A Survey of Radio HII Regions in the Northern Sky


Lockman
1989 ApJS 71, 469 - 479




 アブストラクト

 Dec ≥ -37° の約 500 の銀河面電波源を電波再結合線を用いて、電離 領域なのかどうか調べた。462 天体で検出された。うち約半分は初検出である。 データは表で載せた。新たに発見された星雲の中にはライン巾が細くて、 < 4600 K と看做せるものがいくつかあった。一つでは幅がわずかに 11.6 km/s で Te ≤ 2900 K である。

 1.イントロダクション 

  Altenhoff, Downes, Pauls, Schram 1978 は Effelsberg 100-m 5 GHz ビーム巾 2.6' l = [357.5, 60] b = [-1, ;1] のサーベイから 1186 個の電波源をリスト化した。その内 40 個は、スペクトル 勾配が急で、再結合線が検出されないという理由で、SNR と分類された。
  Reinfenstein, Wilson, Burke, Mezger, Altenhoff と   Wilson, Mezger, Gardner, Milne 1970 は再結合線探査から、 50 個が HIIR であることを示した。 Downes et al 1979 の観測により、HIIR と同定された電波源の数は 150 個に増加した。しかし、残り 80 % の天体は未同定の ままであった。
そこで、私は NRAO 43-m で北天銀河面の連続波電波源の再結 合線観測を行った。観測は l = [2, 60] に集中した。 観測天体は、主に、 Altenhoff, Downes, Pauls, Schram 1978 から選んだが、さらに、Altenhoff 1970, Reich et al 1984, Kallas, Reich 1980, Felli, Churchwell 1972, Haynes, Caswell, Simons 1979, Wendker 1984, Day, Caswell, Cooke 1972 から補足した。以前検出報告があった天体も再観測した。 462 HIIR が発見された。 その内 300 以上は l = [2, 60] に存在する。 約 200 個は  Reinfenstein, Wilson, Burke, Mezger, Altenhoff , Wilson, Mezger, Gardner, Milne 1970 , Downes et al 1979, 半数以上では初検出である。非検出天体の大部分はおそらく感度の問題で受からなかった のであろう。


 4.観測天体の性質 

 4.1.線幅 

 線幅 (FWHM) 分布は 25 km/s 付近にピークを持つ。驚くべきことに 線幅の狭い天体がある。 11 HIIR では FWHM ≤ 14.7 km/s であった。 これは Te ≤ 4600 K に相当する。最も細い 36.289+0.734 では FWHM = 11.6 km/s つまり、 Te < 2900 K である。「冷たい」星雲 は Shaver, McGee, Potasch 1979 により発見され、 Te < 4700 K で あった。これら「冷たい」星雲は多数の微かな星雲内には多数あるのかも 知れない。

 4.2.速度 

 図2に l = [350, 130] の速度ー銀経分布を示す。l = [-2, +2] は含まれて いない。Ro = 8.5 kpc 仮定。斜めの線は R = 3.3 kpc ラインである。l = 80° のシグナス領域を除くと、 HIIR は 低銀経に集中 していることが分かる。ここではモデルに無関係な3点を指摘したい。

 低銀経での非対称性 

 l = [350, 358] と [2, 10] の各 8 度巾にはほぼ同数の HIIR がある。しかし、 その分布は全く異なる。南天星雲の 1/4 は V < -50 km/s なのに、北天 星雲では、 V > +50 km/s は僅かに一つしかない。最も直截な解釈は、南天 HIIR は北天 HIIR よりずっと銀河中心に近い配置をしているというものである。 l = 357.5° にあって最もマイナス速度が大の HIIR は銀河中心から 2 kpc しか 離れていない。一方、北天 HIIR のほぼ全ては R > 3 kpc である。この種の 非対称性は他の種類の天体には見られない。
 非対称のもう一例は、南天 HIIR の 5 個が V > 10 km/s なのに、北天では V < -10 km/s が 1 個しかないことだ。
 最後に、 3 kpc 腕が HIIR でははっきり見えない。しかし、分子雲   Bania 1980 ではこれははっきりしている。

 渦状構造 

 図2をぼやかして見ると、l < 50° の HIIR は二本の系列に並んで見える。 その強い方は (l, V) = (0, 0) から (30, 100) へ延び、弱い方は (50, 60) へ 連なる。この二本はもし小さなピッチ角の渦状腕を仮定するなら自然に説明される。 明るい HIIR 100 個を対象にした類似の解析で Lockman 1979 は似た模様に注目した。 ただし、限られたサンプルでは速度大で現れるギャップに注意が向いたが。 今回はずっと多くのサンプルであるが模様は生きている。この電波 HIIR の銀経ー 速度関係は内側銀河における腕のはっきりした証拠となっている。

 分子速度との比較 

 電離ガスの不均一な膨張のため、 HIIR の速度は母分子雲の速度とは異なる。 可視 HIIR 62 個で 再結合線と CO の速度の差を調べた平均値は -1.1 km/s で あった。興味深いのは Orion A が V(HIIR) - V(CO) = -10 km/s と大きな差を 持つことである。

図1.HIIR の線幅分布。


図2.l < 130° HIIR の速度ー銀経分布図。 Ro = 8.5 kpc 仮定。斜めの線は R = 3.3 kpc ラインである。l > 0° HIIR で このラインより下、または l < 360° HIIR でこのラインより上のものは R < 3.3 kpc である。


 表1.再結合線が検出された電波源 (主に l = [2, 60] である) 












 表2.検出されなかった電波源