Sagittarius Tidal Debris 90 kpc from the Galactic Center


Newberg et al
2003 ApJL 596, L191 - L193




 アブストラクト

 
 A 型のカラーを持つ星から新しい密度超過が go = 20.3 に見つかった。それに 付随する RR Lyr 星候補を同定した結果、それらの星が青い水平枝星であることが 確認された。絶対等級 Mgo = 0.7 で、銀河中心距離を 8.5 kpc と して、それらの星(BHB)の距離は銀河中心から 90 kpc となった。
 新しい潮汐デブリはサジタリウス潮汐デブリの存在面から 10 kpc 以内にある。 したがって、追尾腕と関係するかもしれない。M 型星から決めたサジタリウス星流 までの距離は我々の距離より 13 % 短い。潮汐デブリは少なくとも 10° の 巾を持ち、20° の長さに渡り追跡できた。 NGC 2419 は検出された潮汐デブリの 中にそんざいする。


 2.データ 

 SDSS ストライプ(帯) 

 SDSS は 2.5° 巾の帯で空を走査した。表1にサジタリウス星流が検出 された帯を載せた。表には星流中の青色水平枝星の平均 g 等級、平均距離、 A 型星数を載せた。

 A 型星の選別 

Yanny et al . 2000 の開発した A 型星選別法を用いて、SDSS 画像データを解析し、 A 型星を選別した。これ等の星は銀河系厚い円盤のターンオフより青く、 したがって、厚い円盤成分の混入が少ない。  A 型星の選別は次の通り。 

     (u-g)o > 0.4  (クエサーの混入を防ぐため)

     -0.3 < (g-r)o < 0.0

この標準光源種族を使いハロー 100 kpc までの構造を調べられる。

表1.サジタリウス星流の青い水平枝星を含む SDSS ストライプ




  


図1.カラーで選んだ A 型星のストライプ29での polar wedge 図。動径には go を示す。角度はストライプ29の大円に沿って測った。下の水平線は ストライプ29と銀河面との交線。A 型星の新しい密度超過が go = 20.3 付近に 見えることに注意。破線=サジタリウス銀河軌道面と観測面との交線。

 

図2.SDSS 帯 27 - 37 (100° < α < 170°) での A 型星 の分布。X 軸 = Δo, Y 軸= go . Δo = [-148°, -172°], go = 20.3 の密度超過に注意。

 



図3.サジタリウス面上のデブリ位置。点=Majewski et al 2003 の2MASS M 型星。 黒丸と線=サジタリウス矮小銀河の位置と運動方向。丸+エラーバーは SDSS A 型星 の位置。右上から反時計回りに帯 9-14, 27-37, 82, 86. 太陽は (X, Y, Z) = (-8.5, 0, 0).
 M 型星と A 型星の距離の間には 13 % の不一致がある。これは絶対等級の不確実性 に起因するのであろう。新しい星流は白丸で示した。これはサジタリウス追尾流に つながるのかも知れない。


 

図4.サジタリウス軌道面の縦割り。A 型星の星流中心位置を示す。 50 kpc より 内側では軌道面に非常に近いが、90 kpc 星流は 10 kpc ほども離れている。