550 yr と見積もった。Filipovic et al 1998 は SN/100 yr とした。SNe からのダスト形成はさらに不確かである。 SN 1987A のダスト量は最大評価で 1.3 10-3 Mo である。 この値だと、 タイプ II SNe は 5 10-6 Mo/yr のダスト形成が 可能である。銀河での観測は非常に広い範囲を示しており、この値は大きく変わる 可能性が強い。 |
4.2.2.WRs と LBVsWRsBreysacher, Azzopardi, Testor 1999 は種族 I WRs 134 個をカタログ化した。 うち 40 個ではマスロスが測られている。その総計は 2 10-3 Mo/yr である。残りも同じくらいのマスロスとすると WRs 全体で 6 10-3 Mo/yr となる。 LBVs と OBs LBVs もマスロスに貢献する可能性がある。η Car は 10-3 Mo/yr でガスを吐き出している。しかし、それほど激しい LBVs は稀である。LMC には 約 2000 の OB 星がある。平均 1 - 10 10-7 Mo/yr とすると、全体 では 2 - 10 10-4 Mo/yr となる。 4.2.3.RSGsM > 8 Mo 星は RSG 期にダストを形成する。LMC で最も明るい RSG WOH G64 の周りの星周ダストの総量は 2 10-2 Mo である。これは SN 1987A より多い。van Loon et al. 2005 は古典的な AGB 光度上限 log L/Lo = 4.74 ( Wood, Bessell, Fox (1983) ) を超える O-リッチ RSGs 14 個のリストを作った。そのマスロス総量は 10 10-4 Mo/yr になる。彼らは ガス/ダスト= 500 を仮定しており、 ダスト量では 2 10-6 Mo/yr となる。4.2.4.O-リッチ AGBsO-リッチ AGBs の数O-リッチ AGBs の数は不明である。それで、総マスロス量も分からない。 van Loon et al. 2005 は 7 つの O-リッチ AGBs を研究して、全体でガスマス ロス 2 10-4 Mo/yr, ダストマスロス 0.4 10-6 Mo/yr を得た。 |
O-リッチ星からの還流 O-リッチ星と C-リッチ星の数の比から単純に考えると、O-リッチ 星からのガスとダストの還流の上限は C-リッチ星と同じくらいであろう。 C-リッチと O-リッチの星の比はメタル量に依る。Feast 1989, Feast, Whitelock, Menzies 2006, Groenewegen 2007. Blanco et al 1978 は LMC において、 低マスロス AGBs では O-リッチと C-リッチの星数は同程度とした。しかし、 PNe になると調べられた 2/23 PNe のみが O-リッチであった。 こうして、O-リッチ AGBs からの総マスロスは C-リッチ AGBs からの総マス ロスと同じくらいか少ないことが予想される。 (曖昧で論理が理解できない。少なく ともマスロスの観測はナシ。) 進化モデルの予想 進化モデルによると LMC メタル量では、 O-リッチ AGBs は 1.0 - 1.5 Mo と 5 - 8 Mo の主系列星が母星であり、O-リッチ AGBs は 1.5 - 5 Mo 主系列 星から進化した星である。Karakas, Lattanzio 2007. 中間質量星では HBB に より C 原子が O 原子に変えられてしまう。Kroupa IMF を使うと、 O-リッチ: C-リッチの比率は数で 1:1, 質量で 1:1.4 である。 (SFH 無考慮か一定?) こうして、結論としては、O-リッチ AGBs からのマスロスは 60 10-4 Mo/yr かそれより少ないくらいである。 超星風 Lagadec, Zijlstra 2008 は LMC のように低メタルの場合 O-リッチダスト が超星風を駆動するのは L > 104 Lo になった時のみである ことを示した。これは星数比に比べるとマスロス比では C-リッチ星が支配的に なることを意味するのかも知れない。 (マスロスが強いと寿命は低下することも 考慮しなければ。 ) S-型星 LMC における S-型星の調査は完全でない。しかしマスロスにおいてその貢献 度は低いだろう。 |
表5=諸天体からのガスとダストの供給 表5には様々な天体からのガスとダストの供給量を示す。AGBs 特に C-リッチ AGBs が主要な役割を担っている。SNe からの供給量は非常に不確かである。 MW との比較 Tielens et al 2005 は MW においては AGBs が還流の主役であり、SNe の寄 与は一桁下であることを示した。観測的な差は最近増加した星形成域の数 にも関連する。この増加は SMC との相互作用 Bekki, Chiba 2005 によるらしい。 実際、一定 SFH を仮定すると、AGBs からの還流は SNe 及びその前駆天体から の還流の2倍になることが判る。したがって、LMC では SFR の増加が求められる のである。 4.4.種族と空間分布表3=還流率分布 表3は、バー中心、バー周辺、円盤、LMC 全体での還流率分布を示している。 星数比率が場所により変わらないのは、これらの星が同一種族に属しているこ とを示す。 |
バー北側と円盤北側 Reid, Parker 2006 は LMC PNe を調べ、バー北部では PNe が少ないことを 見出した。彼らはそれを星間減光が強いためとした。しかし、しかし同様な傾 向が NIR, MIR で探された AGBs = PNe 前駆天体にも見られる。したがって、 バー北部にそれらが少ないことは本当なのであろう。 Cioni, Habing, Israel 2000 は Dec > -67° =円盤北側、で若い RSGs が多いことを見出した。それらの星は 0.5 Gyr より若い。同様に 6 10-6 - 3 10-4 Mo/yr のマスロス星もこの領域に多い。 彼らはバー北部では少ないが、この円盤北部には多いのである。この円盤北部 領域では 3 10-6 - 6 10-6 Mo/yr のマスロス星が 少ない。これは活発な星形成域の位置が過去 0.5 - 1 Gyr の間一定であった ことを示唆する。 (回転による位置の移動の問題が また現れる。 ) O-リッチ星 O-リッチ AGB 星は 1.0 - 1.5 と 5 - 8 Mo の二つの集団に分かれる。 それらは C-リッチ AGBs とは異なる分布を持つだろう。実際、 Blanco, McCarthy 1983 と Cioni, Girardi, Marigo, Habing (2006) は O-リッチ星が C-リッチ星より遠方まで広がっていることを示した。 バーは若い Smecker-Hane, Cole, Gallagher, Stetson (2002) はバーの星の 35 % が 3 Gyr より若く、 71 % が 7.5 Gyr より若いことを 示した。それに反し、円盤では 3 Gyr より若い星の数は 19 %, 7,5Gyr より 若い星は 41 % である。炭素星の主系列質量は 1.5 - 5 Mo と考えられ、 それは 1.5 Gyr より若いことを意味する。バーに炭素星が多いことは種族が 円盤より若いことに対応する。 |
4.5.1.SFR と星からの還流SFR と星からの還流の比較Whitney et al. 2008 は LMC SFR = 0.19 Mo/yr, Kennicutt et al 1995 は 0.26 Mo/yr を与えた。これは AGBs, SNe からの還流より一桁大きい。 現在の星形成は HI で 7 108 Mo, H2 で 1 108 Mo という星間ガスの切り崩しに頼っている。それらは表6 にまとめられている。 貯蔵ガスは枯渇 外部からのガス降着がないなら、いずれ貯蔵ガスは枯渇し星形成は低下 するであろう。 (この後の文章の意味が分からない。 ) 4.5.2.減光曲線への影響還流源は LMC と MW とで大きく異なる。そこから二つの疑問が起きる:(1) (ここの意味は分からない。 ) (2)AGB 星の シリケイト/炭素比が ISM ダストでの比となぜ違うか? AGBs 還流は C の方が O より大きいのに星間減光曲線にはそれが反映されて いない。何かシリケイトダスト源が必要であろう。 4.5.3.過去の SFH に関する還流GERAGB/SFRSmecker-Hane, Cole, Gallagher, Stetson (2002) の SFR バーで 0.01 Mo yr-1 deg-2, 円盤で 0.004 Mo yr-1 deg-2 という SFR を採用する。 これらの数値は AGB C-星が形成された 1 - 3 Gyr 昔の SFR をなぞる。 (この文章も何を言っているか不明 ) C-AGBs からのガス還流率 GERCAGB と ダスト還流率 DERCAGB は表3から得ることが出来る。 バーでは GERCAGB/SFR = 0.03 - 0.04, バーの外側では、0.02 で大体同じくらいである。もし O-リッチ星からの還流 を加えれば、GERAGB/SFR = 0.03 - 0.08 くらいまで上がるだろう。 |
若しSFR が AGBs の寿命
(主系列を含めての寿命と解釈) の間一定なら、星質量の 3 - 8 % が AGB の間に ISM に還流される。 (どんな論理か想像できない。) MW 同じように MW においても GERAGB を計算できる。 Jura, Kleinmann (1989), より、GERAGB/SFR = 0.02 - 0.06 である。ここでは Rana 1991 の 3 Gyr 昔の値 0.01 - 0.02 Mo yr-1 kpc-2 を用いた。 理論との比較 Kroupa01 IMF を使うと 1 - 8 Mo 星は全体の 24 % を占める。もしこれらの星が AGB 期に 50 - 80 % の質量を失うなら、還流率は 12 - 19 % になる。前に 計算した還流率は 3 - 8 % である。というわけで、我々の観測値は一般的には 理論値と整合するが、理論値は少し高い。 (SFRに現在値を使ったのが悪いと思う。) 4.5.4.不明ダスト源問題不明ダスト源問題LMC のガスマス= 8 108 Mo, ダストマス= 1.6 106 Mo. 表6にあるように、 C-ダスト還流率= 4.3 - 10 10-5 Mo/yr, C-ダスト還流率= 1.2 10-5 Mo/yr なので、還流で現在の星間ダ スト量になるには 20 Gyr 掛かる。一方、Jones et al 1994, 1996 によると、 SN 衝撃波による破壊のため星間ダストの寿命は 0.2 - 0.4 Gyr である。この期間 0.4 Gyr に供給できるダスト量は SNe と AGBs を合わせても 5 104 Mo である。 高 z 銀河 類似の問題は高-z 銀河にもある。Meike et al 2007 は SNe で形成される ダストが高-z 銀河で検出されるダスト量にはとても足りないことを示した。 Sloan et al 2009 は AGBs もダスト形成に貢献することを見出したが、それ でも足りない。何か別のダスト源が必要である。 Morgan, Edmunds 2003 は 星形成域でのダスト形成を考えた。星間空間内でのダストの成長も可能性が ある。 |
1.マスロス-カラー関係 AGB 星からのマスロス量は赤外カラーの関数である。 (質量 or 光度差を無視できるから? ) 2.マスロス率 LMC では C-AGBs からの総ガスマスロス率= 8.6 - 21 10-3 Mo/yr, 総ダストマスロス率= 4.3 - 10 10-5 Mo/yr である。O-AGBs の寄与 を加えると、総ガスマスロス率= 15 - 27 10-3 Mo/yr, 総ダストマスロス率= 6 - 10 10-5 Mo/yr である。 3.AGB/SN LMC では AGBs が主役の一つ。ただし、バーでは SNe の方が少し多い。LMC での SNe からのガス注入率は 40 10-3 Mo/yr に達する。 (SNe が上? ) |
4.還流/星形成率 C-AGBs からの還流/3 Gyr 昔のSFR = 2 - 4 %. O-AGBs を加えて 3 - 8 %. 5.SNe SNe からの還流の比重は バーで高い。 6.還流/SFR 現在の還流は AGBs と SNe を加えても SFR よりずっと低い。このままでは星間 ガスが枯渇する。 7.不明ダスト源問題 解決策は不明。 |