HST Imageing of IRAS 17441-2411: A Case Study of a Bipolar Nebula with a Circumstellar Disk


Su, Volk, Kwok, Hrivnak
1998 ApJ 508, 744 - 751




 アブストラクト 

 双極型 PPN IRAS 17441-2411 (Silkworm Nebula) を HST で観測した。2 次元輻射輸送モデルで SED と V-画像をフィットした結果、星周風と星周「円盤」 の性質が導かれた。  同じような双極構造を持っていても、天球面との傾きで単なる星に見える場 合があるので、双極構造は観測されているより実際には多いのではないか?


 2.PPN としての IRAS 17441-2411 

 これまでの研究 

 IRAS 17441-2411 は Kwok et al. (1996) により PPN と同定された。彼らは V, I 地上撮像から V-I カラー画像を作り、 二つの双極型突起の中央に強い赤化を受けた円盤を発見した。 Weintraub et al 1998 は水素分子輝線を検出し、それが双極星雲の腰部から 出ているとした。Bobrowski, Meixner, Skinner 1998 は B バンド撮像を行い、 二つの突起は点対称で、曲がっているとした。
 C-リッチ? 

 LRS はバンドが見えない。非晶質炭素ではないか。星周 CO 電波 (Hu94)は 15 km/s の膨張速度を示す。
(この CO は円盤に付随?円盤の膨張? )


 3.観測 

 F606W/WFPC2/HST により IRAS 17441-2411 の撮像を行った。  PSF の FWHM = 0".07 である。





図1.IRAS 17441-2411 の F606W/WFPC2/HST 画像。露出 480 s. maximum entropy method により逆畳み込みを行った。




図2.8x8 ピクセルの平均値から作った等高線マップ。最高=15.45 mag arcsec -2、最低 = 21.27 mag arcsec-2.

 4.結果 

 S-字型構造 

 図1は 800x800 ピクセル画像の中央 140x140 画像を示す。突起が幾つかの 泡に分解して見える。特に面白いのは、南突起の二つの泡が足の裏のような形 に繋がっていることである。さらに北側の明るい部分のみも繋げると全体とし て S の字型の点対称な構造が辿れる。

 フラックス 

 北突起最高点の 2 % 水準で二つの突起の大きさを測ると、どちらも 1".90 x 1".64 と同じである。北突起の明るさは m(606) = 17.75 mag, 南は 16.41 mag である。全体のフラックスを 1 % 水準 6".4 x 5".2 で測ると、混入星を除いて、 m(606) = 15.14 mag である。

 ハロー 

 突起の外側に広がる淡い領域が図2に示されている。この「ハロー」の大きさ は 7".8 x4".1 である。
 弧 

 図2には突起の先に、二つの丸い弧がはっきり見え、その先にももう二つある ようだ。この中心位置は α2000 = 17h47m13.49s, δ 2000 = -24°12'51".0 で、おそらくそこに中心星が存在する。 類似の弧は IRAS 17150-3224 では少なくとも7本見え、 AFGL 2688 ではもっと 多い。これは単に IRAS 17441-2411 が暗いためであろう。 Kwok et al. (1998) が撮った IRAS 17150-3224 の短時間 = 40 s 露出画像の方には弧が二本しか見 えなかったことからもそれは頷ける。

 弧間隔 

 二つの弧の間隔は 0".6 である。これは 0.003(D/kpc) pc に相当する。それを 時間に直すと 190 (D/kpc)/(V/15 km/s) yr である。


 5.モデル 


表1.モデルパラメター

 円盤 

 円盤=半径と角度のある範囲内で密度超過が起きている 物理的には、赤道面に集中する一定期間の強いマスロスの結果できたと考える。
(1 km/s x1 年 = μ pc だから、 表1パラメターを使用して 15 km/s で 400 年経つと、6 mpc. 円盤の rout = 0.008 pc としているから rin = 0.002 pc らしい。書いてないけど。つまり 円盤内径は広がった星周層内径 0.00268 pc と同じあたりらしい。この円盤は 動径方向に広がる円盤である。 どこかで消えかかっている円盤があるはず? )


 星周外層 

 星周外層は軸対称でかつ赤道面に対し面対称と仮定する。  極は θ = 0、180, 赤道は θ = 90 とする。 動径方向には r-2 の密度分布とする。 一般の θ 方向の密度は極方向と赤道方向との二つの内挿で与える。

  τ(θ) = τ(0) + [τ(90)-τ(0)](θ/90)N

表2.フィットの結果


図3.IRAS 17441-2411 SED フィット。

 モデルのパラメター 

 使用したモデルのパラメターを表1に示す。ここに、τ1 = 0.005 = 極方向の 11.2 μm 光学的深さ。τ2 = 0.05 = 円盤方向の 11.2 μm 光学的深さ。 rin = 0.00268(D/1kpc) pc = 552(D/1kpc) au = ダスト層の内半径。 rout = 0.26(D/1kpc) pc = ダスト層の内半径。 極、赤道方向は 1-D 輻射輸送計算で決める。 一般の θ は以下の式でその二つの内挿とする。

  T(θ) = T(0) + [T(90)-T(0)](θ/90)N

  τ(θ) = τ(0) + [τ(90)-τ(0)](θ/90)N

モデルの詳細は Su et al. (2000) を見よ。


 図4.表1、2パラメターを用いた IRAS 17441-2411 モデル V-画像。 



 5.1.フィッティング 

IR-SED

 rin は IR-SED ピークを合わせるために決まる。次に SED を合わせる要請から τ と N が決まる。IR では光学的に薄いと考えているので SED は傾き角 i は関係ない。

 散乱光分布 

 次に星周外層からの散乱光分布を計算する。中心星は 6000 K 黒体を仮定する。  i = 86 がベストであった。
(密度は赤道方向に高い、平坦な分布が 仮定されている。星の光が隠されない θ = [0, 85] では散乱光は密度分布 をなぞり、突起状でなくメサ状になるはずではないか?おかしい。 )

 5.2.円盤 

 IRAS 17441-2411 の二つの突起はダストレーンによってはっきりと分離して いる。星周層に仮定した "pure wind" モデルだけではそのように薄いダスト 層を作り出すことは無理なので、円盤またはリングを星風に加える。 物理的には、赤道に沿った方向に限定された一定期間のマスロスの増強である。 図4にそのようなモデルの画像を示す。
(この書き方だと、どうも円盤からの 赤外放射は SED フィットで考慮していない? )

 5.3.最終パラメター 

 表2に観測とモデルの比較が載っている。 星周層の総質量は 2.9(D/2kpc) Mo でうち 0.13(D/2kpc) Mo が円盤である。


 図5.異なる i から見たと仮定した時の IRAS 17441-2411 の V-画像。 



 6.モデルと観測の比較、7.議論 

  内半径 

 今回のモデルでは円盤と星周外層の内径は等しく取った。しかし、実際には円盤 内径はより小さいだろう。

 光度 

 観測された全フラックスを星の光度とするのが普通だが、Cohen, Kuhi 1977 は 軸対称系の場合、それは正しくないことを指摘した。しかし、それを正しく扱う 方法はまだ開発されていない。
 双極流の割合 

 円盤のあるPPN が双極星雲に見える確率は 10 % 程度であろう。したがって AFGL 2688(Egg Nebula), IRAS 17150-3224 (Cotton Candy Nebula), Silkworm Nebula が双極星雲として観測されているという事実は数十の PPNs が可視では 通常の星として見え、 SED でのみ PPN tpして同定されることを意味する。


 8.結論