GALAH サーヴェイ:TGAS による太陽近傍星の元素組成、年齢、運動の調査


Buder + 33
2019 AA 624, 19 - 48




 アブストラクト 

 HERMES(GALAH) と Gaia を重ねると銀河系の広い範囲で化学運動学データが 得られる。今回はその重複範囲から 7066 の矮星、ターンオフ星、準巨星を選 び解析した。それらのスペクトルは GALAH から、視差を Gaia-1 から採った。 サンプルの元素組成、年齢、運動の相関を調べた。"Spectroscopy Made Easy" コードをもちいてALAH スペクトルから星パラメターと組成が導かれる。Gaia と GALAH 視線速度から運動速度を得た。また作用角も得た。質量と年齢は、 星パラメターと絶対等級からベイズ当時線フィットにより求めた。Li, C, O, Na, Mg, Al, Si, K, Ca, Sc, Ti, V, Cr, Mn, Co, Ni, Cu, Zn, Y, Ba 量を 求めた。 Li, O, Al, Fe は non-LTE を用いた。 年齢、[Fe/H], [α/Fe] 間の相関を調べ、高アルファ系列の星は一般に 低アルファ星より古いという結果を再確認した。  低アルファ系列星は [Fe/H] = [-0.7, +0.5] に分布する。[Fe/H] - [α/Fe] 面上で二つの系列は高メ タル領域で融合する。しかし、年齢を使うとこの領域でも二つの系列を分離 出来る。サンプルを年齢で分けると、古い星(> 8 Ga) は角運動量 Lz が太陽より低いと分かった。それらの星は離心率の大きな軌 道を描き、内側円盤から来ている。(理由?)以前のより小規模な研究とは 逆に、高アルファ系列の進化に裂け目はなく、連続にスーパーソーラーまで 進化することが判った。それらは以前高アルファ高メタル星として独立な種族 と考えられていた。10 Ga より若い星は主に低アルファ系列に見出され、 低メタルで Lz > Lo, z から 高メタルで Lz < Lo, z へ変化する。 この系列の最後にある星が太陽近傍領域から来たのではないことを意味する。
( Lz の話、合ってるか? )


 1.イントロダクション 

 GALAH 

 GALAH は AAT 2dF f3.3 トップに HERMES =High Efficiency and Resolution Multi-Element Spectrograph を付けて行う分光サーベイである。そのゴールは Freeman, Bland-Hawthorn (2002) が提案した星のタグ付けである。これは化学組成を通じて星が生まれた分子雲 を同定しようという試みである。Ting15, 16 はそれに有効なのは多次元組成空 間内での分布で、そのために 30 種の元素の測定が有効である。

 GALAH サンプル 

 GALAH サンプルは V ≤ 14 mag で Gaia 視差不定性が 1 % 以下とする。 候補星の数は約百万である。

 分光データ解析 

 データ解析は SME = Spectroscopy Made Easy Piskunov, Valenti 2017 と The Cannon Ness15 を用いる。
 Gaia 距離で縮退を解く 

 分光データのみだと Teff, log g, 組成が縮退して、結果が不正確になる。 Gaia により絶対等級が使えるようになるとその点が大幅に改善される。

 円盤種族の分類 

 Bovy12, 16 は厚い、薄い円盤の間に構造、運動の点で連続性を見出した。 しかし、一方元素組成について、 Reddy03, Fuhrmann11, Adibekyan et al. (2012), Bensby14, Hayden et al. (2015) によって、組成と年齢空間内で円盤に二つの系列がある事が明らかになった。 それは、古い高アルファ低メタル厚い円盤と、若い低アルファの薄い円盤で、 薄い円盤星のメタル量は [Fe/H] = [-0.7, 0.5] の範囲である。最近の 研究の中にはアルファ系列が二本とも高メタルまで伸びているという主張も ある。高メタル星は高アルファ系列と低系列星に分かれるというのである。 ただしその境界のひき方は眼視によるなどやや主観的なもの Adibekyan et al. (2012), Recio-Blanco14 である。他の方法として、運動学的 Bensby14 や年齢 Haywood et al. (2013) によって、アルファ系列または種族を分ける方法がある。ただし、分類は 一致しない。首尾一貫したやり方でアルファ系列を、特に高メタル領域で分離 する方法または定義はまだ不明である。Martig16b のレビューがある。

 GALAH サーベイ 

 誰もが言うのは、より大きくて一様なサンプルが望ましいと言うことだ。 GALAH サーベイはより大きくて一様な元素組成データを提供する。


 2.観測 


図1.サンプル星=  GALAH と TGAS 重複部、の Kiel Diagram. 色=視差エ ラー。距離の遠い巨星ではエラーが大きい。破線と点線=解析から外す境界。

 HERMES  

 GALAH サーベイには HERMES が用いられる。 HERMES は一度に 360 天体を 分光観測できる。観測は 2013 年 11 月から 2016 年 9 月にかけて行われた。 R = 28,000 である。HERMES の4本の腕が、青 4716 -4896 A, 緑 5650 - 5868 A, 赤 6480 - 6734 A, 近赤外 7694 - 7867 A を受け持つ。

 初期サンプル 

 最初は V = 12 - 14 でランダムに星を選んだ。TGAS と重なるよう、Tycho-2 カタログから V = 9 -12 の明るい星を加えた。

 使用サンプル 

 GALAH/TGAS サンプルは 23,096 星である。スペクトル型は F - K で、 pms から AGB までを含む。そこから選んで 7066 星を残した。

図2.視差の相対エラーヒストグラム。


図3.ピクセル S/N の分布。


 3.解析 


図1.解析パイプラインの精度。

 3.1.恒星パラメターの決定 

 Mbol 

 log g = log go -log(L/Lo) + 4log(Teff/Teff,o) + log(M/Mo)

 Mbol-Mbol,o = -2.5 log(L/Lo)

 Mbol = Ks + BCKs - 5*logD + 5 - AKs

に、 Teff,o = 5772, log go = 4.438, Mbol,o = 4.74 (Prsa16) を使用。
 AKs Majewski et al. (2011) の RJCE 法 AKs = AKs(Ks, W2) を用いた。 W2 が 得られない場合 Schlegel et al. (1998) から採った。矮星は近距離なので AKs = 0 とした。

図4.GALAH+TGAS 矮星のキール図。色表示は、上= [Fe/H]. 中=質量、 下=年齢。

 分光コード SME 

 スペクトル解析には SME (Valenti96, Pikunov17) = spectroscopy Made Easy を用いた。化学組成は 標準 MARC 組成を使用した。これは、

という [α/Fe] 変化を与えるものである。  図4には最終結果を示す。


 3.2.検証星 


図5.複数回の観測から得た物理量の差。  

図6.複数回の観測から得たhosiparameta- の差。  



図7.年齢 τ (Ga) の決定とエラー。左=エラーと年齢の関係。中=エラー分布。右=相対誤差。

 3.3.質量と年齢の決定 

 Elli コード 

 質量と年齢の決定には Elli コード (Lin et al 2018) を用いた。これは、 Teff, log g, [Fe/H], KK に基づいて Dartmouth 等時線にベイズ フィットするものである。Dartmouth 等時線は [Fe/H} = [-2.48, +0.56], τ = [0.25, 15] Gyr に渡っている。
 最尤質量、年齢推定から出発して、 EMCEE パケッジ (Foreman-Mackey13) の MCMC サンプラーを使い、年齢と質量を推定した。エラーは図7を見よ。

 3.4.連星 

 3.5.組成の決定 


図8.全 GALAH + AGT サンプルの CMD.  





図9.角運動量 Lzの相対誤差を3グループに分けた時の Lz の分布。 白等時線=Dartmouth モデル、年齢 15 Ga, [Fe/H] = +0.56. これは等時線の上 338 星(黒点)を想定領域外の星とするためのものである。

 3.6.運動学パラメター 

 U, V, W は Bovy15 の GALPY コードを用いて計算した。LSR に対する太陽 運動は (Uo, Vo, Wo) = (9.58, 10.52, 7.01) km/s Tian15 を仮定した。そして、 個々星が D = 薄い円盤、TD = 厚い円盤、H =ハローに属する確率を Bensby14 の方法で計算した。  作用角変数を計算するには GALPY を用いた。図9に示すように、作用変数の 誤差に最も効くのは距離の誤差である。


 4.結果 


図10.メタル分布。

 図10に示されるように、GALH+TGAS サンプル星の大部分でメタル量は  -0.5 de を越えている。これらの星の選択にはメタル量や運動学でのバイア スはない。メタル分布のパラメターは、平均= -0.04, σ[Fe/H] = 0.26, Skewness = -0.667, Kurtosis = -0.21 である。我々の平均メタル量は APOGEE を使った Hayden et al. (2015) より少し低いが大体一致する。

 4.1,年齢分布 


図11.年齢分布。

 図11に年齢分布を示す。ピークは 3 - 3.5 Ga にある。これは Casagrande11 や Silva Aguirre18 の求めた 2 Ga より古い。サンプル選択のせいかも知れない。





図12.上=[α/Fe]-[Fe/H], 中=[α/Fe]-年齢、下=[Fe/H]-年齢 関係。 左=密度、中= 中間値、右=散布度。

 4.2.年齢-[α/Fe]-[Fe/H] 分布 

 図12a, b, c = [α/Fe]-[Fe/H] 分布  

 分布は Ness16 の APOGEE サンプル、Ho17 の LAMOST サンプルとよく似て いる。少し変なのは [Fe/H] = [-0.4, 0] に若くて回転の速い星が多い事である。 しかし選択効果かも知れない。

 図13=メタル量毎の[α/Fe] 分布。 

 二本のアルファ系列がどのくらいはっきりしているかを見るため、図13に はメタル量毎の[α/Fe] 分布を示す 眼視では二つのピークが有るのは 低メタルノ3領域だけであったガ、2ガウスで近似すると(当たり前だが)二 つのピークが再現された。

 図12 d,e,f = 年齢-[α/Fe] 関係 

  0 - 8 Ga では [α/Fe] = 0.05 で大体一定であるが、その先で増加 する。この図は Bensby14 の図14とよく似ている。我々のサンプルでは 8 Ga より若いと [α/Fe] > 0.125 の星は 6 % であるが、τ > 11 Ga では 60 % である。つまり、 8 - 10 Ga 付近に小さなジャンプがある。
これは Haywood et al. (2013) によっても見出されている。 ただ、我々のサンプルでは 11 Ga より高齢の星の 30 % が [α/Fe] < 0.125 と低アルファであり、 Haywood et al. (2013) の結果と合わない。
 若い(<6Ga) 4978 星の中で 67 星が高アルファ [α/Fe] > 0.13 でかつ回転速度正常である。これは Martig15 の 12/1639 と合う。
 11 Ga を越す古い星の約 30 % が低アルファ [α/Fe] < 0.125 である。これは Haywood et al. (2013) と矛盾する。これらの星は主に低温主系列星か準巨星であり、メタル量は -0.5 より大きい。この大きなメタル量が年齢決定の不定性を大きくする。 Haywood et al. (2013) は古い高アルファ星の間にきつい年齢-アルファ関係を主張した。しかし、Kepler の星震学を用いて年齢を決めた Silva Aguirre18 はきつい関係を見出さなか った。我々の結果はきつい関係を支持するが、サンプル数が少なく強い結論は 導けない。

 図12 g, h, i = 年齢-[Fe/H] 関係 

 図12 g の赤線が示すように、年齢が高くなるとメタル量は 0.04(1 Ga) から -0.56 (13 G) へと低下する。Feuiller18 は [Fe/H] が最大の星も最低 の星も太陽より古く、したがって [Fe/H] は [α/Fe] ほどには年齢 指標として信頼できないと述べた。





図13.左上:全サンプルの [α/Fe] - [Fe/H] 関係。残り:左上の [Fe/H] 区分ごとの [α/Fe] 分布。




図14.左:年齢と[Fe/H]の関係。右:年齢と[α/H]の関係。

 4.3.運動学 


図15.トウ―ムレ図。

 厚い円盤と薄い円盤種族の分離 

 図15のトウ―ムレ図から星の大部分が円盤星と分かる。Venn04, Nissen10 は速度 180 km/s 以下を円盤星の基準としている。Furmann04 は限界速度 70 km/s を厚い円盤と薄い円盤種族の境界とした。しかし、厚い円盤星も薄い円盤 星もその速度分散は大きく、運動学的に両種族を分離するのは難しい。

 Bensby14 の方法 

 Bensby14 は、TD = 厚い円盤、D = 薄い円盤、 H = ハロー種族に属する確率、 を個々星に与えた。そして、TD/D > 10 を間違いなく厚い円盤星、TD/D < 0.1 を間違いなく薄い円盤星とした。図16を見よ。

図16.運動学的メンバー確率。

 McWillan, Binney 2008 の作用変数 

 U, V, W の代わりに JR, JΦ=Lz, Jz を使う方法を McWillan, Binney 2008 が提案した。その結果が図17にある。





図17.左上: R-z 面上の分布。GALAH が銀河面をカバーしてないことが判る。 右上= JR - Jz  左下=JR - Jφ 右下=Jz - Lz


図18.年齢区分ごとの [α/Fe] - [Fe/H] 関係。 色=角運動量 Lz. 線=高アルファ系列と低アルファ系列の基準線。

 5.銀河系円盤の化学動力学 


図19.Lz - [Fe/H] 関係。青印=年齢 8 Ga 以下。赤印=10 Ga 以上。 青、赤十字=各年齢グループでの平均 Lz とそのエラーバー。 破線=太陽 Lz.

 Haywood13と Bensby14 の分離法 

 ここまでの結果から、年齢 8 - 10 Ga の間に大きな変化が星の元素量に生 じることが判る。 Haywood et al. (2013) と Bensby14 はこれを年齢、または年齢+元素量に基づく種族への帰属に用い た。 Haywood et al. (2013) の [α/Fe]-年齢面上の境界線はより「気まま」に見える。

 図18=年齢区分ごとの [α/Fe]-[Fe/H] 図 

 図18=年齢区分ごとに [α/Fe]-[Fe/H] 図を作るとより詳細にこの 遷移を調べられる。この様な図はシミュレイション Bird13, Martig14 では既 に行われているが、観測データについてはまだである。その結果:

(1)13 Ga 以上の古い星はほぼ全てが高アルファ低メタルである。その平均 Lz = 1060 km/s (?) は銀河動径 4.8 kpc に対応する。因みに太陽は 1760 kpc km/s。

(2)12 - 13 Ga の星は [Fe/H} が増加するが [α/Fe] は変わらない。 [Fe/H] < 0 星の平均 Lz = 1267 kpc km/s で、 [Fe/H] > 0 星の平均 Lz = 1513 kpc km/s で、

である。

(3)12 Ga より若い星は全て [Fe/H] > -1 dex となる。12 - 9 Gaa では 高アルファ系列星はアルファが下がり、メタルは上がる。

図20.TD/D グループ毎の [α/Fe] - [Fe/H] 関係。 目のガイドのため、黒線=厚い円盤の一定アルファ、破線=薄い円盤の 減少アルファ線。厚い円盤の運動=上の二つが高アルファ系列に沿う (何を指して言っているのか? ) が、薄い円盤運動学を持つ多くの星がやはり高アルファ領域にも見られる。 しかし TD/D < 0.5 の薄い円盤運動学の星の大部分は低アルファ系列星 である。9 Ga より若くなると高アルファ星は数個になり、 7 Ga 以下では消 える。

 Lz と年齢 

 Lee11 や Haywood et al. (2013) と同様に、高アルファ低メタル星ではメタル量が上がると角運動量と回転速度 も上がる。それらは 10 Ga 以上では年齢とも相関する。10 Ga より若い星では メタル量が上がると角運動量は低下する。図19を見よ。




 10 Ga 付近 

 10 Ga 辺りから低アルファ系列星が低メタルで現れ始める。この観察は Haywood et al. (2013) の図8と一致する。角運動量から、それらの星の起源は外側円盤らしい。この 推定は Haywood08 やBovy12 と一致する。

 3 - 9 Ga 

 低アルファ系列は [Fe/H] = [-0.7, 0.5] 全体が現れる。系列の低アルファ 低メタル端は太陽よりかなり大きい角運動量を示す。これは高アルファ系列と 反対の傾向である。このため、低アルファ系列の高メタル星は太陽よりも低い 角運動量 1640 kpc km/s を示す。
(高アルファ星より大きい? )
 3 Ga より若い星 

 3 Ga より若い星ではメタル量の散らばりが減少し、 2 Ga より若い星では [-0.3, 0.3] dex に収まります。ただしサンプル星からは高温度星が落ちて いる。

 図20=TD/D 毎の [α/Fe] - [Fe/H] 関係  

 Bensby14 に倣って TD, D 帰属確率を計算した結果を図20に示す。TD/D >: 10 の星は大部分が高アルファ系列にある。Bensby14 の結論と違い、こ れらの星が全て低メタルというわけではなく、高アルファ高メタル領域にも 広がっている。しかしながらこれらの星はほぼ例外なく 8 Ga より古い。 Bensby14 は薄い円盤の低メタル限界を探ることを目的としていたので、ああい う結果になったのであろう。
 逆に TD/D < 0.5 の星は 5.0±2.2 Ga と若く、低アルファ系列に 乘る。しかし、まだ沢山の星が高アルファ、高メタル([Fe/H]>-0.1) で 破線の上にある。それらには 8 Ga より古い星も含まれる。これは、高メタル 領域では、運動学に基づく明確な種族区分が難しいことを意味する。


 6.結論 

 6.1.元素量と年齢 

1.GALAH パイプラインによるパラメターと元素量の推定は正しくて 高精度である。

2.サンプル星は全て太陽近傍で、主に若く [Fe/H] = [-0.7, 0.5] dex の星 で構成されている。

3.星のパラメター、18の元素存在比を求めた。
4.GALAH+TGAS サンプルの元素存在比は以前のより高分解能の観測の結果 と良く合う。サンプル数が多いために以前の研究で明らかでなかった低アルフ ァ系列をより詳細に調べられた。

5.アルファ元素の中で Mg, Si, Ca, Ti の振る舞いはよく似ていた。しかし、 O はそうでない。[O/Fe] は [Fe/H] の増加に対し、一方的に低下していき、 他のアルファ元素のような平坦化を示さない。

6.アルファ元素と s-過程元素は年齢と共にかなり変化する。これは 以前の研究と一致する。図2A を見よ。 


 6.2.年齢-[α/Fe]-[Fe/H] 関係 

1.[α/Fe]-[Fe/H] 関係を年齢と結合した結果は Ness16, Ho17 と 一致した。高アルファ系列は古い星から成り、低アルファ系列は大体は 8 Ga より若い。ただし、低アルファ高メタル領域と低アルファ低メタル領域 では年齢 8 - 10 Ga の星がある。

2.高アルファ高メタル星は標準的低メタルの厚い円盤と同じ物質から生まれ てきたと理解できる。これは Adibekyan et al. (2012), の主張と矛盾するが運動学的に支持される結果である。高アルファ低メタル星 と高アルファ高メタル星の角運動量はどちらも太陽角運動量より小さい。 つまり、これらの星は高アルファ系列に属し、Adibekyan12 のいう第3種族では ない。
3.太陽、超太陽メタルでは、古い星も新しい星も、やや高アルファと太陽 アルファと同様に見出される。図13に示すように、二つのアルファ系列は [α/Fe]-[Fe/H] 面上では区別できない。したがって、 Haywood et al. (2013) が言うように、年齢情報が重要である。

4.4 Ga より若い星ではメタル量の分散が小さくなる。これは動径移行を支持 する現象である。図18で 2 Ga 以下の枠は 3 - 4 Ga の枠よりメタル幅が狭 い。


 6.3.太陽近傍における円盤の化学動力学 

1.サンプルに含まれる 10 Ga より古く、 [α/Fe] > 0.3 という 厚い円盤星の数は少ない。これらの星は運動学的にも厚い円盤に属する。

2. 運動学特性は誕生後にへんかするので、年齢を種族分類に使う方が 安全である。
3.高アルファ高メタル星の低角運動量はこれらの星が離心率変化で内側から 太陽近傍にやってきたことを示す。

4. 年齢 8 - 10 Ga に低アルファ円盤の低メタル端星が見つかる。運動学 的にはこれらの星の多くが外側円盤から来たことが判る。高メタル端では 運動学から星のかなりが内側円盤から来たとわかる。 Edvardson93 と一致。


 6.4.将来の研究 

1.サンプルに含まれる 10 Ga より古く、 [α/Fe] > 0.3 という 厚い円盤星の数は少ない。これらの星は運動学的にも厚い円盤に属する。

2. 運動学特性は誕生後にへんかするので、年齢を種族分類に使う方が 安全である。
3.高アルファ高メタル星の低角運動量はこれらの星が離心率変化で内側から 太陽近傍にやってきたことを示す。

4. 年齢 8 - 10 Ga に低アルファ円盤の低メタル端星が見つかる。運動学 的にはこれらの星の多くが外側円盤から来たことが判る。高メタル端では 運動学から星のかなりが内側円盤から来たとわかる。 Edvardson93 と一致。