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東京大学アタカマ天文台 (TAO) 計画

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エンジニアリングチームの活動紹介

TAO 6.5 m望遠鏡を使って観測をするためには、電力やクレーンなどの基礎的な設備が安定して使えることが必須です。TAOの設備のメンテナンスや部品交換などの現場作業を行い、縁の下の力持ちとなって観測を支えるのがエンジニアリングチームです。今回は電気エンジニアのFrancisco氏から、来歴やエンジニアリングチーム活動に対する想い、主な作業内容であるTAO山頂にある発電機のメンテナンスなどに関するメッセージを送ってもらいましたので、ご覧いただければ幸いです。

私は2021年から電気エンジニアとしてTAOプロジェクトに参加しています。このプロジェクトのことを初めて耳にしたときから、これほど高水準な天文台で働くことが私の夢となりました。そしてその夢が年月を経てついに現実となったのです。この強い思いの原点は、子供の頃に星空を見上げ、宇宙の神秘を理解したいと常に魅了されてきたことにあります。

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▲ チャナントール山の中腹(標高5,000m地点)にて記念撮影する筆者

TAOプロジェクトに参加する以前はジョンズ・ホプキンス大学が運営するトコ山のCLASSプロジェクトに従事していて、その頃はよくチャナントール山の方向を眺めてはこれほど大規模で国際的に知られているプロジェクトに携わることへの挑戦とその意義について想像を巡らせていました。

また、私の母校であるカトリカ・デ・ラ・サンティシマ・コンセプシオン大学、ならびに在学当時から現在に至るまで私を支え、導いてくださったリカルド・ブストス・プラセンシア教授に、心より深く感謝申し上げます。同校における教育と教授のご指導は、私の学業およびプロフェッショナルとしての成長において、なくてはならない確固たる基盤となりました。こうした学びを通じて、私は天文台のような世界最高峰の科学機関におけるエンジニアの役割がいかに重要であるかを理解するに至りました。科学技術を前進させるためには、技術的な責任感、イノベーション、そして緊密なチームワークが不可欠であることを学んだからです。

その後、チリ・カトリカ大学でのキャリアの機会をいただき、世界で最も高い場所にある天文台での仕事に参加するという光栄に浴することとなりました。この天文台で働く最初のチリ人エンジニアとなったのです。私は建設フェーズからこのプロジェクトに参加しましたが、これは特に困難かつやりがいのある時期でした。技術面でも運用面でも、チリと日本の電気規格の大きな相違点に対処し、統合する必要があったからです。この経験を通じて、国際プロジェクトにおけるエンジニアリングに対する視野を広げることができ、多大な努力を要する多文化環境下での適応力とリーダーシップ、問題解決能力を強固なものとすることができました。

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▲ 筆者 (右) と宮田アタカマ観測所長 (左)、TAO山頂エンクロージャー内にて

さらに、日本の専門家たちと共に働くことは、私のキャリアにとっても一人の人間としても非常に充実した経験となりました。チリ人エンジニアとして、規律、敬意、計画性、そしてあらゆる業務におけるこだわりを特徴とする日本の労働文化から多くを学ぶ機会を得ました。この過程において、松林和也助教のサポートとご指導は、日本文化をより深く理解し、職場環境、コミュニケーションの取り方、そして仕事に対する哲学に適応する上でなくてはならないものでした。先生のご指導のおかげで、国際的でハイレベルな環境においてより自信を持って業務に取り組むことができ、専門的なスキルだけでなく、個人的な成長も深めることができました。

現在、私はTAOプロジェクトのチリ側のリードエンジニアを務めております。この職務を通じて、献身的な努力、強い責任感、そして不屈の精神があれば、極限の標高と極めて厳しい技術的条件下における重要システムの運用という、並外れた困難をも克服できることを証明してまいりました。 今は24時間365日の連続稼働が求められる極めて重要なシステムや設備の管理監督を担っており、プロジェクト全体の運用継続、ならびに天文台の確実な科学的機能の維持に全力を尽くしています。

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▲ 酸素ボンベを使用しながら作業する筆者

私の主な仕事の一つは、発電システムの統括および包括的な管理運用です。現在は2基のCUMMINS社製発電機から構成されており、天文台の運用に必要なすべての電力を供給しています。 TAOが位置する標高約5,640メートルという極限の環境下では、空気の希薄さから、これらの発電機の出力は本来の能力の50%近くまで低下してしまいます。世界中を見渡しても、これほどの環境条件下で稼働する産業施設は極めて稀であり、これはまさに前例のない、並外れたエンジニアリングの挑戦を意味しています。

電力供給の信頼性と稼働率を最大限に高めるため、私たちは厳格な予防保全および予知保全プログラムを導入・実践しています。当エンジニアリングチームは、250稼働時間ごとに発電機の包括的な機械・電気点検を実施しており、安全、品質、そして運用の信頼性に関する厳格な基準を遵守しています。 天体観測や科学システムの運用において、電力は一瞬の途絶も許されない極めて重要な資源(ライフライン)です。そのため、これら保守点検活動の綿密な計画と確実な実行こそが、本プロジェクトの成否を握る不可欠な要素となっています。

私がTAOプロジェクトに在籍して以来、発電システムに起因する運用上の事故やトラブルは、現在に至るまで一件も発生しておらず、無事故の記録を維持し続けています。 継続的な監督、日々の巡回点検、稼働データの常時監視、そして先見的なエンジニアリング管理を徹底することにより、発電機は常に高い効率、信頼性、および稼働率を維持し、天文台の科学観測活動に不可欠な電力の安定供給を確実に支えています。

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▲ 山頂発電機メンテナンス作業中の筆者

最先端の科学研究と、複雑なエンジニアリングの挑戦が融合したこのプロジェクトに貢献できることを、私はとりわけ誇りに思っております。これほど重要な国際的な科学の先進的な試みの現場においてチリを代表することは、この上ない名誉であり、同時に大きな責任を伴うものであると身の引き締まる思いです。 今後とも、長年にわたりTAOプロジェクトの成功とさらなる発展に尽力していく所存です。同時に、これまでの経験を惜しみなく共有し、このすばらしい天文台で働くことを目指す次世代のチリ人技術者たちをサポートしていくことで、チリと日本における科学的および技術的な連携を、より強固なものへと発展させていきたいと切に願っています。


Francisco Espinoza
TAO Site Engineering Team

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