LMC 中心の 125 平方度で撮った2色の乾板から球状星団を探した。以前に球状 星団と報告されたものの多くは純粋な球状星団ではないことが分かった。新しく 発見された球状星団を同定した。 | 全部で35の星団を、色等級図に基づいて、真の球状星団と認定した。それらは 星雲の東側に片寄って分布する。いくつかの巨星枝は異常に弱い。 |
青星団と赤星団 Gascoigne (1954) は LMC 内の球状星団リストを与えた。彼は青乾板上での見かけ形状が球状星団 に似ていることで、それらの星団を球状星団とした。しかし、 それらの幾つか は A 型星を含んでいる。 Gascoigne, Kron (1952) は光電積分測光から星団がカラーにより青星団と赤星団に二分されることを示し た。NGC 1866 は青グループで最も目立ち、以前は球状星団と名付けられていた。 Sandage, Arp 1957 はその色等級図が M 11 に似ていることを発見した。青星団 は一般に球状星団よりは銀河系散開星団に似ている。 |
真の球状星団のカタログ Thackeray, Wesselink (1953) は LMC, SMC 星団中に RR Lyr 星を検出した。これは赤い星団がおそらく は種族II 天体で銀河系球状星団と同種であることを意味する。真の球状星団 のカタログを用意するため、筆者は SA Boyden Obs における 1958 - 1959 観測で特殊乾板を使用した。 |
観測領域 ADH Baker-Schmidt 望遠鏡を用いて LMC 全面を 40 枚の乾板でカバーした。 (RA, Dec)1950 = (5h20m, -69.1°) を中心に南北 10°, 東西 12.5° が観測領域である。4隅の位置は、(4h21m, -63.6°), (6h21m, -63.6°),(3h57m, -73.5°),(6h42m, -73.5°), Johnson , Morgan 1953 の B = 103a-O + Schott GG 13, V = 103a-D + Schott GG 11 で 30 分露出、限界等級 18.5 等である。 LMCの範囲 観測領域は McCusky (1935) が星数計測で決めた LMC 本体の主要部を含む。しかし、 de Vaucouleurs (1955) が述べたほどの遠方には及んでいない。 色等級図の分別 Schmidt 1957 に従い、LMC 距離指数を約 19 とすると、乾板限界等級 18.5 は絶対等級 0 等に相当する。通常の球状星団の上部は (B-V, B) 色等級図では ほぼ水平になるので、青乾板には、限界等級に近いほぼ等しい明るさの、星が 集まって見えるだろう。赤色巨星枝は(B-V, B) 色等級図ではほぼ垂直に立つ。 従って黄色乾板のほうでは限界等級の 2 - 3 等上に色々な明るさの星が集まっ て見えるはずである。銀河星団ではそのようなことは起きない。従って、 青、黄色乾板をブリンクコンパレータ―に掛けて見るだけで、球状星団型か、 銀河星団型かの区別は簡単につく。 |
![]() 図1.NGC 1846 の ADH 乾板。左=黄色。右=青。 色等級図の利用 大部分の星団は図1のようにはっきりと分類できる。しかし、いくつかは その規則にあてはまらないので色等級図で調べた。標準系列がないので、 正確な色等級図は得られず、近傍の正常星団と不規則星団を比較して調べた。 |
球状星団リスト 全部で 35 の星団が球状星団型と分かった。それらを表1に示す。半径は青 乾板から目視で決めた単なる目安である。中心集中度は Shapley, Sawyer 1927 に従って定めた。表2には多分球状星団だろうという3星団を示す。 球状星団の分布 図2に球状星団の分布を示す。LMC 外側では西部に殆ど存在しない。東部で はおそらく観測範囲の外側にまで伸びているのではないか。図3 a - d に 星団のファインディングチャートを示す。 |
![]() 表2.LMCの球状星団候補 |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
NGC 1898, 1917, Anon 1, 2 黄色乾板が不規則なため色等級図は示さない、 NGC 1846, 1978, Anon 4 較正済み色等級図はシリーズの後の論文で論じる。 NGC 1783 測定は Eggen, Sandage が行ったので示さない。 Anon 3 結果の再現性を示すため、独立な観測の結果を並べた。 |
図7= NGC 1751, 1795 非較正色等級図を示す。赤側の伸長が星団により異なることを示す。 図5の NGC 2209, 1718 赤色巨星枝が異常に弱い。メタルが高いためかも知れない。 図7の Shapley 16 球状星団ではないが、銀河系内のどの星団とも似ていない。しかし、 Arp 1959 が調べた NGC 458 と似ているのかも知れない。この星団は中間カラーの星が 最も明るい。低メタルの若い星を含む。 |