The Structure of the Sagittarius Stellar Stream as Traced by blue Horizontal Branch Stars


Ruhland, Bell, Rix, Xue
2011 ApJ 731, 119 - 135




 アブストラクト

 SDSS DR7 から青色水平枝星を選び、サジタリウス矮小銀河の潮汐流の構造を 調べた。測光のみで選んだサンプルの青色水平枝星含有率は 70 % に達する。 その距離精度は 5 % であり、100 kpc を越える遠方の構造を探ることが可能で ある。このサンプルを用いて、我々は追尾腕を太陽から 60 - 80 kpc のとこ ろで確認した。  現在のモデルは遠方に "戻り" 星流が存在することを予測する。しかし、 我々のデータではその位置に何もない。我々のトレーサーの距離精度を 使い、我々は先行腕の視線方向厚みを 3 kpc と見積もった。そして、 二本の分岐流が僅か 1 - 2 kpc しか離れずに存在することを示した。 分光で選んだ、統計的に純粋なサンプルを用い、我々は先行腕の速度 分散 37 km/s を得た。これはモデルの予測と合致する。先行腕の 青色水平枝星確率が高いサンプルを提示した。


 1.イントロ 

 サジタリウス星流を描く 

  Ibata, Gilmore, Irwin 1994 によるサジタリウス銀河の発見以来、その潮汐流は(1)M 型星 Majewski et al 2003, Yanny et al 2009, (2)主系列星 et al 2006 Belokurov et al 2006, (3)星団 Bellazzini et al 2003, (4)青色水平枝星 Newberg et al 2003, Monaco et al 2003, Clewley, Jarvis 2006, Yanny et al 2009, で検出された。

 青色水平枝星への混入 

 最近青色水平枝星が星流検出天体として注目されている。SDSS では 100 kpc まで 検出できる。しかし、SDSS のような広域探査の利点を生かすは、測光のみによる同定が 必要である。 Yanny et al 2009,
Niederste-Ostholt et al 2010, はカラーボックスを選択に用いたが、主にブルーストラグラーによる混入が著しい。 それら混入星は絶対等級で 1 - 2 等暗く、数が多い。

 論文の手法 

 この論文では、SDSS データを用い、銀極付近の星流デブリを調べた。青色 水平枝星候補を古代の低メタル星種族の代表として選んだ。これらは 数の多い主系列ターンオフ星より 3 - 4 等明るい。選択方法として、 Bell et al 2010, の開発した、訓練用分光サンプルに基づいた、洗練された選別法を用いた。この 方法では他種星の混入を減らすことが出来る。


 2.データ 

 2.1.青色水平枝星 

(u-g) - (g-r) カットに混入が多い 

Preston, Sneden 2000, Sirko et al 2004 によると、  (u-g) - (g-r) カットで 低zクエーサーや白色矮星は分離できる。しかし、 Kinman et al 1994, Wilhelm et al 1999, Clewley et al 2002, Soirko et al 2004, Kinman et al 2007, Xue et al 2008, Smith et al 2010 は青色水平枝星とブルーストラグラーの分離は困難であることを示した。 Yanny et al 2009, Niederste-Ostholt et al 2010, Yanny et al 2000 図10を用いて、混入を最小にするようカラーカットを作った。 Sirko et al 2004 は別のカットを用いた。しかし、これらの方法は多くの混入を 含んでいた。

 分光法 

 Xue et al 2008 はまず

     0.8 < u-g < 1.6

     -0.5 < g-r < 0.0

     ライン巾が狭く、ラインコアのフラックスが低い

という基準で混入率を 50 % 以下に下げた。次に、

     Sersic プロファイルをバルマー線にフィットした。

この二つの基準で、青色水平枝星を 90 % の割合で選別することが出来た。 残念なことに、SDSS 分光は限られた天域でのみ完了している。また、明るい 水平枝星にのみ分光が限られ、> 50 kpc の遠方は探索が及ばない。

  Bell et al 2010 の方法 

 そこで、我々は再び Bell et al 2010, の測光法に戻った。訓練用サンプルとして、Xue et al 2008 の mg < 18 星の分光分類を採用する。そこから、 0.8 < u-g < 1.6, -0.5 < g-r < 0.0 にある星が青い 水平枝星である確率をカラーの関数として図1のように導いた。図の青い点は 分光的に青い水平枝星である。図の太線はその中にある星が青い水平枝星である 確率が 50 % 以上である領域を示す。この選択基準を SDSS DR7 に適用して 0.8 < u-g < 1.6, -0.5 < g-r < 0.0 カラーボックス内にある 389,785 の候補星を選んだ。次に上述の 50 % 領域内という制限を加えることで サンプル数を 28,270 星に減らした。テストの結果この 50 % サンプルは mg < 18 の青色水平枝星のうち半数を含んでいることが判った。 もっと暗い星に対してはこの選択の有効性は低下する。 Bell et al 2010, によると、 mg = 20 mag では、青色水平枝星のうち 1/4 が含まれ、 混入率は 50 % に達する。

図1.測光法による青色水平枝星の選択。青点=分光で青色水平枝星と分類 された星。赤点=分光で他種に分類された星。等高線はその内部での的中率が 10 %, 30%, 50 % を越えるライン。50 % ラインは他より太い。




 2.1.3.距離不定性 

 

図4. 赤点=2MASS M 型星のサジタリウス面上の分布。背景は 3.1 節に示す 青色水平枝星の確率分布。先行腕(+20, +35)の M 型巨星は青色水平枝星よりも 太陽に近くに位置する。これは M 型星と青色水平枝星間の距離スケールに 8 % のずれがあるためと解釈される。


 3.1.確率的青色水平枝星密度マップ 

図5.
 青色水平枝星候補に対し、距離のエラーを 5 % の ガウシアンとして散らばせて、均したマップを作った。図は 青色水平枝星である確率カットを変えた時のマップの変化 を表す。図を見ると、カットが図の様子にあまり大きな影響を 及ぼさないことが判る。





図6.(上の二つ):青色水平枝星である確率カット 50 % の星の密度マップ。 (左下)上サンプルの内 g-r < -0.21 の青いサンプル。先行腕が千切れ千切れ に見える。しかし、NGC2419 ははっきり見える。 (右下)先行腕が明瞭だが、NGC2419 はボケる。