IRAS Sources beyond the Solar Ciercle II. Distribution in the Galactic Warp


Wouterloot, Brand, Burton, Kwee
1990 AA 230, 21 - 36




 アブストラクト

 サンプル選択 
 外側銀河系での分子雲分布を導き、HI ガスと較べた。雲候補は IRAS 点源 カタログから、第2、第3象限にあって、カラーが埋もれた星を持つ既知の 分子雲と同じという基準で、選ばれた。選択された 1302 天体中 1077 個に CO(1-0) が検出された。それらの運動距離を求めた。外側銀河系の雲の数と 距離範囲の点で今回のサンプルは既存のどれよりも大きい。

 回転曲線 
 距離エラーが調べられた。回転曲線は Brand らが求めた、 Θ = Θo (R/Ro)0.0382, Θo = 220 km/s, Ro = 8.5 kpc である。
星形成の分布 
 分子雲の銀河中心距離は R = 20 kpc にまで及んでいる。今回 CO が検出 された雲は全て埋もれた IRAS 源を含んでいるので、この結果は星形成が 非常に離れた銀河円盤で進行していることを示す。

 ワープ 
 雲の分布は HI と同じワープを示す。IRAS 天体で追跡したワープは R = 11 kpc で始まり、サンプルが終わる R = 20 kpc まで続いた。この区間で 雲集合の厚みは増加していき、R = 17 kpc では R = 10 kpc での厚みの 2 倍になった。内側銀河系では分子雲の厚みに比べ HI 層はずっと厚いの だが、外側銀河では二つの厚みは同じくらいに接近する。R > 14 kpc で 定めた動径方向スケール長は HI ガス密度の低下は分子雲よりゆっくり している。


 1.イントロダクション 

 ワープ 

 初期の銀河面サーベイの時代から外側銀河系では HI 面がねじれていることが 分かっていた。その後の観測の発展でも基本的な点、 HI 層は北側ではプラス z 方向にねじれており、南側ではマイナス側、という 構図は変わらない。さらに、 HI 層は R が増加するとフレア、すなわち 厚みを増す。銀河系遠方の天体がダークマターポテンシャルの決定に使える と分かり、近年銀河系外側形状への関心が増している。

 ワープの星成分 

 宮本、吉沢、鈴木 1988 は O, B 星の運動学からそれらが R = 10.5 kpc 付近でワープに追随しているとした。R = 2Ro 付近で可視光で同定される HIIR は 20 - 30 くらい存在する。それらは R 大での回転則の決定に重要 である。数は少ないが、それらは HI ワープに追随 (Fich, Blitz 1984, Brand 1986) するらしい。
分子雲 

 外側銀河系の分子雲探査は狭い領域の精査か広い領域の粗査に限られている。 May et al 1985, 1988 は第3象限で約 30 の分子雲を検出した。それらは 最大 R = 13 kpc にまで達し、銀河赤道(?)に対し傾いた分布を示した。 これは可視 HIIR を欠く分子雲もやはりワープに追随する証拠である。Mead 1988 も類似の結論を得た。

 IRAS 天体 

 Wouterloot et al 1988 は IRAS 天体が遠方での星形成追跡に使えることを 示した。本論文は約 1000 個の IRAS 天体の分布から外側銀河系の形状を 研究する。 Wouterloot, Brand 1989 は、選択した 1302 IRAS 天体の CO 観測を行い、をカタログ化した。 こうして得られた雲の分布は HI とおなじワープとフレアリングを示した。 同時に、選択基準 Wouterloot, Walmsley 1986 は星形成の指標である埋もれた星を伴う雲を選んでいるので、このカタログは 星形成が銀河系のずっと遠方まで伸びていることを示している。


 2.観測 

 2.1.IRAS 天体の CO 観測 

カラー基準 

    (i) S(25), S(60), S(100) あり。
    (ii) S(12) < S(25)
    (iii) 0 < R23 < 1.5 
       -1 < R34 < (0.261 + 0.227 R23)
ここに、Rij = log(νjSj)/(νiSi)
この基準は水、アンモニアメーザーを放射する星形成活動領域を含む分子雲 のカラーを選び、冷たいシラスの膨らみ部を排除する。 Wouterloot, Walmsley 1986 を選んでいる。明るい赤外源でも T タウリ型星と似たカラーの天体は 排除される。

 観測 

 サンプルは 1302 IRAS 点源を含み、内 1292 の CO(1-0) 観測が  SEST で、残り 10 天体は KOSMA で CO(3-2) 観測が行われた。

 2.2.ワープの HI 観測 

 Burton 1985, Kerr et al 1986, Weaver, Williams 1973 から合成データ キューブ nHI(l, b, v) を作った。これをさらに nHI(R, Θ, z) に直した。 Θ は銀河中心から 銀緯と同じ向きに測った角度である。

 2.3.速度から距離へ 

採用した回転曲線 

 Brand 1986 は HIIR の距離を Brand et al 1987 の CO 視線速度から 求めた。それは
   Θ(R) = Θo(R/Ro)0.0382
Ro = 8.5 kpc, Θo = 220 km/s である。

 回転曲線の非対称性 

 Burton 1988 図7.10 にあるように、第4象限の視線速度は第1象限の対応 速度より系統的に大きいことが昔から知られていた。これは、銀河回転運動が 大規模に円運動からずれていることを意味する。しかし、半中心方向ではその差 は大きくないので円運動の仮定を採用する。

 密度超過 

 例えば図3の (l, v) 図に見られる放射の高まりは、局所的な密度超過と 言うよりは、少なくとも部分的には視線方向の速度の重なり合いで説明が つく。

 l = 180 での距離不定性 

 l = 180 では v = 0 に集中するので v から R への変換に大きな不定性が 伴う。


 3.IRAS 点源の統計 


図1a.CO(1-0) 検出 IRAS 天体の分布。白丸= CO は検出されたが IRAS 天体 に随伴していないと判定。実線枠= IRAS 天体を捜索した領域。点線=銀河 赤道。

 銀経に沿って分布が傾いている 

 1077/1302 CO/IRAS 天体の分布を図1a に示した。最も驚くべきは銀経に 沿って分布が傾いていることである。これは外部銀河系のワープを反映して いる。

 分布巾 

 銀緯方向の巾から推定すると、8.5 kpc < R < 9.5 kpc にある IRAS 天体の 30 % が探索域外に出ているが、この先の結論に大きく影響しないと 考える。
  図1b には CO 非検出の 225 IRAS 天体の分布を示す。分布が高銀緯 にまで広がっていることからこれらは銀河の可能性が強い。

 HIIR, 双極流天体 

 87/1302 個は HIIR である。うち6個は CO 非検出であった。2/6 個、 S173 内の IRAS 00187+6172 と S 229 内の IRAS 05281+3412 は非常に 大きく広がった HIIR である。残り4つは小さな HIIR の近く, IRAS 05247+ 3422/S 234, IRAS 05247+3422/S 234, IRAS 05281+3412/S 237, IRAS 07077- 1821/S 301 にある。これらは OH231.8+4.2/IRAS 07399-1435 のような 双極流星雲かも知れない。それらのカラーは選択基準によく似ている。
 以上のような例外はあるが、大部分は前主系列天体である。

サンプルの完全度 

 太陽からの距離が 15 kpc 以上からは CO が検出されていない。サンプル中 の天体は 25, 60, 100 μm で検出フラックスを有し、かつ2.1節の 式を満たしている。

図1b.CO 非検出の IRAS 天体の分布。これらはおそらく銀河であろう。


図2.もし太陽から 15 kpc 離れていたらサンプルにギリギリという 限界光度。



 これは 25 μm フラックスのみが完全性チェックに使用 できることを意味する。実際には S(25) > 0.25 Jy である。 4.3節の天体分布を導く完全サンプルを選ぶため、 D = 15 kpc におい た時に F(25) > 0.25 Jy より大きいかどうかチェックした。図2は 25-60, 60-100 二色図上でその限界に達する光度を示した。


 4.運動距離と銀河面分布 

 4.1.運動 


図3a.CO の (l, v) 図。ラインは Ro=8.5 kpc 回転曲線を用いた 距離 R = 一定の線。

 以前の可視同定天体との比較 

 図3aは検出された CO, 図3b はそのうち IRAS 天体と物理的につながり が認められた CO の (l, v) 図である。つながり判定は Wouterloot, Brand 1989 にある。この図は以前 IRAS 天体について考えられていたよりずっと 遠方まで分布している。例えば、 Blitz et al 1982 と Brand et al 1987 は可視 HIIR と反射星雲の速度を測った。かれらのデータを図3b と比べると かれらの可視同定天体の分布は |v| ≤ 50 km/s では一致することが 分かる。その先の速度では、IRAS で同定された雲に較べ可視同定天体の数 がずっと少なくなる。

 以前の CO 探査 

 今回の観測は |v| = 110 km/s まで探しているので、以前の CO サーベイ が |v| = 50 - 70 km/s までで、間隔も広いグリッドでの観測よりも ずっと多数の CO 分子雲が見つかった。

 HI との比較 

 図3c には HI (l, v) 図を示す。これを見ると、HI と CO が類似の 分布をしていることが推測される。図3c の 4 K レベルは HI 層の運動距離 の広がりを示す。分子雲とこの HI 分布は基本的に同じ広がりを示す。どち らの分布にもある種の塊りが見える。 |v| < 15 kkm/s の塊りは グールドベルトと局所腕とに同定されている。l = [100, 160] の中間速度 の塊りはペルセウス腕の一部である。

図3b.方向のみでなく、CO 放射と IRAS 源が物理的につながっていると 判定された天体の分布。


図3c.HI (l, v) 図。等高線は Ta = 0.5, 2, 4, 10, 20, 30, 50, 70, 90 K.


 4.2.空間分布 


図4a.IRAS 方向に見つかった CO 天体の位置。太陽は(0,0), GC は (0, -8.5) である。実線=点源の銀経限界と R 20 kpc ライン。 。破線=反中心方向 30° 範囲で運動距離の不定性が大。



 IRAS 分布 

 図4a は IRAS 方向に見つかった CO 天体の位置である。 図4b は CO が IRAS 天体と物理的につながったサンプルの分布である。 4a と 4b の差は主に r < 1 kpc で生じる。 Wouterloot, Brand 1989 に載っていた l = 180° 付近にある R = 25 kpc 天体の距離不定性は 非常に大きいことを注意しておく。

 星形成の限界 

 図4を見ていると R > 20 kpc の分子雲は殆どないことに気付く。 20 kpc を越えると星形成は殆どないと考えてよい。第3章で示したように、 明るい銀河系天体は明らかに全て検出されている。図4を見ると分かるように、 遠方天体は大体均等に分布していて、特に低減光のウィンドウにより分布の フィンガーが現れたりはしていない。

 腕が見えない 

 第2象限の方が第3象限より分子雲の数が多いようである。第2象限 の雲は R = 12 kpc 付近(v = [-60, -40] km/s)の可視星ペルセウス腕 Kimeswenger, Weinberger 1989 に属するように見える。大規模の渦状腕構造は見えない。

図4b.CO が IRAS 天体と物理的につながったサンプルの分布。


図4c.図4b と同じだが、バツ印は銀緯方向で平滑化した回転曲線使用。 四角は観測速度場使用。速度場が多重の時は平均値を使用。

平滑回転曲線を使うと少し縮む 

 図4c では、r < 6 kpc の運動距離は平滑化しない速度場から、以遠の 天体は銀緯に沿った平滑化を行った回転曲線を使って、求めた。全体の 様子は変化しないが、ペルセウス腕の距離は少し近くなった。



 4.3.表面密度 


図5a.LIR が図2に示されるように適切な値より大きい IRAS 点源の表面密度。北銀河 l = [85, 165] と南銀河 l = [195, 280] とに 分けて示す。
(R=銀河中心距離。D=太陽距離。 L=光度。C=IRASカラー
ρ(R) = Σρ(R,D,L,C)i*Si*YN(D,L,C)/ ΣSi*YN(D,L,C)
Si=i-面積。YN(D,L,C)=(D,L,C)が観測可能なら1,ダメなら0.)





図5c.可視で同定された HIIR の表面密度。北銀河データは Fich et al 1986, 南銀河データは Brand 1986.



図5e.H2 と HI の表面密度 σ の変化。 第2、第3象限の平均値。現在の H2 データを 以前の太陽近傍に合わせた値にのスケールすることは本文で論じる。
 分子雲表面密度 


 表面密度の銀河中心距離による変化を図5に示す。図5a には IRAS 点源が埋もれている分子雲の表面密度(雲 kpc-2)を示す。 図では北銀河 l=[85, 165] と l=[195,280] に分けて示した。 分子雲の銀河面垂直方向分布からは、R = [8.5,9.5] kpc のビンでは。約 30 % の天体が銀緯が高過ぎて失われていると想定される。その外側ではほぼ 完全である。ペルセウス腕を越す R > 14 kpc では南北差は殆どない。 分布は R = 20 Ro まで広がっている。これまで HI 以外ではこれほど 遠くまで外側銀河が調べられたことはなかった。

 HI 表面密度 

 図5b には HI の表面密度を銀河中心角度 Θ=[120,170] と [190,240] に分けて示した。分子雲の分布は R < 10.5 kpc と R > 13.5 kpc では南北でほぼ等しい。北銀河 R = [11, 13] kpc での ペルセウス腕の分子雲超過が明瞭に見える。

 可視 HIIR 

 図5c には可視 HIIR の表面密度を示す。南銀河に現れた強いピークは 多分反射星雲が入り込んだためであろう。
( データ選別が不完全なのか?)

図5b.HI 表面密度の変化。データは銀河中心角度 Θ=[120,170] と [190,240] で採った。
( 極大はペルセウス腕、それとも 外側腕?太陽から結構遠いなあ。)




図5d.図5a と同じだが、太陽から 6 kpc 以内の雲の観測 速度場から導いた運動距離を使用(?)
( 何のことやら?)




図6.R > 13 kpc での HI, 分子雲、HIIR 表面密度低下の比較。 密度変化を exp(-R/h) とした時、h(HI) = 4.0, h(MC) = 1.5, h(HIIR) = 1.9 kpc.

観測速度場から決めた分子雲分布 

 図5d には分子雲の表面密度だが、滑らかにした回転曲線ではなく、観測 速度場を用いて作った表面密度変化を示す。
( 繰り返すが、「観測速度場」 というのは何のことか不明。大体、外側銀河面の回転速度って どう決めるんだ?)
 図4c を調べると既に現れているが、速度場データの使用により、南銀河 での天体分布に現れる構造を減少させる。特に、 R = 10 kpc の深い谷 が消える。

 σ(H2) の勾配 

 図5e では HI と H2 の分布を比べた。H2 の分布 は図5a データの 8.5 < R < 9.5 kpc 部分を 1.3 倍して銀緯効果を 消して作った。注目すべきは、こうして決めた σ(H2) の R > の減少勾配が以前の一般的な CO サーベイ(Sanders et al 1984) に 較べると緩いことである。勾配が急であったのは、銀河面から離れた分子を 落としていたからである。

R > 13.5 kpc の密度低下 

 図6には R > 13.5 kpc の密度低下を示した。分子雲のスケール長は 1.5 kpc であるが、距離精度の低い R = 20 kpc データを除くと、 2.0 kpc となり、 HIIR の 1.9 kpc と近い。図5b を見ると HI は R = 24 kpc まで広がっている。分子雲と同じく、HI も第2象限 R = 13 kpc にペルセウス腕に 対応した盛り上がりが見える。第3象限の HI 表面密度波 R = 16 kpc まで ほぼ平坦である。その先で南銀河の方が HI 密度が低い。第2、第3象限での HI スケール長は 4.0 kpc である。この値は IRAS 天体のスケール長の約2倍 である。

 分子雲質量 

 これらのデータから、 R > 8.5 kpc には 5.8 108 Mo の 分子雲が存在する。


 5.外側銀河での分子雲のワープ;HI との比較 


図7a.R = [8.5, 10.0] kpc における HI 密度と銀河中心方角との関係。 等高線は nHI = 0.01, 0.02, 0.03, 0.04, 0.06, 0.08, 0.12, 0.16, 0.23, 0.31, 0.4, 0.5, 0.65, 0.8, 1.0 cm-3.




図7c.R = [12.0, 14.0] kpc における HI 密度変化。




図7e.R = [16.0, 20.0] kpc における HI 密度変化。

図7b.R = [10.0, 1 2.0] kpc における HI 密度変化。




図7d.R = [14.0, 16.0] kpc における HI 密度変化。

HI のワープ 

 図7には銀河中心を囲む円筒の壁毎に HI の密度変化を示した。 ワープは距離が大きくなるにつれて激しくなり、最外側の R = 18 kpc の壁では z 平均値が 1 kpc にまで達する。

より詳しい観測では 

 Burton, te Lintel Heckkert 1988 の詳しい HI 観測により、 銀河中心方位角 360 度の HI 分布が得られている。それによると、 ワープは Θ = 80° で最高、 260° で最低値を取る。 IRAS 天体ではこの全領域はカバーされていない。

 ワープの南北差 

 HI ガス層は R < 11 kpc では平らで、その先は線形に発達していく。 R = [11, 14] kpc では南北差はない。その先、北銀河はワープがそのまま 成長し、 R = 23 kpc で検出限界に達したときには放射中心は z = 3 kpc になっている。一方、南銀河のワープは R = 15 kpc で z = -1 kpc の 最低点に達し、その先では却って銀河面に戻る。





図8a.R = [8.5, 10.0] kpc 円筒壁における 分子雲分布。




図8c.R = [12.0, 14.0] kpc 円筒壁における 分子雲分布。




図8e.R = [16.0, 20.0] kpc 円筒壁における 分子雲分布。



図8b.R = [10.0, 12.0] kpc 円筒壁における 分子雲分布。




図8d.R = [14.0, 16.0] kpc 円筒壁における 分子雲分布。

分子雲のワープ 

 図8には図7と同じ方式で分子雲の分布をプロットした。実線=図7の HI 分布の中間値曲線。一点鎖線=HI の半ピーク値。実枠線=選択基準 による銀緯限界。

 注目すべき IRAS 天体 

 第2象限の IRAS 20505+4940 z = 789 pc と第3象限の IRAS07534-3618 z = -956 は特異な位置の天体として注目すべきである。

 ワープの傾き角 

 ワープの傾き角は R と共に増加する。ノード位置は殆ど動かない。

 フレアリング 

 HI 層の厚みはワープ開始の R = 11 kpc で 160 pc (HWHM) から増加し 始め、検出限界付近では 1 kpc 程度までになる。図8でも埋もれた IRAS 天体 の厚みは R = 20 kpc まで増加していく。



図9.HI と CO 分子雲集団の厚み変化。どちらもピーク密度の HWHM を採った。Ro = 8.5 kpc である。



 H2 と HI の厚みの差 

 図9にはHI と CO 分子雲集団の厚み変化を示す。どちらもピーク密度の HWHM を採った。R = Ro では HI の半ピーク値間の距離(FWHM)厚みは 400 pc である。IRAS 天体を含む分子雲の厚みはこの付近でその約半分である。 この結果は Lockman 1984 の求めた principal HI component の太陽近傍 での厚み、Sanders et al 1984 の、特にIRAS点源と関係なく、分子雲の R = Ro での厚みの結果と合致する。それに関連して、Deul 1988 は太陽近傍 でのダスト層の厚みは HI 層と一致し、分子層の2倍であることを見出した。

図10.HI 分布中央面での HI 密度と、分子雲密度のピーク値の変化。 スケール長は HI で 2.5 kpc, MC が 1.8 kpc.



外部銀河系での厚み変化 

  R = 10 kpc までは HI, H2 の厚み変化は小さい。しかし、 ワープが始まると共に厚みも増加していく。R = 17 kpc では、どちらの厚み も R = 10 koc での約 2 倍になる。厚みの相対値は1に近づき、 R = 15 kpc では HI の FWHM = 600 pc, H2 の FWHM = 510 pc である。 図9では、 R > 20 kpc では HI 層はフレアとなる。
 図9には比較のため、 R ≤ Ro = 8.5 kpc での厚みもプロットした。 ワープとフレアは太陽円から 1 - 2 kpc 先から始まることが分かる。

 密度変化 

 ワープ中央での密度変化を図10に示す。表面密度低下と厚み増加 の効果で、密度変化のスケール長は表面密度より短い。CO/IRAS 天体 では 1.8 kpc, HI で 2.5 kpc である。n(HI)/n(H2) は 8.5 kpc で 2.5, 19 kpc で 80 である。

 5.結論 

 IRAS 天体が埋もれている分子雲の CO 観測を行い、 1077/1302 天体で CO を検出した。解析の結果、 1.最遠の分子雲 
 最高で v(CO) = 110 km/s の例があった。これは D = 15 kpc, または R = 20 kpc に相当する。それより遠くの検出がないのは感度の問題では ない。

2.分子雲の (l, v) 分布
 分子雲の (l, v) 分布は HI と似る。違いは HI が R = 24 kpc まで 辿れること。

3.分子雲の表面密度
 分子雲の表面密度はデコボコを伴うが、第2から第3象限に続く大きな 構造は認められない。

4.ペルセウス腕
 R < 13 kpc、第2象限ではペルセウス腕により IRAS 天体, HI 両方 の表面密度は盛り上がりを示す。 R > 13 kpc での IRAS 天体の表面密度は第2、第3象限でほぼ等しい。

5.HI/H2
 IRAS 天体の表面密度を H2 表面密度に変換する。 HI/H2 比は R = Ro の 5 から R = 19 - 20 kpc の 150 まで増加する。

6.スケール長
 IRAS 天体の存在は HI より近くで終わる。R %gt; 13 kpc での IRAS 天体表面密度のスケール長は 1.5 kpc, 可視 HIIR は 1.9 kpc に対し、 HI は 4.0 kpc.

7.ワープ
 分子雲は HI と同じワープを示す。

8.フレアリング
 R > 10 kpc では HI と CO の厚みは同じ割合で増加する。

9.層中心密度
 分布中心層での個数密度のスケール長は HI R >l 13 kpc で 2.5 kpc, 雲で 1.8 kpc.

10.H2 雲の総質量は R > 8.5 kpc で 5.8 108 Mo, HI は 5.3 109 Mo である。

表1.HI と H2 表面密度と空間密度の変化。


  

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 



図.

  

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 



図.

  

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 



図.

  

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 



図.

  

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 



図.

  

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 



図.


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