MACHO Observations of LMC Red Giants: Mira and Semi-Regular Pulsators and Contact and Semi-Contact Binaries


Wood + 22
1999 IAU Symp 191 "Asymptotic Giant Branch Stars", 151 - 158




 アブストラクト 

 MACHO データベースを使い、LMC バー 0.5°x0.5° 領域内の Mbol -2 等より明るい赤色巨星全ての変光曲線を調べた。全ての星で周期、しばしば 多重、を求めた。はっきりした周期 - 光度系列が M ≤ 2.5 Mo の低質量星 巨星領域で、5本見つかった。周期、光度、周期比を理論モデルと比較した結果、 ミラは基本振動脈動星で、一方、セミレギュラーは第1,2,3倍音、星によ っては基本モードの、振動星であることが明らかになった。ミラとセミレギュ ラーは全て5本の系列の内の3本上に乗る。これ等の星は全て AGB 星である。  第4系列は第1巨星枝(FGB) 上の赤色巨星とコアヘリウム燃焼ループの赤い 端にある中間質量星 (M > 2.5 Mo)を含む。これ等の星は接触型連星である と強く示唆され、 FGB 先端から 1 等以内の星の 0.5 % を占める。第5系列 の変光曲線は半接触型連星でロシュローブ放出流または星風により主星から 不可視の伴星へと質量移送中である。それらは AGB 星の 25 % を占める。 これ等の赤色巨星接触連星または半接触型連星の存在が確認されたら、現在の 連星系進化モデルは大幅な変更を余儀なくされるだろう。


 1.イントロダクション 

 MACHO 計画は LMC 星に対し、2200 日以上の変光データを集積している。 これは全ての赤色長周期変光星(LPVs) の周期を定めるには十分の長さである。  そのうえ、この長さは第2周期を探すのにも向いている。この論文では、 LMC バーの J2000 5h28m14.8s, -69°45'42" を中心とする 0.5° x 0.5° 小領域内にある全ての赤色変光星全ての変光曲線を調べる。


 2.データ較正と周期決定 

 MACHO データは非標準レッド(RM) とブルー(BM) の 変光曲線から成る。(RM, BM-RM) 面上で で主系列星より赤く、 FGB 先端 (Mbol = -2 mag) の 1 mag 上より明るい変 光星を探した。各変光星に対し、 P = [20, 1200] d 内の周期を最大3個まで 決めた。  合計 1431 赤色変光星が検出された。398 星には固有周期が見つからなかった。 608 星には1周期、379 星に 2 周期、46 星に 3 周期が定まった。加えて、セ ファイドが 107 星、22 個の青色変光星が見つかった。サイディング・スプリ ング天文台 (SSO) の 1m 望遠鏡からの測光を用い、BM と RM を V, Ic へ変換した。J, K 画像を SSO 2.3 m 望遠鏡で撮った。


 3.結果 

 図1=赤色変光星の周期・光度関係 

 図1には赤色変光星の周期・光度関係を示す。複数の周期を持つ星はそれら 全てを示す。光度指数として、IW = Io - 1.38(V-I)o を用いた。 これはほぼ赤化フリーであり、かつ、LPV モデルの P-L-カラー関係は、ある モードで振動する星は質量に関係なく同じ IW - log P 関係に従う からである。(J-K)o > 1.4 の星は炭素星と見なし、黒丸で示す。FGB 先端 と熱パルス AGB (TPAGB) の最低光度を図の右に示した。

 各系列の解説 

 図1上で系列 A, B, C, D は TPAGB 最低値よりも上にある。系列 E は変光 探査の最小値 Iw = 14.25 まで伸びている。FGB 先端より上にある AGB 星の 80 % 以上が変光星である。TPAGB 最低値よりも上でFGB 先端より下の光度区間の 変光星光度関数は FGB 先端より上の光度関数の暗い方への延長のように見える。 これはこれらが FGB でなく AGB 星であることを示唆している。Alves et al 1998 も同様の結論に達していた。炭素星は観測される光度領域の明るい方の端にあって、 主に系列 B と C 上にある。

 ミラとセミレギュラーの分離 

 Feast et al 1989 や Hughs, Wood 1990 はミラ型星が明確な K-logP 系列 を成すとした。ミラは系列 C に乗っている。しかし、C上の星が皆ミラではない。 Bedding, Zijlstra (1998) は太陽近傍のセミレギュラーの大部分が系列Bにあるが、一部が系列Cに乗って いることを示した。

図1.赤色変光星の周期・光度関係。⟨I⟩, ⟨V⟩ は平均値。  





図2.変光曲線の例。枠内に系列名 A - E を示す。各周期上で上の図ほど、 光度と周期は高い。左列の時間スケールは短いことに注意せよ。

 多周期性 

 5系列の変光曲線の例を図2に示す。多くの曲線はセミレギュラーで多重周 期性である。2または3の周期を有する星に対して、図3には 長周期/短周期の比と長周期との関係を示した。 

 周期比 5 -13 グループ 

 図3を見ると、周期比が 5 - 13 の星のグループが存在することが判る。 これ等の星の長周期は系列 D に、短周期は系列 B に属する。Houck 1963 は 同様の周期比を持つ太陽近傍セミレギュラー星をリストにしている。

 周期比 1 - 4 グループ 

 図3にはもう一つ周期比が 1 - 4 のグループがある。これ等の星の周期は系列 A, B, C に属する。これらの星は次節で議論する。



図3.長周期/短周期の比と長周期との関係。  


 4.脈動変光星 

 P−L関係 

  Wood, Sebo (1999) は LMC P-L 関係を基本振動で再現した。ここでは周期比に更なる整約を加える。 図4には Wood,Sebo 1996 のプログラムを用いたモデルの結果を示す。 基本振動モデルが正確に観測される P-L 関係を再現していることは明らかである。

 周期比 

 周期比の図(中段) で黒丸は長周期が系列Cにあるサンプルであることに注意 せよ。比が 2.5 より大きい黒丸は P0/P2, P0/P3 で説明でき、比が 1.7 - 2.5 の黒点は P0/P1 で説明される。

 セミレギュラー 

 セミレギュラーは一般に第1,2、3倍音モードであるが、幾つかは 低振幅基本振動をしているらしい。

 周期と質量 

 AGB モデルと P-L 関係を同時に合わせるには、短周期ミラは長周期ミラ より質量が小さいとする必要がある。これは銀河系ミラの運動学とも合致 する結果である。

 第1倍音モデル 

 ミラ半径の直接測定の結果に合うとして第1倍音説が提唱されている。 しかし、P-L 関係に合う第1倍音モデルは低温過ぎて、観測される巨星枝 に乗らない。それより重要なことは、系列の周期比( ≥1.7) を説明する のに P1/P2 や P1/P3 では 間に合わない。

図4.上:光度指数 Iw と周期比を log P に対してプロット。実線=不安定 な脈動モード P0, P1, P2, P3 を示す。破線=安定な脈動モード。周期比ではどちらのモードも不安定な場合 にのみプロットした。点線= AGB 星がセミデタッチト連星にある時に期待され る公転周期。
下: Io - (V-I)o 図上のモデル AGB. 各光度に対応する質量を示す。十字= 接触連星的な変光曲線的な星。
 


 5.接触連星と半接触連星 は興味が湧かないので略す