チリ共和国大統領講演
チリ共和国大統領をお招きしての講演会が、2012年3月28日東京大学弥生講堂一条ホールにて行われました。
3月末、チリ共和国セバスティアン・ピニェラ・エチェニケ大統領が首脳会談のため来日され、その際、東大を訪問され講演を行いました。南米15カ国の大使をはじめ、東京大学の教職員や学生も含め、約300名の参加がありました。
大統領らは講演会に先立ち、濱田純一総長、松本洋一郎理事・副学長、江川雅子理事、磯田文雄理事らと弥生講堂会議室にて懇談も行いました。
チリ共和国大統領講演会及び情報交換交流会式次第
日時: | 2012年3月28日(水) 17:00-20:30 |
場所: | チリ共和国大統領講演会:東京大学弥生講堂一条ホール 情報交換交流会:東京大学弥生講堂アネックス |
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【チリ共和国大統領講演会】 17:00-18:30 (司会 相原博昭 東京大学大学院理学系副研究科長) |
開演の挨拶 | 松本 洋一郎 (東京大学理事・副学長) |
講演 | セバスティアン・ピニェラ・エチェニケ大統領 |
質疑応答 |
関連講演 | 佐竹 健治(東京大学地震研究所教授) 「チリにおける巨大地震と津波」 |
岡部 徹(東京大学生産技術研究所教授) 「チリにおける非鉄金属産業の紹介」 |
吉井 讓(東京大学大学院理学系研究科教授) 「The Tokyo Atacama Observatory Project」 |
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【情報交換交流会】 18:40-20:30 (司会 河野孝太郎 東京大学大学院理学系研究科教授) |
開会の挨拶 | 江川 雅子 (東京大学理事) |
乾杯 | 磯田 文雄(東京大学理事) |
講演 | 下山 淳一(東京大学大学院工学系研究科准教授) 「超伝導技術の未来展開」 |
古谷 研(東京大学大学院農学生命科学研究科教授) 「Expanding Ocean ‘Desert’」 |
田村 陽一(東京大学大学院理学系研究科助教) 「チリ発!サブミリ波天文学が解き明かす銀河の誕生」 |
交流会 |
閉会の挨拶 | 相原 博昭(東京大学大学院理学系副研究科長) |
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チリ共和国大統領講演会
講演は、大統領の専門である経済に関するテーマが中心でした。特にチリ経済の近年の状況と日本との相互協力について、さらに将来的な発展のために、南米さらには世界の中でのチリで存在が非常に大きいこと、そして日本との密接な協力が非常に重要であることを強調されました。特に科学的な協力体制の話では、両国間の科学・教育にTAO計画が大きな役割を果たしているとの発言がありました。
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▲チリ共和国ピニェラ大統領
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▲大統領講演会の様子
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講演に続いて学生も交えた質疑応答が行われました。また大統領が退席された後に関連分野の講演が3つ行われました。いずれもチリと非常に関係の深い研究であり、今後更なる協力体制の元、発展してくことが期待されます。
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「チリにおける大地震と津波」 佐竹 健治 教授 (東京大学地震研究所)
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チリでは1960年、2010年に巨大地震が発生し、津波が太平洋を渡って日本にも被害をもたらしました。歴史記録からチリ南部では巨大地震が約120年間隔で繰り返していることが知られていましたが、最近の古地震調査からはこれらのうち特に大きなものは約300年間隔であることがわかってきました。東日本大震災をおこしたようなM9クラスの超巨大地震は繰り返し間隔が長いため、チリや日本も含めた世界の事例についての研究が重要です。
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「チリにおける非鉄金属産業の紹介」 岡部 徹 教授 (東京大学生産技術研究所)
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チリ共和国は、非鉄金属資源が豊富であり、日本は、同国から多量の鉱物資源を輸入しています。本講演では、世界最大級のチュキカマタ鉱山および銅(・モリブデン)製錬所、アタカマ塩湖(リチウム)、チリ硝石の採掘地などの現状について、講演者自身の訪問体験を中心に紹介します。
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「TAO Project ー世界最高標高の赤外線宇宙観測ー」 吉井 讓 教授 (東京大学理学系研究科)
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チリ北部アタカマ砂漠にそびえる標高5640mのチャナントール山頂は、世界最高の赤外線観測条件が揃った特別な場所です。私たちは2002年に現地調査を開始し、この山頂に最先端の口径6.5m望遠鏡を建設して、ダークエネルギー、銀河や惑星の起源の謎などの天文学の最新トピックスの解明を目指すTAO (The University of Tokyo Atacama Observatory) 計画を推進しています。その先駆けとして2009年には口径1m の mini-TAO 赤外線望遠鏡を設置し、世界最高標高天文台を開設しました。TAO計画を代表して、ここに至る道のりやこれまでの観測成果を紹介し、将来計画である口径6.5m望遠鏡の構想を説明し、10年にわたるチリの人々との交流について述べます。
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情報交換交流会
引き続き、情報交換交流会が弥生講堂アネックスで行われ、江川理事、磯部理事らをはじめとする大学関係者、学生並びに企業関係者も多く参加しました。分野の異なった3つの講演も行われ、活発な情報交換、議論が交わされました。チリにゆかりのある学外関係者を含む様々な分野から集まった参加者同士の交流は非常に貴重で重要なものとなり、今回のような交流会を継続することにより、個々の研究の更なる発展も期待できます。
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▲情報交換交流会の様子
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▲講演する下山淳一准教授
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▲講演する古谷研教授
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▲講演する田村陽一助教
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講演会の模様は大統領府のホームページでも紹介されています。
(参考)講演会、情報交換交流会に関する詳細は下記からもご覧になれます。
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