Exploring Wind-Driven Dust Species in Cool Luminous Giants
I. Basdic Criteria and Dynamical Models of M-Type AGBs


Bladh
2012 AA 546, 76 - 90




 アブストラクト 

 AGBs からの質量放出は2段階の過程:(1)脈動衝撃波による大気の浮揚 と(2)形成されたダストの輻射加速、を経ると考えられる。ダストは衝突を 通して周囲のガスに運動量を転移し、ガス流出を起動する。浮揚する大気は ダスト形成温度まで冷える距離に達する必要がある。この浮揚距離は衝撃波 から大気に散逸される運動エネルギーで制限を受ける。どのようなダスト種が この条件を満たすかを調べるため、詳細な輻射流体力学にパラメター化した ダストを組み込んで、モデル計算を行った。  ダスト凝結温度が低く、近赤外吸収係数が波長と共に急激に低下するという 組合わせだと、形成距離が星表面から遠すぎて星風を起動できない。純粋鉄 と鉄シリケイトは NIR 光学性質が星風起動には適さず、形成距離が遠すぎる。 TiO2 は Ti 量が少なすぎる。 SiO2 と Si2O3 は光学的性質と化学的性質に不明確な点が あり、一層の研究が必要である。最有力候補は粒径 0.1 - 1 μm の Mg2SiO4 である。その光散乱は輻射加速に大きく 寄与する。


 1.イントロダクション 

 炭素星 

 炭素星では炭素星ダストの形成が星風を起動するというモデル Le Bertre98, Winters et al 2000, Andersen03, Gautschy-Loidl et al 2008, Nowatney10, Nowotny11, Scuto11 が観測を十分に説明する。

 シリケイトダスト 

 M-型星では、そのダスト種が星風を駆動するか不明である。MIR 観測からは、 [Mg, Fe]2SiO4 か SiO3 が豊富であろう Molster10 と考えられる。しかし MIR 観測からダスト物質の Mg/Fe 比に 対する拘束を付けることは難しい。Feフリーシリケイトは NIR で著しく透明 で、この性質は輻射加速に大きな影響を及ぼす。しかし、 Fe 比が増すと、吸 収断面積は急速に上昇する。

 シリケイトの Fe/Mg 比 

 化学平衡モデルは、 Mg シリケイトの形成を予想する。しかし、動的な大気で 化学平衡が成り立つか不明である。グレイン成長の動的モデルは Mg と Fe が ほぼ同量(=存在比)のシリケイトを予想する。グレイン温度は Fe 量により 大きく変化するので、輻射場とグレイ成長過程との相互作用は複雑である。
 散乱モデル 

  Woitke 2006 は、波長依存星風モデルにダスト形成を組み込んで、星風加速領域でのシリケ イトは実質的に Fe フリーであることを示した。しかし、 Fe を欠くと吸収 断面積が小さくなり星風を起動できない。   Hofner 2008 は散乱が解決策ではない かと述べた。粒径が 0.1 - 1 μm では散乱が吸収の数桁大きくなる。 Hofner08 のモデルには Mg2SiO4 グレインの成長が 組み込んであり、現実的な星風を与えた。 Norris12 によ る 3つの M-AGBs の観測は 0.3 μm 径星周粒子の存在を検出して、この モデルに観測的に強い支持を与えた。

 他の可能性 

 Fe フリーシリケイトは星風駆動源の有力候補である。しかし、他の可能性 はないだろうか?現在の所ダーティシリケイトのような幾つかのダスト成分の 混成物質やコアマントル構造のような構造の可能性も残っている。

 この論文の狙い 

 本論文では候補ダストの全体像を得るために、ダストの性質をパラメター化 し、モデルグリッドを計算する。それにより、輻射場とダスト成分がどう作用 しあうかの全体像を得ることが可能となる。そこから、星風駆動源として ふさわしくない星周ダストを除き、可能性のあるダストを絞り込むことが 出来るだろう。今回は大気と星風の運動を主に調べる。


 2.ダスト駆動星風:定性的な描像 

 2.1.星風の輻射加速 

 基本方程式 

 流体中の質点の運動を考える。その運動方程式は、



ここに、g*=GM*/R+2 は星表面重力加速度、Γ= 輻射と重力 の加速度の比であり、以下の様に表される。



上式はフラックス平均の(単位星間ガス質量当たり?)ダストオパシティ。 κacc(λ) = 波長λ での (星間物質単位質量当たり)オパシティである。 次に臨界オパシティ κcrit を以下の様に定義する。

これは上の第2式で Γ = 1 とした時に当たる。
 オパシティ 

 簡単のため、グレイン半径 agr = 一定とする。すると単位質量 当たりのオパシティは

ここに、ngr = ダストの数密度。Qacc = 輻射断面積/幾何断面積である。 Amon = 単量体原子量, ρgr = グレイン物質の巨視密度, εlim = 制限元素の存在比, εHe = ヘリウムの存在比、 fc = 制限元素のダスト化比率、s = 化学等量係数、とすると、


と書き直される。Mg2SiO4 グレインの場合、最小元素 は Si であるが、 単量体(monomer) 一つに Mg は二つ消費されるので、s = 2 の Mg が制限元素となる。

星間物質単位体積当たりオパシティ ρκ = πa2Qn
水素原子の数密度 nH = ρ/H/(1+4εHe)
ダストに組み込まれた制限元素の数密度 nlim = nH εlimfc
ダストグレイン1個内の制限元素数 Nlim = s(4π/3)a3 ρgr/(AmonH)
ダストの数密度 n
= nlim/Nlim
= (nHεlimfc)/[s(4π/3)a3 ρgr/(AmonH)]
= [ρ/H/(1+4εHe)][εlimfc] [3AmonH/(4sπa3ρgr)]
κ = [a-1Q/(1+4εHe)][ε limfc][3Amon/(4sρgr)]
=[3Amon/(4ρgr)][Q/a][ε limfc/s(1+4εHe)]



 減光効率 Q 

 吸収と散乱を含んだ効率 Q は、

ここに、gsca = 非対称ファクター。小粒径極限では、 Qabs ∝ a, Q ∝ a4 なため、 散乱は無視できるようになり、Q' = Qabs/a とおくと、

 2.2.凝集距離 Rc と浮揚距離 Rl 

 浮揚距離 Rl 

 衝撃波で持ち上げられたガスが r = Ro で速度 u0 の自由運動 に移ると仮定する。星表面の脱出速度 uesc = (2M*G/R*) 1/2 とすると、

 M* =1Mo, L* = 5000 Lo, Teff = 2800 K の場合、uesc = 36 km/s である。CO 第2倍音の観測から得られる視線速度は 10 - 15 km/s である。 Nowotny10 の動力学モデルによると、これらのラインが形成されるのは星表面 から上空 1.5 R* までの間である。そこで、 u0 = 15 km/s, Ro = 1.5 R* を仮定すると、上式から Rl = 2 R* となる。
 u02/2 - GM*/Ro = - GM*/Rl
 1 - u02Ro/2GM* = Ro/Rl
 Rl/R* = (Ro/R*)[1-(Ro/R*)(u0/uesc)2] -1


 凝集距離 Rc 

 κabs ∝ λ-p を仮定すると、ダス トの熱平衡式は
  4(R*/Rc)2∫B(ν,T*)νpdν= ∫B(ν,Tc)νp
  4(R*/Rc)2T*4+p = Tc4+p
であるから、

図1には Rc/R* = 2, 4, 10 のラインを p - Tc図上に描いた。
かなり変わった発想の図に思える。式で表すと
2log(Rc/R*)=-(4+p)log(Tc/T*)-2log2
p = -4-2log(2Rc/R*)/log(Tc/T*)
こりゃダメだ。変数は p, Tc, Rc/R*, T* か。図1は p-Tc 面上で 二つの T* に対して、Rc/R* =一定の線を3本描いた。もっと分かりやすいのは、 Rc/R*-T* 面上に、いくつかの p に対して、Tc = 一定の線を描くことでは?

図1.凝結距離 Rc/R* = 2, 4, 10 のライン。実線は T*= 2800 K, 破線は T* = 2500 K.

 p の正負 

 正の p を持つ物質は星表面に近いと吸収効率の方が放射光率より高くなり がちで、そのため凝結距離が遠くなる。一方、負の p を持つと逆の傾向となる。
負の p というのは信じがたいが、あるんだ。しかもシリケイト! 例えば、Feシリケイトの場合、 Tc = 1100 K, p = 2.3 である。すると、 T* = 2800 K に対し、 Rc = 10 R* となり、浮揚半径を大幅に超過する。一方、 Fe フリーシリケイトでは Tc = 1100 K, p = -0.9 で、Rc = 2 R* である。この 距離なら浮揚半径内となる。

 熱平衡? 

 イントロダクションで述べたように、相平衡は AGB 星におけるダスト形成 を正しく記述しない。 Gail10 の詳細なモデルでは、冷却効果が凝結温度より ずっと低い温度にしないと形成過程が進行しない。従って、熱安定を仮定する と凝結距離を実際より小さく見積もる結果となる。Tc を 10 % 下げると、p によるが、Rc は 17 - 41 % 大きくなる。この様に、いくらかの誤差はあるが、 炭素質ダストと Fe-フリーシリケイトの Rc が 2 - 3 R* に収まることは 確かであろう。



表1.ダスト物質候補の性質



 2.3.星風駆動源の条件 

 グレインの性質 

 あるグレイン物質が星風駆動源として適当かどうかを決めるためには 次の性質を調べる必要がある (a) Rc(Tc, p, T*)

(b) εlim

(c) Qabs と Qsca 特にフラックス極大波長域での。

詳細なモデル計算には時間変化、例えば成長率、などの考慮が必要である。

 選別 

 特定の物質が星風駆動源として適当かどうかを判別するには、 (i)(Rl/R*) と (Rc/R*) が十分に小さいか。

(ii)εlim と fc = 1 (最高に良い条件)で、 κacc を計算する。

(iii)適当な星フラックスで計算した ⟨κ⟩H > κcrit か。

以上を全て満たす物質は星風駆動源として更に詳しい研究の対象となる。図2上 に示す物質の図2下のフラックスに対する ⟨κ⟩H を表1に示す。

図2.上:小半径極限でのグレイン半径当たり効率 Qacc/a gr と波長との関係。破線=指数則フィット。斜線部=フィット 波長帯。下:黒線=Teff 2800 K の星スペクトル。赤線=BB  


 3.詳細 RHD モデル 

 3.1.ガス力学と輻射場 

 質量、運動量、エネルギー保存則 

 質量、運動量、エネルギー保存則は次のように書かれる。

ここに、u=動径方向速度、ρ=ガス密度、Pg(ρ,e)=ガス圧力、 mr=半径 r 内部の星質量、e=ガスの単位質量当たり内部エネルギー である。式から分かるように、ダストが輻射から受けた運動量は一瞬にして ガスに渡されると仮定している。ダストの吸収と散乱効率は共に運動量獲得に 寄与し、まとめてκHd に含まれる。
(ダストからガスへの熱移転なし? )


 ダスト温度 

 ダストのエネルギー収支は次の式で表される。

ここに、Tr = 4√(Jπ/σ) = 輻射温度、 κabs = ダストオパシティの吸収部分である。

 モーメンタム方程式 

J, H = 輻射強 度 Iν の周波数モーメンタムで、輻射方程式のゼロ次と1次 モーメンタム方程式を解いて求める。

注意すると、上の最初の式のダストオパシティの項はキャンセルして消える。 その前にあるように輻射平衡を仮定しているからである。 波長毎の輻射方程式を解いて、 Jν, Hν, Kν を求め、

でモーメンタム平均オパシティを求める。LTE を仮定し、源泉関数はプランク 関数 Sg = Bν(Tg), Sd = Bν(Td) とする。注意 しておくが、周波数依存の輻射方程式を解く際に散乱光は無視した。散乱光は 運動量獲得に関しては大きな役割を持つ。しかし、散乱光自体は輻射場を大きく は変えない。特にダストが成長して前方散乱が強くなるとそうである。 

図3.凝結率とダスト温度の関係。

 3.2.パラメター化したダストモデル 

 ダストのパラメター化 

 Bowen88 にヒントを得てダストのパラメター化を行った。それは、





 fabs 

 散乱と吸収がグレインに与える影響を区別するため、我々は fabs = κacc 中の吸光部分の割合、を導入する。



 4.モデルパラメター 

 星パラメター 

 動力学モデルに選んだ星パラメターは M* = 1 Mo, L = 5000 Lo, T* = 2800 K, 太陽組成である。内側境界での脈動は速度振幅 4 km/s とする。

 臨界オパシティ 

 ダストは、κ0, p, Tc, ΔT で記述される。 κcrit = 4πGM*/L* を計算すると 2.6 である。
SI で、G=6.7 10^(-11) N・m^2・kg^(-2), Mo= 2 10^30 kg, L*=5000*3.85 10^26 W. を代入すると
κcrit = (4π*6.7*2/5000*3/3.85)10^(-11+30-26+8) N・m^2・kg^(-2)・kg・m/W/s = 0.26 m^2/kg = 2.6 cm^2/g
単位ぐらい書けよ!

 パラメター化ダストオパシティ 

パラメター化したダストオパシティで、

p = 0 の場合に、 κ0 = 3.0 cm2gm-1 とする。そして他の p の対しては &lang:κ&rang:H が 同じになるように調整する。&lang:κ&rang:H の計算に 当たっては黒体でなく、モデル大気を使用する。こうして、 &lang:κ&rang:H = 3.0, Γ = 1.1 の動力学モデルを 計算することになった。

 ΔT 

 ΔT = 100 K とした。この値自体は結果にあまり影響しない。

 モデルグリッド 

 こうして、 p と Tc を変えて、モデルグリッドを計算した。最もありそう な組合わせをカバーするため、 p = [-1, 2.5], Tc = [700, 1700] K の 範囲を選んだ。さらに、 fabs = 0.5 - 1.0 の範囲で計算した。





図4.M*=1 Mo, L* = 5000 Lo, Teff = 2800 K、ピストン速度 = 4 km/s, fabs = 1.0 の場合の、左上=星風速度、左下=質量放出率、右上=輻射加速 度、右下=密度、の (Tc, p)面上での分布。星風と非星風領域の境界が ギザギザなのはグリッド点が少ないためである。輻射加速と密度とは fc = 0.5 (Td = Tc) 点での値の脈動周期平均値である。星風速度と質量放出率は計算の 外側境界で測った。黒実線は Rc = 2, 4, 10 を示す。

 5.結果 


図5.赤=ダスト、黒=ガス、青=輻射温度(Tr) の距離変化。 Tc = 1500 K, ψ = 0.5. 上 p=1, 中 p=0, 下 p=-1. 破線=静水大気。

 5.1.星風駆動源の制限 

 高 Tc で 負または緩い正の p  

 図4を見ると、(Tc, p) のどのような組み合わせが星風を駆動するのに 必要かがはっきりと分かる。Tc が高く、波長と共に NIR 吸収が強まる、 またはゆっくり低下するダスト物質は星表面近くで凝結し、 M-AGBs の 星風を駆動できる。例として、Tc = 1700 K, p = 1.5 という急勾配の 物質でも星風を駆動可能である。しかし、 Tc < 1400 K だと、p ≤ 0 が必要となる。

図6.Hofner08 の Mg2SiO4 グレイン質量放出モデル。 赤=ダスト、黒=ガス、青=輻射温度(Tr) の距離変化。 破線=静水大気。

 星風と非星風の境界 

 星風と非星風の境界線は下式で決まる凝結距離一定線と形が似ている。

それは、前に述べた質量放出の二つの段階をつなぐ上で凝結距離が重要な役割 を担っていることを示す。そうは言っても図9を見れば、単純な評価では詳細 モデルの値を出すことが無理と分かる。境界の位置は、星のパラメター、脈動 振幅、その他に影響されるのである。また、ダストの単純なパラメター化は Td < Tc になると直ちにダストオパシティが働き出すと仮定しているので、 ダスト形成の効率を過大評価していることになる。

 5.2.グレイン温度の傾向 

 p < 0 だと星近くでダスト形成 

 p < 0 の場合、長波長側での放射効率は短波長側での吸収効率より高い。 このために、ダストは吸光より放光がしやすいため、グレイン温度は低くなる。 その結果、グレイン形成距離は星表面に近い。p > 0 ではそれと正反対の事 が起きる。この傾向は図5にはっきり見られる。p = 0 を境に 赤線と青線の 上下が逆転することに注意せよ。

 詳細モデル 

 比較のために、図6にはMg2SiO4 グレイン形成 と光学的性質を詳細に組み入れたモデルを示す。この物質はパラメター化 では p = -0.9 となる。しかし、詳細モデルではダスト温度はそれより更に 低くなっている。





図7.上:星風速度と下:質量放出率の Tc と p による変化。
(縦軸のラベルが間違えている。 )
左:fabs=1、右:fabs=0.5


 5.3.質量放出と星風速度 

 Rc と 密度 

 そもそも κ0 をフラックス平均ダストオパシティが星風を 起動するのに十分なほど大きくなるよう(Γ > 1)に選んだ。したがって、 星風速度のような力学的観測量からダスト種を推測するのは難しい。それでも、 図7を見ると、 Tc が上がると質量放出率が上がる傾向がみられる。また p が 下がると質量放出率が上がる傾向がある。どちらも Rc を下げ、ρ を上げる。 それが質量放出率を上げることになるのである。それは図4下から明らかである。
 星風速度 

  星風速度は ⟨κ⟩H に依存する。





図8.図4と同じだが、 fabs = 0.5


表3.候補物質の性質のまとめ

 5.4.グレイン透明度の効果 

 散乱と吸収のどちらも輻射加速に寄与する。Hofner08 で Mg2SiO4 グレインに関して示されたように、運動量移 転に対しては散乱の方が効く場合もある。図4と図8で fabs を変えた結果 を較べた。


 6.議論: グレイン物質 

 Fe 

 図2から明らかなように Fe は NIR で吸収が強い。しかし、全ての鉄がダス トに変わっても κcrit に届かない。もっと悪いのは Tc = 1050 K, p = 2.4 だと浮揚距離でダストが形成されないし、星風を起動できない。

 MgFeSiO4 

 Fe を含むシリケイト MgFeSiO4 は NIR で高い吸収率を持つ。 しかし、 p = 2.3, Tc = 1100 K だと Rc が遠すぎる。

 Mg2SiO4と MgSiO3 

 Fe フリーシリケイト Mg2SiO4と MgSiO3 は星の十分近くで形成される。しかし、どちらも 1 μm 付近で非常に透明で ある。その結果、総オパシティは臨界オパシティに達しない。しかし、もしグレ インサイズが大きくなり、散乱が支配的になれば、オパシティ強度の問題が解決 する。
 SiO2 と Al2O3 

 不明点が多すぎ、はっきりした結論が出ない。ただ、 Al 存在量は他の一桁下。

 候補物質のまとめ 

 表3に以上の議論をまとめた。断面積の部は SPL = 粒径が小さい場合と BG = 大きい場合を分けた。表4にはここで議論しなかった物質の性質を載せた。



図9.  

表4.他の候補物質の p, Tc  


 7.まとめ 

 グリッドモデル計算からダストのどのような性質が星風を起動するのに 必要かを調べた。  Tc が低く、 p が大きい物質は星表面近くでダスト形成を起こせず、 星風起動源として期待できない。  Mg2SiO4 がもし 0.1 - 1 μm まで成長 できるなら、星風駆動が可能になるかも知れない。


 App B. 凝結距離 

 輻射平衡は輻射輸達の式から
  κabs,JJ - κabs,SS(Td) = 0
  光学的に薄い大気を考え、 Jλ = W(r)Bλ (T*)
ここに W(r) = [1-√(1-(R*/r)2)] は幾何学的希釈ファクター
κabs,BW(r)Bλ(T*)= κabs,BBλ(Td)