The Overdensity in Virgo, Sagittarius Debris, and the Asymmetric Spheroid


Newberg et al
2007 AA 448,




 アブストラクト

 SDSS と SEGUE からの F ターンオフ星と青色水平枝星の撮像、分光観測を 行い、おとめ座方向で以前に銀河系ハローの中に認められた幾つかの構造の間の 関係を調べた。サジタリウス星流の先行腕は太陽近傍は通らないことが判った。そ れが銀河面を横切るのは太陽円外側で、太陽から 15 kpc も離れている。また それはおとめ座中の密度超過 S297+63-20.5 とも空間的に重ならない。 S297+63-20.5 ははっきり異なるターンオフカラーと運動性質を有している。 S297+63-20.5 中の暗い(g∼20.3) ターンオフ星は銀河慣性中心視線速度 Vgsr = 130±10 km/sで、サジタリウス腕が持つ負の視線速度 とは符号が反対である。  もっと明るい g∼19.8 ターンオフ F 型星の分布は銀河中心に関して 対称でない。この矛盾は S297+63-20.5 運動群が原因ではない。 楕円体が銀河中心に関して対称ではないか、副構造がハローにあって、 S297+63-20.5 と同じ側に存在するかである。おとめ座には以前から おとめ座星流(Virgo Stellar Stream=VSS)とおとめ座密度超過 (VOD) の二つの副構造が知られているが、S297+63-20.5 も関係するのかも 知れない。しかし、視線速度の差が問題である。



図1.サジタリウス矮小銀河軌道面から 15 kpc 以内の青色水平枝星の空間分布。 潮汐先行流が銀河面の 40 kpc 上から太陽位置, XSgr,GC = -8.5 kpc, に落下することに注意せよ。 太陽近傍で密度超過は予想外に広がって見 える。追行流の一部は (XSgr,GC, YSgr,GC) = (-80kpc, -40kpc) に見える。銀河面は YSgr,GC = 0 である。サジタリウス 矮小銀河軌道面は Majewski et al 2003 に従い、銀河系中心座標 X, Y, Z での変換式は Newberg et al 2003 による。
 青色水平枝星の選択は -0.3 < (g-r)o < 0.0, 0.8 < (u-g)o < 1.5 で行った。赤化補正は、 Schlegel et al. 1998 による。さらに、高表面重力のブルーストラグラーを Yanny et al. 2000 図10のカラー選択で排除した。水平枝星は全て Mg = 0.7 と 仮定した。また、球状星団 M53, NGC5053, NGC4147, NGC5466 付近の星は 除いた。





図2.距離よりも等級で見た方がハローの構造がはっきりする。横軸角度 Λo はサジタリウス矮小銀河方向から測った Majewski et al 2003 の 面内で測った。これが (Λo, Bo) システムである。
(左)青色水平枝星、(右)ブルーストラグラーのサジタリウス矮小銀河軌道面 から 15 kpc 以内の分布。A 型星は Yanny et al 2000 図10に従って青色 水平枝星とブルーストラグラーに分けられた。先行腕は青色水平枝星(左) (Λo, go) = (290°, 19.0) から始まり、図中央方向に落下していく。 もし、先行腕が太陽位置に北銀極近くから落ちてくるならそれは Λo = 256° であり、図にマークされている。サジタリウス先行腕は(右)2等暗い ブルーストラグラーの方にもはっきり見える。ブルーストラグラーの一部は 青色水平枝サンプルの方にも漏れ出している。追尾腕は左図(Λo, go) = (185°, 20.3) から始まり、図中央方向に落ちていく。この追尾腕上で青色 水平枝星の数は Λo = 195° で急減する。15.5 等より明るい星は SDSS 探査では飽和してしまうので、測光精度が悪い。それで、明るい星が 10 kpc に ある青色水平枝星なのか、4 kpc より近くのブルーストラグラーなのかはっきりし ない。(左)には (Λo, go) = (240°, 16.7) 中心の不明な密度超過 が見える。M53, NGC5053, NGC4147, NGC5466 の周囲 0.2° の青色水平枝星は 棄てている。これが上記密度超過を提言しているが完全に除去はしていない。





図3.サジタリウス軌道面は銀河系 X-Z 面に近い。そこで、図2左の青色水平 枝星サンプルを軌道面のどちら側かで二つに分けると片方のサンプルは l = [180°, 360°], もう片方は l = [0°, 180°] の星が大多数 を占めている。球状星団付近の星は除去されている。 (Λo, go) = (240°, 16.7) のピークは S297;63-20.5 at (l,b)= (297°,63°) の方向にはない。(?)


図4.S297+63-20.5 密度超過の位置とサジタリウス星流の位置。


 2.2.ターンオフF型星 

 ターンオフF型星は青色水平枝星よりずっと多い。従ってそれらは副構造の よいトレーサーである。問題は水平枝星より 3 - 4 等暗く、絶対等級の 広がりが大きいことである。サジタリウス矮小銀河と潮汐星流は特に青い ターンオフを持つ。そのため、それらを他の銀河系種族から区別することが 容易である。この節では、サジタリウス先行星流がターンオフ星に現れるが S297+63-20.5 密度超過は現れないことを示す。

図5.F 型星, 0.2 < (g-r)o < 0.3, (u-g)o > 0.4, の北銀極周りの 20.0 < go < 21.0 星の分布図。図の中心が銀極。外側の円は b = 30 °. 図の半径方向の目盛はピクセル当たりの立体角が等しくなるように打たれ ている。つまり r=ro (1 - sin b) の形?黒みが F 型星の密度を表す。低銀緯で 銀河系中心方向が濃いのは銀河系楕円体成分。(l,b) = (205°, 25°) - (255°, 70°) の濃い帯はサジタリウス先行腕。サジタリウス星流は S297+63-20.5 の銀経付近で go = 21 等より暗くなる。右下縁の角括弧は  S297+63-20.5 密度超過の主要部を示す。
(上)銀極図の上半分(目立った潮汐デブリは含まれていないように見える) を下半分から差し引いた図。仮定は星計数は l= 0° - 180° ラインに 関して対称と言うもの。S297+63-20.5 密度超過のピークは (l, b) = (300, 60) にあるようだ。l = 255° 縁には Belokurov et al 2007 の "Orphan Stream" が見える。
 

図.

図6.(上) 19.0 < go < 20.0 の明るい F 型ターンオフ星。一角獣座 構造が銀河系反中心方向に見える。Dsun = [9kpc, 14.5kpc]
(下) 21.0 < go < 22.0 の暗い F 型ターンオフ星。サジタリウス星流 と S297+63-20.5 密度超過が良く見える。Dsun = [23kpc, 36kpc]
 





図7.F ターンオフ星の等級分布。
(上)細線:(l, b) = (288°, 62°)中心。 1.5°半径(VSS 領域)
   太線:(l, b) = (72°, 62°)中心。 ミラー領域
(下)細線:(l, b) = (300°, 55°)中心 S297+63-20.5 領域。    太線:(l, b) = (60°, 55°)中心 ミラー領域
ずれは 18.5 < go < 22.5 (8kpc < d < 45 kpc) で著しい。

図8.色等級図