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東京大学アタカマ天文台 (TAO) 計画

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TAO山頂道路の試走が行われました

TAOプロジェクトで最も重要になるイベントとして、望遠鏡の建設、主鏡の蒸着、そして主鏡の望遠鏡への組み込みがあります。この作業を行うには、これらのコンポーネントを標高5640mの山頂に上げる必要があります。これらはTAOの構造物として大きさ・重量ともに最大級であるとともに、とてもデリケートに扱わなければならないパーツになります。したがって、この試走はTAOプロジェクトの中でも重要なマイルストーンの一つであると言えます。

本輸送では失敗は許されないため、実際に運搬をする前にダミーを使った試走を行い、確実性や安全性を確認しておく必要があります。さらにその試走の前段階として、念入りな道路の事前チェックも行われます。チェック項目としては、輸送される最大幅(7.5m)が確保されているか、トレーラーが回転できるだけのカーブの回転半径が確保されているか、振動に影響する段差などはないか、トレーラーのパワーは十分であるか、さらに監視員の安全を確保できるスペースがあるか、など多岐に渡ります。山頂から5000mヤードまで、道路幅の確認等は30数カ所におよび、一ヶ所一ヶ所人の手で測量・チェックされます。心配される箇所は試走までに道路幅を広げたり、土手の高さの調整のためのマーキングを行っていきます。

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▲(左)道路チェック(測量)の様子.(右)除去する石にチェックを入れる.

そのような事前確認作業や道路修繕ののち、2024年3月19日から21日の3日間にかけて試走が行われました。試走するトラック(トレーラー)は2種類。一つ目は低床トレーラー(Low bed trailer)で、もう一つはモジュールトレーラー(Module trailer)と呼ばれる多重車軸で重量物を積載・運搬できる車輌です。前者は望遠鏡のセンターセクションおよびエレベーションディスクを運びます。後者は蒸着チャンバーおよび主鏡セル、主鏡本体(主鏡輸送箱)を運搬することになります。各車両ともに最大重量積載超(28トンと42トン)の重りが搭載され、車両のパワーを確認するとともに、積載される最大外形を模したダミーを積むことで、道路や山との干渉がないかどうかをチェックします。

試走初日は28トンの重りを搭載した低床トレーラーの試走が行われました。試走の速度は安全を鑑みてカーブでは歩速程度、直線で時速10km程度に設定されました。途中カーブでのルート確認や、一部大きめの岩石の除去を行いながらの試走でしたが、結果的に約8kmの道のりを1時間弱で走破することができました。いくつかあるヘアピンカーブでは、トレーラーがスタックしないように、またパワーを補うようにある程度速度を維持したまま走行するほうが効率がよいという判断もありました。

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▲(左)低床トレーラー試走の様子.(右)使用されたモジュールトレーラー.

試走2日目は、まず前日試走を行った低床トレーラーの最外形ダミー(幅5.5m)を搭載しての試験を行い、道路各所での干渉の状態をチェック、問題ないことを確認しました。引き続いて、モジュールトレーラーの試走を敢行、その際の重り搭載重量は25トン。この試走はモジュールトレーラー自体のパワーなどのチェックの意味合いがあります。そして試走3日目。いよいよ最大積載重量(42トン)、最大幅(7.2m)のダミーを搭載しての試走です。天候にも恵まれ、登坂は1時間強で無事終了!これで重量物および大型物品の運搬の目処が立ちました。

2024年の後半には望遠鏡や蒸着関係の物品の山頂輸送、そしてエンクロージャーや観測運用棟への設置が行われ、来年にはいよいよ本格的な観測運用へと歩を進めることになります。

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▲(左)無事に山頂に到達!   (右)試走に関わったメンバーの集合写真.
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