二つの双極型 PPNs のサブ秒分解能 V, I 画像を撮った。どちらも明らかな 双極型形状を示す。V-I カラー画像から星周円盤の存在がはっきりと見える。 | 双極型の突起は、極方向開口部に散乱された星の光であろう。これは双極形 状が PN 進化早期、光電離以前にすら、に発達することを示す。 |
PN 双極構造が星風の力学的作用で生まれたことはモデル計算からほぼ確立した。 次の問題は、その起源が何であるかだ。 軸対称星雲の形成に人気のあるモデルは連星と回転である。しかし、"nurture" か "nature" か、すなわち双極構造はじわじわと星風の発達と共に時間を掛け て成長してきたのか、それとも post-AGB 進化初期に形成されたのかという疑 問が残る。その解答を調べるには、若い PNs を観測する必要がある。もし、 若い PN に既に古い PN と同様の構造が観察されるなら、双極構造は最初から 存在したものである。一方、もし年齢と共に構造の進化が認められるなら、星 風による構造形成が有力な気候となる。 | 確実なテストは PPNs で調べることである。最初に PPN とされた二つの天体、 AFGL 618 と AFGL 2688 は共に双極形状を示した。最近, 冷たい IRAS 天体の 調査から多くの PPN が発見されている。 PPNs は双峰性の SED が特徴的で、 赤外ピークは似たりよったりであるが、可視の明るさは天体毎に大きく変わる。 Hrivnak, Kwok 1991 はその差を星周円盤の傾き角に起因するとした。つまり、 正面向きだと可視で明るく、横向きだと可視で暗く、散乱光による双極性突起 を見せると考えるのである。 我々は CFHT を利用して、約20の PPNs を高分解能カメラで撮影した。そ の二つ、 IRAS 17441-2411 と IRAS 17150-3224 ははっきりした双極構造を しめし、SED は双峰性である。IRAS 17150-3224 の双極星雲は Hu et al 1993a が発見した。 |
2.1.赤外測光UKIRT 観測MIR, NIR 測光は UKIRT で行われた。IRAS 17441-2411 は IRAS位置の精度が 悪いので注意は必要である。 |
2.2.可視撮像と測光CFHT 観測 CCD 撮像は CFHT で行われた。 |
![]() 図4.IRAS 17150-3224 の V-I 画像。 短軸に沿った赤い円盤が分かる。黒は赤いカラーを意味する。 長波長で中間部が明るくなる。 画像を 図1,2に示す。 図3には軸に沿った輪郭を示す。IRAS 17150-3224 の輪郭を見ると、長波長ほど 中間部が盛り上がってくることが分かる。 2.3.近赤外撮像CTIO で行われより広がった画像が得られた。 |
![]() 図4.IRAS 17441-2411 の V-I 画像。 短軸に沿った赤い円盤が分かる。黒は赤いカラーを意味する。 2.4.中間赤外測光IRAS LRS を使用した。 |
![]() 図5.IRAS 17150-3224 のSED. IRAS 17150-3224 IRAS 17150-3224 は赤外カラーに基づき、 van der Veen et al. (1989b)、 Volk, Kwok (1989) により初めて PPN とされた。可視スペクトルから Hu et al 1993 は中心星 を G2I とした。図5に SED を示す。可視ピークが小さいのは中心星が円盤 に深く埋もれているからである。3000 Lo を仮定すると D = 1.3 kpc となる。 (幾何学を考えると、SED の解釈は 慎重に。 ) |
![]() 図6.IRAS 17441-2411 の SED. IRAS 17441-2411 IRAS 17441-2411 は Volk, Kwok (1989) が調べ PPN とした。3000 Lo で D = 1.9 kpc となる。 円盤のカラー 赤いカラーの円盤が検出された。 |
二つの PPN で今回双極星雲が確認されたことは、 AFGL 618, 2688 と合わせると、 双極形状が PNs 進化の早期、電離開始以前に出現することを意味する。 |