4 赤外星から OH ラインが検出された。赤外星 NML Cygni からの 1612 MHz 放射は今まで検出された中で最強である。 | 赤外超過を示す他の 16 星からは OH の検出がされなかった。 |
赤外線星の発見 1965 年、 Neugebauer, Martz, Leighton (1966) は放射の殆どが赤外線の超低温星を CIT 2 ミクロンサーベイの過程で発見した と報告した。翌年、 Ulrich, Neugebauer, McCammon, Leighton, Hughes, Becklin (1965) は 極端に赤い星の追加リストを発表した。 |
赤外線星からの OH ライン 最近、 Raimond, Eliasson (1967) は Becklin, Neugebauer (1967) がオリオン星雲中に発見した赤外天体の近くから OH 線を検出した。 これらのことから、所謂「赤外線星」で OH ラインを検出できる可能性が示唆 される。この論文では NML Cyg からの強い非熱的 OH 放射およびそれよりは 弱い他の天体からの OH ラインの観測を報告する。 |
![]() 図1.NML Cyg の 1612 MHz スペクトル。 望遠鏡 観測は最初、 リンカーン研究所ヘイスタック 36 m 望遠鏡で 1968 年5月に、 続いて NRAO 43 m 望遠鏡で 1968 年 7 月に行われた。整約はまだ完全ではな いが、結果の重要性から発表する。 OH 検出 OH ラインは、 検出: NML Cyg, CIT-3, CIT-7, NML Tau 非検出: TX Cam, R Mon, T Tau, RY Tau, CIT-1,-2,-4,-6,-8,-14 である。 |
![]() 図2.NML Cyg の 1665 MHz スペクトル。実線=左回り偏光。点線=右回り 偏光。 NML Cyg NML Cyg は 2.4 μm フラックスが強く、他の赤外天体と異なるスペクトル を持ち、かつ H2O 吸収を欠き、 Te = 700 K という特異な性質の 天体である。この天体はパロマ― 200 インチを使っても可視観測が出来ない。 この天体は電波 OH ラインでも特異で、 1612 MHz は非常に強く、NRAO での アンテナ温度は 190 K であるが、1665 MHz では 6.5 K, 1667 MHz で 0.8 K, 1720 MHz では検出限界の 0.5 K 以下である。さらに、 1612 MHz での偏光は 10 % 以下で小さいのに、 1665 MHz では左巻き円偏光が支配的である。 では |
![]() 表1a.OH 観測結果。 Ta = アンテナ温度。RC = 右円偏光。LC = 左円偏光。 NML Tau, CIT-3, CIT-7 の OH 表1には NML Tau, CIT-3, CIT-7 の観測結果も示す。CIT-3 の 1612 MHz は マップ観測が行われ、NML Cyg と同様に点源からの放射のようである。 1720 MHz の検出はどれにもなかった。 過去の OH 検出天体 これまで、強い非熱的 OH ラインは HIIR から検出されてきた。それらから は同時に非熱的連続電波も検出された。Comella (1967) は NML Cyg, NML Tau, R Mon, T Tau, RY Tau からの連続電波の検出を 195, 430, 611 MHz で試み、 失敗に終わった。 NML Cyg の半径 Johnson, Low, Strnmetz 1965 は NML Cyg のスペクトルフィットから Te = 700 K を得た。 NML を黒体と仮定すると、その視直径= 0.2 arcsec となる。 これは星の値としては極めて大きい。また、アンテナ温度 190 K の放射は直径 0.2 arcsec の黒体円盤に直すと 5 109 K となり、OH ラインが 非熱的である根拠となる。 |
![]() 表1b.OH 観測結果。 Ta = アンテナ温度。RC = 右円偏光。LC = 左円偏光。 ダブルピーク 図1から明らかなように NML Cyg の OH スペクトルは ± 20 km/s に二つの強いピークを持つ。 CIT-3 でも -9.5, +27 km/s に、NML Tau では +17, +51 km/s に二つのピークを示す。これは ガス雲が回転、膨張、収縮のどれかをしていることを示す。しかし、 より多くの赤外星で OH データが集積しないといけない。 VLBIの重要性 NML Cyg のように強い電波源では VLBI 観測で分解画像をとることが 望ましい。 |