IoA Seminar 2017 / 平成29年度/2017年度・東京大学・天文学教育研究センター・談話会 †Upcoming Seminars †No. 320: February 1 (Thu), 2018, 15:30 - 16:30 †Speaker: 衣川智弥 (東京大学 宇宙線研究所) †Title: 初代星連星からの重力波 †Abstract: 2015年9月14日、アメリカの重力波観測器advanced LIGOは世界で初めて重力波(GW150914)の直接観測に成功した。日本でも重力波観測器KAGRAがテスト稼働を終え、本格的な観測に向け動き出している。今はまさに重力波天文学の黎明期に位置している。重力波観測のメインターゲットはコンパクト連星の合体である。コンパクト連星とは、星が寿命を終え超新星爆発や重力崩壊を起こしてできるコンパクト星(ブラックホール、中性子星)同士の連星である。コンパクト連星は重力波放出により軌道が縮まり、いずれ合体する。重力波によるエネルギー放出は弱いため、合体までのタイムスケールは数億年から宇宙年齢以上と非常に長い。したがって、宇宙初期にできたコンパクト連星でも現在で合体するものがあるはずである。そこで我々は宇宙最初の星である初代星に注目し、重力波源として研究を行ってきた。その結果、初代星起源の連星は典型的に約30太陽質量程度の連星ブラックホールになることを2014年に示した。一方で従来観測されてきたX線連星内にあるブラックホール候補天体は10太陽質量程度であり、そのような重いブラックホールはほとんど存在しないだろうと思われていた。しかし、LIGOによる重力波の初検出はまさに約30太陽質量の重い連星ブラックホールの合体によるものであった。これにより、宇宙には従来考えられていなかった重い連星ブラックホールが多く存在することが示唆されており、それらは宇宙初期にできたものかもしれない。本セミナーでは初代星の連星進化の概要とその手法についても述べる。また、連星ブラックホール以外での初代星連星の観測可能性についても時間の許す限り議論する。 Language: Japanese No. 321: February 6 (Tue), 2018, 15:30 - 16:30 †Speaker: Ernest A. Michael (Astro-Photonics Laboratory, RAIG, University of Chile) †Title: Fiber-based heterodyne infrared interferometer: Towards a small proof-of-principle prototype at 1.55 µm †Abstract: I present the concept for a relatively low-cost near-infrared heterodyne interferometer based on commercial 1.55µm fiber components. First lab results were obtained for the telescope to single-mode fiber coupling control, LO phase-stabilization between both telescopes, and the heterodyne correlation receiver system, and an on-sky demonstration is planned with our 14”-telescopes. I discuss the applicability of this concept for long-baseline, high telescope number systems and mid-infrared wavelengths. No. 322: February 15 (Thu), 2018, 15:30 - 16:30 †Speaker: 鈴木智子 (国立天文台) †Title: [OIII]輝線でトレースされたz>3の星形成銀河の活動性と星間空間の物理状態 †Abstract: z=3-3.6の時代は、宇宙における銀河の活動性がピークとなるz=2-2.5の直前の時代に相当し、銀河形成・進化のシナリオを理解する上で重要な時代であると言える。その一方で、z~2.5までの時代と比較してまだ十分に研究が進んでいるとはいえない。z>3においてはHα輝線が地上からでは観測が難しくなるため、本研究ではその代わりに、同じく静止系可視の[OIII]λ5007輝線を星形成銀河の指標として用いるということを行ってきた。近年、遠方では一般的な星形成銀河であっても強い[OIII]輝線を示すということが分かってきており、z=3-3.6の星形成銀河をトレースするのに[OIII]輝線は有用であると考えられる。 狭帯域フィルターを用いた近赤外線撮像観測を通して得られたz~3-3.6の[OIII]輝線銀河のサンプルについて、多色の測光データと近赤外線分光観測で得られたデータなどを用いて、その星質量や星形成率といった物理量および星間空間の物理状態(金属量、電離パラメーター)を調べた。それらの物理量を最盛期(z~2-2.5)の星形成銀河のサンプルと比較したところ、星形成活動性と星間空間の物理状態はz~3.2からz~2.2にかけて大きくは進化せず、この時代の銀河の進化段階は主にその星質量で決められているということが示唆された。今回は、これまでの遠方の[OIII]輝線銀河に関する我々の一連の研究と今後の展望について紹介する。 Language: Japanese 本談話会について †趣旨 †東京大学・天文学教育研究センターでは2003年4月から, 院生コロキウムに引き続き, 談話会を開いています. 第一線で活躍されている研究者の方々を講師にお招きし, 最先端の研究成果をお話しいただきます. 講師の方には, 大学院生の参加者のことも考慮し, レビュー的な側面も含めた上で, ご自身の研究紹介をお願いしています. 日時 †
場所 †
標準タイムテーブル †
世話人 †please replace _at_ to @
Schedule †
終了した談話会(2017年度) †詳細はこちら: 平成29 (2017) 年度談話会
これまでの談話会 † |