The Far-Infrared (IRAS) Excess in Luminous F-G Stars


Pottasch, Parthasarathy
1988 AA 192, 182 - 186




 アブストラクト 

 10の明るい F - G 型星にIRAS 超過が見つかった。それらは星の周りのダ ストからの遠赤外放射光である。遠赤外光分布、遠赤外光度、ダスト質量は進 化した PNs と似る。  HD 187885 と HD 179821 の周りのダスト質量は 10-2 Mo 程度で ある。これら 10 星はおそらく、 AGB-post-AGB 進化段階にあるのであろう。
(可視等級全く無視して知らん顔!)


 1.イントロダクション 

  Parthasarathy, Pottasch (1986) は 高銀緯 F-型超巨星 HD 161796 = F3 Ib とその他の星に IRAS の FIR 超過を見出した。それらのダスト質量は Pottasch 1984 が PNs で見出したものと近い。  これらの星は post-AGB 段階にある低質量星と思われる。 ここでは 10 個の F-G 型超巨星に FIR 超過が見つかったことを報告する。





表1.FIR 超過星の IRAS 観測

 2.IRAS 観測 

 IRAS データ 

 表1に FIR 超過のある 10 星の IRAS フラックスを示す。5/10 には LRS も ついている。それらは、

IRAS 19500-1709 = HD 187885 = F8 I

IRAS 19114+0002 = HD 179821 = G5 Ia

IRAS 22272+5435 = BD+54°2787 = K5 (I)

IRAS 16038-2735 = HD 14432 = F0 IIIe

IRAS 15532-4210 = HD 142527 = F6 IIIe

IRAS 15556-2248 = HD 143006 = G5 (I)e

IRAS 11000-6153 = HD 95767 = F0 Ib (PSC では F8)

IRAS 12222-4652 = HD 108015 = F3 Ib

IRAS 16399-6247 = CPD -62°5428 = F2 (PSC 333 にはなし)

IRAS 17277-3606 = HD 319896 = F8e (PSC に HD なし)

 IRAS 19500-1709 = HD 187885 F8 Ia b=21°

 HD 187885 の LRS (図1a) はのっぺらした連続光しか見えない。 大きな FIR 超過はダスト量の大きさを意味する。この星は HD 161796 より さらに極端なケースである。というのは、IRAS フラックスは同程度なのに、 可視等級が 7.04 の代わりに 9.0 等だからである。ダストは F8 星の可視光 を吸収して FIR で放出している。 FIR フラックス=可視フラックスとして F8 I 星の光度から距離を推定すると 5 - 6 kpc である。

Gaia DR2 では parallax = 0.3992±0.0307 mas.
 IRAS 19114+0002 = HD 179821 G5 Ia 

 表1に見るように F25 と F60 に非常に大きな超過を持つ。 LRS にバンドは見えない。F(9μm) はゼロなのに 20 μm に向けて急増する。 最近の較正では G5 Ia 星は Mv = -8.0 mag であり、それから出る距離は 2.9 kpc である。

Gaia DR2 parallax = 0.1892±0.0205 mas. Vr = 81.78 km/s

 IRAS 22272+5435 = BD+54°2787 K5(I) 

 F25 がピーク。 F12/F25 < 0.3 は多くの PNs で見られるカラーである。 LRS には幅広の吸収帯が見えるが、シリケイトであろう。IR 放射シェルは 前2星より高温のようである。IR の方が可視より強いのは吸収が強いことを示唆する。 その K5(I) をそのまま信じると 3 kpc となる。

Gaia DR2 parallax = 0.6859±0.0282 mas. Vr = -41.13 km/s

 IRAS 16038-2735 = HD 144432 F0 

 F0 の輝線星で、Henize 1976 カタログでゃHe 3-1141 である。uvby 測光か ら F0 III とされる。 F12/F24 = 0.81 はシリケイト放射帯が予想される。

Gaia DR2 parallax = 6.4580±0.0246 mas.

 IRAS 15532-4210 = HD 142527 

 輝線星 He 3-1119 で Houk 1976 カタログでは F6 III 星に分類されている。 ubvy 測光とスペクトル型から E(b-v) = 0.2 である。

Gaia DR2 parallax = 6.2790±0.0284 mas. Vr = -0.22 km/s


 IRAS 15556-2248 = HD 143006 

 He 3-1126 だが、Hα が輝線かどうか確かでない。F12/F25 < 0.3 は PNs で よく見られる。HD 143006 と HD 144432 は銀緯がかなり高い。

Gaia DR2 parallax = 5.9759±0.0182 mas. Vr = -3.25 km/s

 IRAS 11000-6153 = HD 95767 F0 Ib

 F12/F25 = 1.41 はシリケイト放射帯を予想させるが、LRS には見当たらない。異常に 強い高まりが 8 - 13 μm で見える。 F100 がリアルなら非常に低温のダストの存在を 予想させる。シラスが近いので怪しい。

Gaia DR2 parallax = 0.2214±0.0151 mas.
 IRAS 12222-4652 = HD 108015 F3 Ib

 変光星とされる。F12/F25 = 0.98 からシリケイト放射帯がよそうされるが、この場合も LRS は幅広の放射が見える。HD 18015 と HD 97567 は 89 Her と類似の天体かも知れない。

Gaia DR2 parallax = 0.1696±0.0304

 IRAS 16399-6247 = CPD -62°5428 

 記述ナシ

 IRAS 17277-3606 = HD 319896 F 

 He 3-1418 は F-型の輝線星である。F12 = F25 でシリケイト放射を予想させる。 F60 がピークである。

Gaia DR2 parallax = 0.7429±0.0245 mas.





図1.LRS スペクトル

 3.解析 

 シェルの解析は Parthasarathy, Pottasch (1986) と同じ方法で行った。天体の SED を図2に示す。表2にはそれを積分した赤外 フラックスを表2に示す。ダスト層の温度は SED の形から決めた。温度勾配は 考慮していない。赤外光度も表2に載せた。星方向の星間減光は Neckel, Klare (1980) から採用し、表2に載せた。  Likkel+(1987) は HD 161796 と HD 187885 方向に CO J=1-0 ラインを検出 した。 zuckermanm Dyck 1986 は HD 179821 = AFGL 2343 に CO J=1-0 ライン を検出した。彼らをこの星を銀河面から遠い異常超巨星とした。その CO 速度は 34 km/s という大きさである。これは、超巨星クラスの光度の星が 6 kpc 遠方にあることを示唆する。
(Gaia 視差と良く合っている。)





図2.対象星の SEDs.




表2.ダスト層の光度、温度、質量.

 4.結論 

 HD 187885 と HD 179821 ダスト層の質量は HD 161796 と似る。これらの星の 表2に与えた質量は下限値と見做すべきである。HD 179821 では 4.1 10-2 Mo まで上がる可能性がある。