NIR Photometry of Carbon Stars


Whitelock, Feast, Marang, Groenewegen
2006 MN 369, 751 - 782




 アブストラクト 

 銀河系 239 炭素星の JHKL 測光を行った。それらをミラ型星と非ミラ型星に 分け、変光の振幅、周期(ミラ型では 222 - 849 d) を求めた。カラー・周期 関係は LMC とほとんど変わらない。平均 JHKL 等級+IRAS+MSX から見かけ 輻射等級を決めた。周期光度関係から決めた光度と合わせて距離を決めた。  BCK を求め、他のカラーからの BC を定める処方を導いた。 マスロス率を求め、文献値と比較した。炭素星ミラの 1/3 と比率不明の 非ミラ炭素星に R CrB 星に似た不定期な減光事象が発生する。原因は不明。


 1.イントロダクション 

 近傍炭素星3部作の第1論文で、南天変光炭素星の近赤外測光の結果 を調べる。 北天の炭素星は第2論文 Menzies et al. (2006) 両天の炭素星の運動を第3論文 Feast et al. (2006) で扱う。


 2.天体選択 

 サンプル星は (1) Aaronson et al 1989 カタログと (2) IRAS PSC から 選ばれ、数年間モニタリング観測が続けられた。 Aaronson サンプルは (H-K)o > 0.8 または K 変光から C-ミラ候補 として選ばれた。それらは表1の第10列で "A" とされている。  IRAS サンプルは、 LRS=4n, F25/F12 > 0.4, F12 > 40 Jy という 基準で 選ばれた。これらの基準は完全ではない。しかし目的は C-ミラの可能性が 高い星を集めることなので構わない。IRAS サンプルは第10列に "I" と 記されている。


 表1.観測星 







 表2.SAAO モニター観測の例:R Scl 





 3.赤外測光 

 SAAO でのJHK精度は 0.03 mag, L で 0.05 mag である。

 3.1.IRAS と MSX 測光 


図1.MSX (A-C) -C 色等級図


図2.IRAS - NIR 二色図


図3.MSX - NIR 二色図。



 表3.近赤外データ 






 4.脈動の性質 

 4.1.周期 


図4.PK ここで決めた周期。Plit 他の文献周期。

 4.2.変光クラス 

 ミラ型星 

 GCVS とは別途赤外変光曲線から変光クラスを定義した。それは
1n: K 振幅 0.4 mag 以上。ミラ型と呼ぶ。
2n; K 振幅 0.4 mag 以下。非ミラ型と呼ぶ。

 サンプル中 1n は 165 天体、2n は 74 天体。n の意味は表4に示す。

 4.3.平均等級と振幅 



  

 

  

 

表4.変光クラス 1n または 2n の n の意味。


図5.カラー K-[12] と振幅 ΔK の関係。






 5.ミラ PLR 

  

 

  

 

  

 

図6.LMC 炭素星の PLR.  


 6.近赤外カラー 


図7.白丸=非ミラ。バツ=ミラ、の(J-H) - (H-K) 二色図。 星間赤化補正ナシ。


図9.白丸=非ミラ。バツ=ミラ、の(H-K) - (K-L) 二色図。 星間赤化補正ナシ。

図8.黒丸=LMC。バツ=銀河系ミラ、の(J-H)o - (H-K)o 二色図。 星間赤化補正アリ。


図10.黒丸=LMC。バツ=ミラ、の(H-K)o - (K-L)o 二色図。 星間赤化補正アリ。






  


図11.P-(H-K) 関係。バツ=銀河系ミラ。黒丸=LMCミラ。  


図13.P-(Ko-[12]) 関係。バツ=銀河系ミラ。黒丸=LMCミラ。

図12.P-(K-L) 関係。バツ=銀河系ミラ。黒丸=LMCミラ。  


図14.IRAS サンプルの P-(Ko-[12]) 関係。バツ=銀河系ミラ。黒丸=LMC。


 7.見かけ輻射等級 




表5.輻射補正式(10)の係数

 8.輻射補正 

輻射補正を以下の式でフィットし、係数を表5に示す。

図15.上:BCK - (J-K)o 関係。 下:BCK - Ko-[12] 関係。


 9.星間赤化と距離 

 表6.周期のあるミラの性質 







 10.マスロス率 

 Jura 1987 は以下のマスロス式を与えた。



その結果を表6に与えた。我々が代入した値は
v15 = 19/15
λ10 = ⟨λ⟩/10 = 0.23 - 1.42

図16をカラーでフィットすると、以下の式が得られる。




図16.マスロス率とカラー K-[12] の関係。  





図.

 11.等級の長期変化、 


図17.EV Eri K 光度曲線。 JD 2450700 付近の減光に注意。


図18.R Lep. 上:K 光度曲線。下:438日周期を差し引いた残り。

 噴出減光の例: R For と II Lup 

 R For(Whitelock97) と II Lup(Feast03) は一時的な急減光をしめした。 これはダスト/ガスの噴出が起きたためと解釈された。類似現象は北天の炭素星 (Alksnis03) にも見られる。これは H-欠乏の R CrB 型星で見られる急減光 と似ている。

 噴出減光の頻度 

 25 回以上の観測がある 18 ミラ中 5 星で噴出減光があった。しかし、観測 期間や頻度が増えればこの割合はさらに高くなるだろう。図8−13を見ると、 噴出ミラの性質と非噴出ミラとの間に差が認められない。全てのミラが噴出 事象を起こす可能性がある。

 EV Eri (SR 92) 

 Whitelock97 は周期 228 日を与えた。その後この星は R For, R Lep と似た 減光を引き起こした。この星の IRAS-NIR カラー K-[12]=2.14, [12]-[25]=1.02 は他の非ミラ型炭素星と離れた値である。

図19.IRAS 09164-5349, 10136-5743, 16406-5743 の K-変光曲線。 #印は 2MASS.

 R Lep (M 154) 

 図18にこの星の光度曲線を示す。JD 2443700 付近に急減光が見える。

 R Vol (M 88) 

 R Vol も Whitelock97 で議論されている。その後次第に明るくなってきてる。

 IRAS 09164-5349 (SR 14) 

 図19に光度曲線を示す。約 1000 d の非常に小さい振幅の変光期間の後、 800 かけて K で 2 mag 暗くなった。図19に変光曲線を示す。
(このパラグラフ後半は 09176-5147 の話。 本当にこの星なのか? )