アブストラクト銀河系のダスト雲のカタログ21個を相互参照した。6500 入力から 5004 個 の全天ダスト雲カタログができた。特に高銀緯と低銀緯の境界が相互に参照された。 全天カタログには 525 個の高銀緯ダスト雲が載っている。カタログは主に可視 暗黒雲とグロビュールを扱っている。しかし、電波の情報も得ている。 以前にカタログ化されていないダスト雲が可視像と FIR マップで検出された。 最後に 2MASS で検出されたダスト雲について述べる。 |
1.イントロ暗黒雲の情報は多数のカタログに分散している。それらをまとめて一つの カタログにしたい。サイトは、 http://cdsweb.u-strasbg.fr/cgi-bin/qcat?J/A+A/383/631 |
![]() 表1.低銀緯雲 カタログの説明 表1には低銀緯(|b| < 25°)カタログをアクロニムと雲数と共に 載せた。内容を簡単に説明すると、 Barnard(1919,1927) 北と赤道のダスト雲の最初のカタログ。 Lynds 1962 δ > -33° Sandqvist, Lindroos 1976 -46°< δ < -33° Sandqvist δ < -42° Bernes 1977 LDN に付随する明るい星雲 Zealey et al 1983 Cometary Globule Feitzinger,Stuwe 1984 広がった雲とグロビュール Hartley et al 1986 南天の雲 |
![]() 表2.高銀緯ダスト雲 クラウドコア Myers et al 1983 低質量星形成の小さい雲(PSS) Clemens,Barvainis 1988 小さい雲 (PSS) Vilas-Boas et al 1994 近傍複合体の小さい雲の減光マップ(ESO/SERC J) Bourke et al 1995 Hartley et al のオパシティクラスA Parker 1988 オパシティクラス6のLynds' 雲147個の正確な位置 Lee, Myers 1999 オパシティクラス6、Aの最大のコアリスト Parker 1988 IRAS 天体とコアの関係, YSO,PMS Lee,Meyers 1999 IRAS 天体とコアの関係, YSO,PMS Vilas-Boas et aal 2000 Lupus, Corona Australis, Scorpius, Vela コア 個別研究 Combresy 1999 近傍雲21個の減光マップ。(星計数) Dame et al. 1987 近傍雲 23 個の CO 観測 Churchwell et al 1978 TMC-1, TMC-2 Ziurys et al 1981 OMC-1 Chini et al 1997 OMC-2, OMC-3 Heiles 1968 Heiles 2 Maddalena, Thaddeus 1985 MT1 Reipurth 1983 2 cometary glonules + 7 Gum Nebula Dark Clouds Lefloch,Lazareff 1995 pre-coetary globule 高銀緯雲カタログ 表2には高銀緯雲カタログのリストを示す。その多くは CO 観測による ものだが、 IRAS データも含まれている。 |
手順 (1)CDS からカタログをファイルで取る。無いものはタイプする。 (2)(α, δ)2000、(l, b) に変換。 (3)天体を l 順に並べる。 (4)同じ天体と思われるものを調べる。 (5)可視雲で疑いのあるものは DSS, XDSS で眼視チェックする。 距離と速度 Hilton,Lahulla 1995 は距離を載せている。それらは、関連星、OB 複合、 背景・前景星運動などから得られた。Otrupcek et al 2000 は CO 視線速度 が載っている。 減光度 減光度は Lynds 1962 のスケールに統一した。内部の変化は平均化した。 FIR コントラストパラメタ―も有用である。 遠赤外減光 Schlegel et al 1998 は全天 E(B-V)FIR マップを、分解能 6' で作成した。ただし、放射輝度 からダストの光学的深さを出す際に必要なダスト温度は空間分解能 がより低い DIRBE マップから得られた。 |
雲の赤化量 雲の中心赤化量は次のように定めた。雲の主軸が 10' 以上の大きさの場合、 中心から四方に向かって、主軸サイズの 1.3 倍離れた4箇所で背景レベルを 取る。もっと小さい雲では 2 倍離す。4つの背景レベルから平均値、分散、 二つのコントラストパラメタ― Δ と ρ を計算した。 Δ は 中心と背景との差、 ρ は比である。 Δ が負で、 ρ が1より 小さいこともあることに注意せよ。というのは、特に銀河面近くでは、背景の 減光がかなりになるからである。近くの雲、位置の不定性、形の不規則さ、 広がりなどがこのパラメタ―を乱す要因となる。雲は銀河面近くに位置するが、 それでも 3750 雲は Δ が正であった。注意すべきは、温度分布の空間 分解能が低いので、パラメタ―がダストコラム密度を表すと考えてはいけない。 新しく同定された雲 新しく同定された雲は、 (1).Magnani et al 2000 b < -30° で 133 方向に CO 検出。58 = 新検出。75 = 既知 26 雲。 Reach,Wall,Odegrad 1998 FIR マップと比較し、16 雲の証拠。 (2)特に新しい雲の検出を目指さなかったが、相互参照や可視画像の眼試チェック の過程で二つの低銀緯グロビュール、10高銀緯雲、3中間銀緯雲を新発見。 (3). Dutra, Bica 2001 2MASS を用いてバルジに検出したダスト雲。Ks 不透明。 いくつかは GC 付近の巨大分子雲かも知れない。 電子カタログ cdsarc.u-strasbg.fr から anonymous ftp で取ってこられる。第1行の内容は (1),(2) 銀河座標。(3),(4) J2000.0。(5),(6) 長軸、短軸(arcmin)。 (7) 可視不透明度。(8) 名前。 第二行の内容は、(1) FIR 中心赤化。(2) 背景赤化。(3) 揺らぎ。(4) Δ。 (5) ρ。その後は、d = 距離(kpc)、vCO = CO 視線速度。 vHI = HI 視線速度。 |
l-, b-分布 図1には l-, b-分布を示した。l 分布は半中心方向で極小を示す。 b 分布では、89 % が低銀緯帯に存在する。高銀緯には 525 雲が存在する。 幾つかは銀極に固まる。今回の高銀緯雲は Bhatt 2000 が高銀緯雲と Per OB3/CasTau/Sco OB2 複合との関連から研究したサンプルの 約2倍ある。 角サイズ 図2に角サイズ分布を示す。全体としては分布は指数関数型で、大部分は グロビュールと雲のコアで占められる。高銀緯サンプルの分布はガウス型で ピークは 80' - 90' に来る。 ![]() 図1.(a). ダスト雲の銀経分布。(b). 銀緯分布。破線=高銀緯境界。 |
重複名 同一雲にカタログ毎の名前が付いている。例えば、 B232 = FeSt1-252 = HMSTG343.7+4.0 LDN1701 = HMSTG354.0+3.5=Sc16 HMSTG267.6-6.4 HBM2 = IREV155 将来の展望 2MASS を用いて Ks ダスト雲が探せる。本論文のカタログは 2MASS で 見つかった雲が可視対応天体を持つかどうかの判断に使える。最近、 http://www.ipac.caltech.edu/2mass/gallery/fest1-457atlas.jpg で3色合成した FeSt1-457 雲の画像を公表した。 ところが、2MASS 天体 (本カタログでは 2MASS-DN1.7+3.6) は 4'×3' で DSS, XDSS には映っていないが、FeSt1-457 は サイズ 70' で減光クラス 4 である。2MASS 雲の方は関連するグロビュールか、もっと遠くの雲 かも知れない。 このように、新しい雲を探すときにこのカタログは有用である。 ![]() 図2.角サイズ分布。(左)低銀緯。(右)高銀緯。 |