Gaia DR3 視差と赤化補正したフラックスから 185 post-AGB 候補星の光度 を求めた。それらを HR 図上にプロットした。かなりの天体がこれまでの post-AGB モデル進化経路と観測された PNe 範囲の外側に位置した。 | それらには高質量の進化した超巨星と低光度天体が含まれる。post-AGB 候 補星の 1/3 が光度不足であり、それらは最近知られるようになった連星進化 の結果生まれたpost-RGB 天体の種族であると考える。 |
サンプルは
Vickers et al. (2015)
から選んだ。249/350 Vickers サンプルが DR3 視差を与えられている。
内 74/249 の視差は π/σπ > 10 で精度が高い。
111/249 は 10 > π/σπ > 1 である。
残りの 64/249 は 1 > π/σπ である。
以降は 74 + 11 = 185 天体に集中する。
2.1.Vickers 距離との比較図1に比較を示す。相関がない。 |
![]() 図1.Vickers 距離との比較 |
3.1.HR 図光度の計算に必要な総フラックスは Vickers et al. (2015) から採った。167/249 天体はスペクトル型が判っている。その大部分 は SIMBAD からである。スペクトル型から有効温度への変換は Straizys, Kuriliene 1981 を用いた。こうして Gaia 視差と有効温度 の両方が揃った 134 天体を図2の HR 図にプロットした。 図2を見ると、Mi = 1 - 4 Mo 経路の上と下にはみ出てる星がかなり ある。3.2.post-AGB 候補星の光度図3には3つのカテゴリーの天体の光度分布を示す。全てのカテゴリーで、 ピークは post-AGB 候補の下限光度付近に来る。ピーク光度 4665 Lo は Mcore = 0.562 Mo に対応する。しかし、光度はもっと広い範囲に広がって いる。明るい方の二つは IRAS 17163-3907 = Fried Egg nebula と、 HD 179821 である。共に。高質量の進化した星であることが知られている。 |
![]() 図3.185 天体の 光度分布。二本の縦実線= Mi = 1, 4 Mo. 緑破線= PNe の平均光度。 |
光度の不定性 光度の不定性は距離とフラックスの決定を通じて入って来る。 距離精度の良いサンプルで作ったHR 図を図2と比べると、距離 不定性からのバイアスは小さいと分かる。 Vickers et al. (2015) はフラックス計算の精度を 20 % とした。 赤化係数が影響 Kamath et al. (2022) するかも知れない。 図4 RUWE の影響 図4には光度を RUWE の関数として表した。多くの低光度星が RUWE < 1.4 領域に見られる。この値は良い精度の基準値である。これは RUWE が 大きいことが低光度の原因ではないことを意味する。 4.1.低光度 post-AGB 星:銀河系 post-RGB 天体post-AGB 星調査を行ったら、大量の低光度天体が見つかった。これらは 広く受け入れられてきた post-AGB 進化経路の下に位置している。53/185 天体が L < 1000 Lo である。この発見は Hrivnak et al. (2020) が 5 post-AGB 星の研究から内二つは L = 1000 - 1500 Lo であることを指摘 したことに続くものである。 |
![]() 図4.光度と RUWE との関係。"likely" 天体 は紫丸、"possible" 天体は橙四角で、"miscellaneous" post-AGB は ピンク六角形で示す。 また最近 Kamath et al. (2022) は彼らが調べた post-AGB 星では 4/31 が < 1000 Lo であると述べている。また、 Kamath et al. (2016) はマゼラン雲中の post-AGB 候補星中 1/3 が低光度で低いものでは 100 Lo まで下がると述べている。かれらはそれを連星系ではないかと考えている。 |
(1)選択した post-AGB 候補の多くはモデル進化経路の上に乗るが
53/185 天体は進化経路の下にあり、post-AGB 星の性質に合わない。
(2)同様の天体が最近マゼラン雲でも発見されて、post-RGB 星と 名付けられている。我々は銀河系における post-RGB 天体を発見したこと になる。 | (3)現在の理論ではそれら post-RGB 天体は連星系またはマージャー である。これらの天体の数はかなり多い。 |