OH/IR 星からの電波連続波の検出を試みた。二つの星で検出に成功した。 この結果は OH/IR 星と PN との遷移天体の数を 3 に増やした。この二つの 天体は可視同定がないが強い赤外源である。 |
どちらもバルジに属し、中心星は平均より大きく、より低温で半径が大きい。
その一つはこれまで知られた中で最低温度と最大半径を有する。この星は
現在急速に高温化しているらしい。両方の電離ガス質量を求めた。 (観測星リストなし。 ) |
PN からの OH メーザー もし OH/IRs が PNs の前駆天体であるなら、いくつかの PNs に OH が見つ かる可能性がある。実際、 Davis, Seaquist, Purton (1979) Davis et al 1979 は若いPN Vy 2-2 に OH ラインを検出した。 Seaquist, Davis (1983) は VLA によりさらに詳細な構造を研究した。OH の赤ラインが欠けているが、 それは中央に発生した電離ガスが光学的に厚いためと説明された。 OH 天体からの連続電波 OH メーザー源に電波連続波を検出する試みは失敗した。Herman, Baud, Habing 1985 は有名な OH/IRs 12星を VLA 6 cm で観測し、失敗。 Rodriguez et al. 1985 も 7 OH/IRs を VLA 2 cm, 6 cm で観測し失敗した。どちらも、 結論として、OH/IR 星の寿命と比べると、内側が電離を開始し、しかし OH メーザーが生きている時期は非常に短いと述べている。 (中心星のスペクトル型は高温か どうか吟味されていたか? ) |
極めて短い遷移期 Pottasch (1984) の表 VI-3, -4 を見ると超星風の期間は 2000 - 6000 年と分かる。この超星風 期間が OH/IR 星の時期と重なると考えられる。すると、上に述べた遷移期は 数十年ということになる。 二つで成功 Vy 2-2 のような遷移期天体をさらに発見することは明らかに重要である。 以前のサーベイで用いられたよりましな選択条件で既知 OH/Ir 星を 観測し、新たに二つの天体で検出に成功した。その予備的な結果を述べる。 |
![]() 表1.OH PNs の位置 ![]() 表2.OH PNs の IRAS フラックス サンプルの選択 (1)F25/F12 > 3.3 に重み。一部はそれより青い。 (2)OH が単峰型に重み。サンプル中の約半数がこれ。 VLA B配列 観測は VLA B 配列を用い、2 cm 連続波で行われた。若い星雲では 6p が光学的に厚くなり、したがって 2 cm の方が強いからである。 観測には一天体約4分かけた。分解能は 1" である。 rms Noise = 0.2 mJy/beam. フラックス 表3に星雲の 2, 6 cm フラックスを示す。0.9+1.3 の 2 cm フラックスは 非常に怪しい。 Vy 2-2 の値は、 Seaquist, Davis (1983) から採った。 |
![]() 図1.3PNs からの OH ライン |
距離 位置が GC に近く、視線速度が大きいことから、新しく発見された星雲は バルジ天体の可能性が強い。0.9+1.3 の速度は円盤内の円運動としては禁止 速度領域にある。349.2-0.2 は円運動可能速度域だが、GC に非常に近い必要 がある。二天体の距離は 8 kpc となる。Vy 2-2 の距離は不明なままである。 パラメター a 2 cm でも光学的に一部厚い可能性もある。それを調べるためにパラメター a を導入する。 a = 光学的に薄いと仮定した 2cm 外挿フラックス/2cm 観測フラックス ターンオーバー周波数が 40 GHz の場合に a = 2 である。 Vy 2-2 では a = 1.3 である。 |
IRE =赤外超過 電波連続光の観測から Pottasch (1984) の式 VIII-10 と -11 を用いると、つぎの IRE が計算できる。 IRE = 赤外総フラックス/全 Lyα が赤外になった場合のフラックス 表3に示す結果は (1/a) に比例する。349.2-0.2 と Vy 2-2 の IRE は若い PNs の典型値である。0.9+1.3 の IRE は極端に高い。この星雲は前二者よりずっと 若い可能性がある。 密度と質量 密度と電離ガス質量は、一様密度を仮定して、電波フラックスと直径から 求まる。0.9+1.3 は分解されていないので上限しか決まらない。ただ、この 上限値は高すぎる。表3に示す密度と質量は a0.5 に比例する。 得られた値は若い PNs の領域に収まる。 349.2-0.2 は NG 7027 と同じく らいの高密度である。0.9+1.3 はさらに高い密度を示し、より若いらしい。 |
質量 中心星の光度は前節で求めた。Paczynski 1970 のコアマス光度関係を用いて 求めた質量を表4に示す。それらは通常の値 0.5 - 0.6 Mo より高いが異常と いうほどはない。 有効温度 有効温度は Zanstra 法の変形で決める。それは、 電離光子数=連続電波フラックス密度 総光子数=赤外光度 として両者の比を有効温度に換算するのである。温度は距離に関係ないので Vy 2-2 でもこの方法は使える。0.9+1.3 の温度は 18,500 K で電離ギリギリ の低温度である。これは 0.9+1.3 が非常に若いことを示唆する。 |
![]() 表4.励起星の性質 |
2つの OH/IR 星から連続電波放射を検出した。方角と速度から バルジ天体と考えられる。求めた質量は平均値より高い。 | 0.9+1.3 の強い IRE はこの星が低温であることを示唆する。恐らく非常に 若いのであろう。IRE の大きな PN で OH を探すと良い。 |