東京大学アタカマ天文台 (TAO) 計画 |
6.5m望遠鏡TAO望遠鏡は口径6.5mの主鏡を持つ大型望遠鏡で、標高5,640mという標高を活かしつつ効率的な観測を行うため、 (1) 水蒸気量が非常に少なく、高感度の赤外線観測に設計されている、 (2) 装置の取り外しや交換などを行わない、また山麓施設からの遠隔観測によって、メンテナンス・運用へ配慮、 (3) 経済性を考慮したコストパフォーマンスの高い設計、 という特徴を持っています。 TAO望遠鏡には3つの焦点があり、各焦点には観測装置が搭載されます。 望遠鏡や観測装置には多くの最新技術が導入され、世界最高性能の観測を行います。 鏡主鏡TAO 望遠鏡の主鏡にはボロシリケイト (オハラ社 BSC ガラス) のハニカム軽量鏡が用いられます。 これはアリゾナ大学 Mirror Lab. で開発されたもので、自重を支えるのに十分 な厚み (外周厚み 71cm, 内周厚み 39cm) を持ちながら、 ハニカム構造によって重量を極限まで小さくしています (口径6.5m、重量8.3t。銀でコーティング。) 主鏡 F 値は 1.25 と 非常に速く、望遠鏡鏡筒を短くし望遠鏡・ドームをコンパクトに納めることに貢献しています。 このような速いF 値の望遠鏡を実現するため、回転するテーブルの上で鏡材を成形する方法 (spin cast 法) によって主鏡は製作されます。 副鏡TAO 望遠鏡では赤外観測性能を高めるため赤外線観測に最適化した副鏡を用いられます。 すべての観測装置で共通に使用し, 観測モード変更による副鏡交換は行わなわず、これによって副鏡支持構造の簡素化、運用の負担を低減を 実現します。さらに、高速アクチュエータにより表面形状を変えることのできる最新技術が導入される予定です。 この機能は、補償光学 (AO:Adaptive Optics) 装置と組み合わせて使われ、大気のゆらぎを補正しシャープな画像を得ることができます。 観測装置ナスミス焦点 中間赤外分光撮像装置MIMIZUKU
TAO 望遠鏡は標高5,640mという高地に建設されるため、中間赤外域の観測でも高い優位性を示すと考えられます。
そこで我々は中間赤外観測装置 MIMIZUKU (Mid-Infrared Multi-field Imager for gaZing at the UnKnown Universe) の開発を進めています。
MIMIZUKU の特徴は以下の三点に集約されます。
(1) 中間赤外波長の 2-38μm という広い波長範囲をカバー、
(2) 30μm 帯で 1 秒角と言う世界最高の解像度を達成、
(3) Field Stacker による観測で高精度のモニタ観測を実現。
この装置は 2-38μm という広い波長範囲をカバーする装置で、TAO 望遠鏡の持つ中間赤外域での観測ポテンシャルを最大限活かした設計となっています。
また Field Stacker という 2 視野を同時に観測できるシステムを世界で初めて実用化し、赤外線の時間変動も高精度で検出できるよう工夫されています。
詳細は下記をご覧ください。 ナスミス焦点 近赤外線 2 色同時多天体分光器SWIMS
SWIMS (Simultaneous-color Wide-field Infrared Multi-object Spectrograph, 近赤外線 2 色同時多天体分光器) は, 0.9〜2.5 μm の波長域において
撮像機能と冷却スリットマスクによる多天体分光機能を備えた近赤外線観測装置です。この装置は TAO 望遠鏡のサイエンスの大部分を担う
最も重要な観測装置として、汎用的でありながらも TAO 望遠鏡の独自性を保つ仕様となっています。
SWIMS は 0.′′126/pixel という高い空間分解能で φ9.′6 の広視野をカバーし、近赤外線の 2 波長域 (blue: 0.9〜1.4 μm / red: 1.4〜2.5 μm) の同時撮像・
同時多天体分光を実現します。 TAO 望遠鏡サイトの強みである連続的な大気の窓を活かし、”0.9〜2.5 μm のスペクトルを切れ目無く取得する
事が出来る”、ことが SWIMS の最もユニークな点です。SWIMS は大きく分けて、分光用スリットマスクを扱うスリットマスク交換機構と、
光学系や検出器を真空・低温下に維持するメインデュワー、そして装置を支える支持構造や周辺機器で構成されます。
詳細は下記をご覧ください。
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