東京大学アタカマ天文台がギネスに認定されました。
〜世界最高地点の天文台〜
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▲ ギネスワールドレコード認定証
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地上からの天体観測は、天体からの光が地球大気によって吸収・散乱されたり、大気そのものの放射によって、感度が低下します。そこで上空大気量が少なく、乱れのより少ない高地に天文台を設置することで、高感度で精度の高い観測を
行うことができるようになります。標高が高くなるにつれて大気圧が下がり、2,000mでは地表の80%、5,000mでは地表付近の約半分になります。
このような理由から現在大口径の望遠鏡を持つ観測施設は、いくかのサイトに集中しています。この中でもチリ・アタカマ高原はその標高と乾燥した環境から、天体観測に最も適した場所と言われています。
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国 |
地域 |
標高 |
天文台(群) |
主な天文台 |
1 |
チリ | チャナントール山 |
5,640m | 東京大学アタカマ天文台 |
mini-TAO |
2 |
ボリビア |
チャカルタヤ山 |
5,200m |
日本・ボリビア空気シャワー実験 |
BASJE |
3 |
チリ | アタカマ高原 |
5,000m | 電波望遠鏡群 |
ALMA, APEX, ASTE, なんてん |
4 |
アメリカ |
ハワイ・マウナケア山 |
4,200m |
マウナケア天文台群 |
すばる, Keck, Gemini, UKIRT, CFHT, IRTF, CSO |
5 |
南極 |
ドームA |
4,090m |
中国科学院国家天文台 |
CSTAR |
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東京大学アタカマ天文台は観測条件としては非常に良いものの、観測者にとっては過酷な環境での作業になります。しかし我々は、低水蒸気量・低気圧故の赤外線観測に適した条件を最大限活かすため、2009年より観測を続けています。
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上:標高5640mのチャナントール山頂からアタカマ高地を見下ろす。
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右:ドーム内から見た南天の空。下に写っているのは、1m miniTAO望遠鏡とカセグレン焦点に搭載された近赤外線カメラ(ANIR)。
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ファーストライト後、様々な観測が行われていますが、これまで地上からの観測は困難と言われていた、30um帯の中間赤外線観測に威力を発揮し、数々の結果を出し続けています。 また、近赤外線領域にある水素輝線(Pa_α :1.875um)で、天の川銀河中心領域の電離ガスの様子を地上から初めて捉えることにも成功しました。現在、銀河面全体のPa_αのマップ作成のための観測が着々と進められています。
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