東大フォーラム2013
11月7〜8日、チリ・サンチャゴにあるカトリカ大学およびチリ大学にて「東大フォーラム2013」が開催されました。TAOプロジェクトは、チリでの活動を通じて約10年間に渡りチリの大学や政府関係者と交流を行ってきました。今回の東大フォーラム開催のきっかけとなるminiTAO望遠鏡の完成記念式典では、大統領より祝辞を賜り、チリ外務省局長、チリ科学技術研究委員会(CONICYT)会長、在チリ日本国大使などにご出席いただきました。また、チリ大、カトリカ大との全学の学術交流協定・覚書締結に貢献し、コンセプシオン大とは専攻・センターレベルの学術交流協定を締結するなどして交流を積み重ねてきました。こうしたTAOとチリとの長年に渡る交流の歴史を経て、今回、東大フォーラムをチリで開催し成功したことは、我々TAOプロジェクトにとっても、これまでの努力が評価され、チリとの友好関係の前進に貢献できたという意味で嬉しい出来事となりました。
フォーラム当日は、天文学をはじめ地震・津波・火山噴火、再生可能エネルギー、鉱物資源、食料資源など15を越える様々なテーマのワークショップが行われました。東大からは濱田総長をはじめ、20の研究科・研究所等から150名以上の教職員が参加した他、チリの主要大学であるチリ大学、カトリカ大学、コンセプシオン大学、アンドレス・ベージョ大学、ディエゴ・ポルタレス大学、バルパライソ大学やチリ政府関係者も含め100名規模の参加がありました。
また、TAO関連のセッションに加えてTAO天文台への見学ツアーも行われた他、開会式でTAO天文台について言及があったりと、チリとの研究交流を牽引してきた我がTAOプロジェクトの存在感を強くアピールする機会となりました。
なお、今回の東大フォーラムは、南米で初めての開催となり、チリ・サンチャゴで11月7日・8日に行われた後、引き続きブラジル・サンパウロで11月11日に開催されました。総長をはじめ出席された皆様は、チリでの東大フォーラムの成功に満足された様子でブラジルへ向かわれました。
イベント・ワークショップ
2日間にわたり、下記の通り様々なテーマでイベント・ワークショップが行われました。
このうち、我々TAOに関係するワークショップとして、「天文観測のための装置開発と要素技術」、「ALMAから広がる天文・天体物理学」が開催されました。チリ大学、カトリカ大学、アントファガスタ大学、ALMAプロジェクト関係者をはじめ、日本・チリ両国から50名以上の参加があり、新たな共同研究も検討されるなど活発な議論・交流が行われました。
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▲ ワークショップ「天文観測のための装置開発と要素技術」で講演する本原准教授
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▲ ワークショップ「天文観測のための装置開発と要素技術」会場の様子
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▲ ワークショップ「ALMAから広がる天文・天体物理学」会場の様子 |
▲ ワークショップ「ALMAから広がる天文・天体物理学」で講演する星野教授 |
各ワークショップのプログラム等詳細情報は下記をご覧下さい。
アタカマツアー
東大フォーラム開始直前の11月5〜6日に、エクスカーションとしてアタカマツアーが行われ、53名の方にご参加いただきました。11月5日には、標高5,640mのTAO天文台から下に見下ろす位置にあるALMA観測所の見学ツアーが行われた他、ふもとの町サンペドロ・デ・アタカマに建設中で今年度末に完成予定の山麓施設の見学、地元サンペドロ・デ・アタカマ市との交流会が行われました。翌6日には、TAO天文台への見学ツアーが行われました。
11月5日 : ALMA観測所 見学ツアー
エクスカーション1日目には、TAOが建設されるチャナントール山のふもとにあるALMA観測所の見学ツアーを行いました。ツアーには全学から53名の方々に参加いただきました。参加者はまず標高2900mのALMA山麓施設で医師による健康チェックを受診し、問題ないことを確認したうえでALMA山頂施設(標高5000m)の見学に向かいました。見学した方々はALMAの電波望遠鏡群だけでなく、それらが設置されているパンパラボラ平原の自然環境にも大変驚かれたようでした。往路途中ではチャナントール山頂のminiTAO望遠鏡を遠く眺めてもらいました。医師の健康チェックに通らず山麓施設で待機となったり、高山病の症状に見舞われ緊急下山された方もいましたが、参加者の皆さんにはアタカマでの天文活動について理解を深めて頂けたと思います。
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▲ 山頂施設AOS見学の様子。背後に見えるチャナントール山頂にTAO天文台がある。
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▲ ご挨拶いただいたALMA観測所ピエール・コックス所長
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11月5日 : 交流会
地元サンペドロ・デ・アタカマ市との交流会には、サンペドロ市長をはじめ市会議員などサンペドロ市の有力者18名を含む70名の方にご出席いただきました。相原研究科長からサンペドロ市長へ、赤富士に桜の模様があしらわれた七宝焼きの飾り皿が贈られるなど、和やかに交流を深めました。
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▲ 交流会の様子
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▲ 相原研究科長よりサンドラ・ベルナ市長に記念品を贈呈
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▲ 建設中の山麓施設の見学会も行われた
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11月6日 : TAO天文台 見学ツアー
2日目には、TAO天文台の見学ツアーが行わました。TAO天文台はALMA観測所よりさらに600mほど高所になりますが、TAOでは訪問者全員に酸素吸入を義務付けているため、前日のように高山病に倒れることもなく、安全に見学を行うことができました。一方で、落石もあり道幅わずか4mの未舗装路というTAO天文台へのアクセス道路の状況に驚かれたようでした。参加者の皆様からは、高山病や悪路による危険を乗り越えながら、望遠鏡の建設や観測を進めるTAOプロジェクトを全力で応援したいとお声掛けいただきました。今回のTAO天文台見学ツアーにご参加いただいたのは下記の皆様です。
- 相原 博昭 氏 (東京大学 理学系研究科長)
- 武田 洋幸 氏 (東京大学 理学系研究科 副研究科長)
- 佐竹 健治 氏 (東京大学 地震研究所 教授)
- 森川 博之 氏 (東京大学 先端科学技術研究センター 教授)
- 木村 秀雄 氏 (東京大学 総合文化研究科 教授)
- 年吉 洋 氏 (東京大学 先端科学技術研究センター 教授)
- 古谷 研 氏 (東京大学 農学生命科学研究科長)
- 本城 剛毅 氏 (東京大学 理学系研究科 助教)
TAO見学ツアーの際に、miniTAOドームの前で撮影された集合写真が、東京大学の学内広報誌の表紙を飾りました。学内広報の内容は下記からご覧いただけます。
ワークショップ プログラム
「天文観測のための装置開発と要素技術」
日時: | 2013年11月7日(木) 11:00-17:30 |
場所: | Assembley Hall, Faculty of Economical Sciences and Management, Campus San Joaquin, Pontificia Universidad Catolica de Chile |
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【Session 1】 11:00-12:30 |
Introduction |
Opening Remarks:Astronomical Instrumentation at the University of Tokyo [15min] | Kentaro Motohara University of Tokyo |
Astronomical Instrumentation at the AIUC [15min] | Leonardo Vanzi Universidad Catolica de Chile |
Optical/IR Instrumentation |
TAO Project and its Instrumentation [20min] | Kentaro Motohara University of Tokyo |
The Center of Astro Engineering at U.Catolica [20min] | Leopoldo Infante Universidad Catolica de Chile |
【Session2】 14:00-16:00 |
NIR instrumentation at U. Catolica [20min] | Shintaro Koshida Universidad Catolica de Chile |
Near-infrared High-resolution Spectroscopy for Astronomy [20min] | Naoto Kobayashi University of Tokyo |
Immersion grating for high-resolution astronomical spectroscopy [20min] | Yuji Ikeda Photocoding |
MEMS Technology for Optical Applications including Astronomical Instrument [20min] | Hiroshi Toshiyoshi RCAST |
AO [20min] | Andres Guesalaga Universidad Catolica de Chile |
MIR instrumentation technologies [20min] | Takashi Miyata University of Tokyo |
【Session3】 16:30-17:30 |
High-Energy Astronomy |
X-ray Astronomy at University of Tokyo [20min] | Hirofumi Noda University of Tokyo |
Radio Astronomy |
Radio astronomical receivers at University of Chile: From front to back ends [20min] | Patricio Mena Universidad de Chile |
Sub-mm Technology [20min] | Rolando Dunner Universidad Catolica de Chile |
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詳しい情報は下記をご覧下さい。
ALMAから広がる天文・天体物理学
日時: | 2013年11月7日(木) 14:00 - 17:00, 8日(金) 9:30 - 12:30 |
場所: | Observatorio Cerro Calan, Universidad de Chile |
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【Session 1 : Introduction】 11月7日 14:00-14:20 |
ALMA project: status and early science results | Kotaro Kohno University of Tokyo |
【Session 2 : Galaxy formation and cosmology】 14:20-17:00 |
Physics of Infrared Spectral Energy Distribution of Galaxies, and Its Implications for Cosmological Galaxy Formation [25min] | Tomonori Totani University of Tokyo |
Unraveling the properties of the brightest and most distant star-forming galaxies with ALMA, APEX, ATCA and SPT [20min] | Manuel Aravena ESO/Universidad Diego Portales |
Cosmology with MAGNUM project [20min] | Yuzuru Yoshii University of Tokyo |
Break [30min] |
ALMA and variation of the fundamental constants of physics [25min] | Junichi Yokoyama University of Tokyo |
Studies of Black Hole Growth in Galaxy Mergers with ALMA [20min] | Ezequiel Treister Universidad de Concepcion |
Studying Dusty Star Forming Galaxies and SZE Increments in LASCAR with Herschel: prospects for ALMA follow-up [20min] | Paula Aguirre Universidad Andres Bello |
【Session3 : Protoplanetary disks and exoplanets】 11月8日 9:30-10:35 |
Observing planet formation [20min] | Simon Casassus Universidad de Chile |
Debris Disks with ALMA [20min] | Andres Jordan Universidad Catolica de Chile |
Exoplanets and protoplanetary disks from SEEDS [25min] | Jun Hashimoto University of Oklahoma |
【Session4 : Star formation】 10:35-11:00 |
Outflows from Young Stars in ALMA Cycle 0 [25min] | Diego Mardones Universidad de Chile |
【Session5 : High energy astrophysics】 11:20-12:30 |
High energy particle acceleration in accretion disc [25min] | Masahiro Hoshino University of Tokyo |
Telescope Array experiment for the study of highest-energy cosmic rays [25min] | Hiroyuki Sagawa University of Tokyo |
Workshop summary [30min] |
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詳しい情報は下記をご覧下さい。
その他の情報
その他、東大フォーラムについての詳しい情報は下記からもご覧になれます。
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