内側銀河の巨大分子雲と質量、サイズの点で同程度の分子雲が外側銀河系腕 に b = 1° を中心とした l = [65, 71] の新しい CO サーベイで検出された。 Ro = 8.5 kpc を仮定して、それらは R = 12 kpc にあり、ビリアル質量と CO 光度ーライン巾関係から定めた N(H2/WCO 比は内側銀 河の 4±2 倍大きく、CO では暗めである。 | R = 11 kpc の外側に外挿すると、銀河系全体では (1 - 7) × 108 Mo の分子質量が期待される。サーベイされた外側腕複合体の中には, R > 10 kpc で最も明るい二つの HIIR が含まれている:一つは W 58, もう一つはこれまで未同定 であった S 98 の遠方成分である。 |
N(H2/WCO 比 LMC/SMC の観測から、N(H2/WCO 比がメタル量に逆比例 する(Cohen et al 1988, Rubio et al 1990) ことが知られている。銀河系の太陽円 内側ではこの比はほぼ一定である。しかし、今回の観測は太陽円外側ではメタル量の 影響があることが分かった。 観測 CO 観測は CfA 1.2 m とベル研 7 m 望遠鏡で行われた。図1にはその結果を 示す。運動距離 12 kpc (Ro = 8.5 kpc)にある外側腕がワープの結果 b = 1° を中心に、v = [-40, -80] km/s の雲列として見つかった(図1a)。図1b には その雲を (l, b) マップとして表した。その最も強い強度の箇所をベル研望遠鏡 で観測した結果を図1c に示す。分子の塊りの位置、大きさ等を表1に示す。 分子雲質量と CO 光度 図1b の l = 70° 付近に見える巨大分子雲複合体のサイズは Dame et al 1986 にある内側銀河系の巨大分子雲と同程度である。しかし、その明るさはずっと弱く、 LMC の雲(Cohen et al 1988)と似ている。例えば図2を見よ。これは、 X = N(H2)/F(CO) を標準値 X = 2.3 × 1022 cm-2(K km/s)-1 の 4 倍にすると良く合う。 最大分子雲 表1によると CfA データで最大の分子雲は 5 × 105 Mo である。一方、l = 70° にある vLSR = [-75, -55] km/s の 分子雲集合は質量 2.5 × 106 Mo, 大きさ 200 pc である。 つまり、外側腕にある最大複合体の質量と大きさは R = 3 kpc と太陽円の間にある 最大級 GMC と同程度である。 X 項 外側腕で X項が小さいのは太陽円の外側でメタル量が減少する、または それと対応するが雲の運動学温度の低下が原因である。外側腕の銀河中心距離で メタル量が低下していることは、 Shaver et al 1983 の報告がある。また Mead, Kutner 1988 は雲温度が低いと述べている。 W58G これらの差にも拘わらず、外側腕分子雲には明るい HIIR が二つもあり、 星形成は活発である。一つは巨大 HIIR W58G で、方向と速度は我々が (l, b) = (69.85, 1.50) に発見した 4.4 × 105 Mo の巨大分子雲 と一致する。W58G は熱輻射スペクトルを示し、S(5 GHz)D2 = 430 Jy kpc2 で、オリオンAの約4倍である。しかし、超巨大 HIIR 例えば W49 の 7000 Jy kpc2 に比べるとはるかに小さい。Te = 104 K を仮定して求めたライマン光度は 3 × 10 49 光子/秒である。 |
![]() 図2.表1にある外側腕分子雲の CO 光度 LCO 対 ライン巾 Δv。 丸 = CfA 雲, 三角 = ベル研雲。黒印はよく決まった雲。白印はやや怪しい雲。 実線 LCO = 1.47 + 3.34 log Δv は外側腕分子雲。 破線 LCO = 2.21 + 3.16 log Δv は内側腕分子雲 ( Dame et al 1986 )で、斜線は 1σ 帯 。 S98 HIIR 外側腕に属するもう一つの HIIR は以前同定されなかった S98 の成分で、 太陽から 5 kpc 離れ、太陽円内側に位置する。図1 に示されるように、 Lockman 1989 は H125α, H127α サーベイで S 98 方向に二つの速度成分を発見した。 一つは vLSR = -2 km/s で可視 HIIR と同じ速度、もう一つは vLSR = -63 km/s でそれと無関係の外側腕ガスである。位置と 速度の双方で、この遠方成分は我々が (l, b) = (68.18, 0.90) に観測した 分子雲と一致する。電波連続波のどれだけが近傍 HIIR と 遠方 HIIR に分配 されるかは不明であり、この成分の強度は分からない。 他の HIIR W58G ともしかすると S98 の遠方成分の他には R = 10 kpc の先には巨大 分子雲 [S(5GHz)D2 ≥ 300 Jy kpc2] はない。 この二つは Mead, Kutner, Evans 1990 が 5 GHz VLA で検出した 外側腕 l = [56, 212] の分子雲 17 個に付随する 38 個の電波源の約 10 倍明るい。 結局 サンプリングの良い(間隔?) CO サーベイから、太陽円の外側 3.5 kpc にある 巨大分子雲複合体の存在を明らかにした。外側雲の X 値は内側に比べ 4±2 倍大きい。 |
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