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東京大学アタカマ天文台 (TAO) 計画 |
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チャナントール山頂で地鎮祭が行われました
TAOは南米チリのアタカマ地方のチャナントール山頂に建設されます。チャナントール山は地元の方々にとって聖なる山であり、我々はその場を最新天文学の場として利用することになります。この辺りは人間の生活は自然と神との協調・共生をベースとした文化が根付いており、単に土地の利用ではない地元の方々の理解と協力が必要となります。 そのような背景を受け、山頂での道路整備、天文台の建設を目前に控えた2017年12月20日にチャナントール山頂で地鎮祭が執り行われました。同様の儀式はminiTAO建設時の2006年にも行われましたが(チャナントール山山頂アクセス道路開通!)、今回6.5m望遠鏡建設にあたり、改めて神々の許可と建設の無事とプロジェクトの成功を祈念し、地鎮祭が挙行されました。 地鎮祭では先住民の子孫である神父をお呼びし、古来からの伝統に則った儀式が進められました。 まず、山頂に上がる前、直下の麓で山頂に上がってよいかどうかの許可を得る儀式があります。無事許可が得られたという神父の言葉の後、今回のキャラバンは見慣れた山道を山頂へと向けて歩を進めました。
儀式は神父の言葉から厳かに始まります。これまでこの地を使わせて頂いたことへの感謝の念、そして今後の6.5m望遠鏡建設に向けて、聖なる地の使用を許して頂くこと、建設の安全と完成への祈念などです。
※神父の言葉は上記の基本的なフレーズが繰り返し述べられる。ハヤヤ(JALLALLA)とはアンデス先住民のアイマラ族の言葉で、祝う気持ちを込めた希望や幸福の表現。夢が叶うことを信じ、パチャママに祈り、夢が叶うための努力をするという意味も含んでいる。 儀式には多くのお酒が神や大地へと振る舞われます。我々も一緒にお酒を頂くことで、神およびメンバー全員思いを一つにしました。(勿論ドライバーは飲まずに形だけでした。)さらにコカの葉を捧げるのが南米(チリやボリビア)式のようです。
メンバーを代表して吉井教授の挨拶、インテレクト岩野氏および地元代表による道路や基礎の建設の許可と安全祈願、そして全員による乾杯で儀式は無事終了しました。 ところで、チャナントール付近は天候が崩れるとの予報があり心配したのですが、 山頂での儀式がクライマックスを迎えると風がやみ、雲も消え去るという奇跡が起こりました。 これはパチャママが私たちを祝福しているのだと、感激で胸が一杯になる出来事がありました。
下山後、さらに親交を深めるためにサンペドロ・デ・アタカマで昼食会も開かれました。参加者個々人の情報交換、情報共有、そして雑談と和気藹々とした時間を過ごす事ができました。
Coffee Break 「ペニテンテ」 山頂までの道すがら、この時期には尖った形をした奇妙な形の残雪が見られます。これは「ペニテンテ」と呼ばれ、アンデス山脈やヒマラヤ山脈など標高が高く厳しい環境で見られる景色です。強い太陽光、低い気温、低湿度、強風などの気象条件下でしか現れません。天体観測は基本的に夜に行われますが、アタカマでは昼間でもこのような屹立するペニテンテや、果てしなく続く乾いた大地、フラミングが舞い降りる塩湖などため息が出るような景色を観ることができます。
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