アブストラクト高銀緯分子雲の分布と物理特性を表にまとめた。|b| > 25° に 100 以上の天体が認められた。高銀緯分子雲の大部分は半透明雲である。 幾つかの中速度雲を入れない場合の速度分散は 5.8 km/s、入れると 9.9 km/s である。5.5 km/s だとスケール高は 124 pc、平均距離は 150 pc となる。 9.9 km/s だとスケール高は 210 pc、平均距離は 260 pc となる。つまり 高銀緯雲の大部分は近傍天体で局所泡の太陽に近い側の縁に位置しているので あろう。これらの雲は全体としては太陽に最も近い分子雲を構成している。 カタログから導いた空間占有率は 0.005、表面密度は 0.1 - 0.2 Mo pc -2 で、サイズは 0.1 - 10 pc, 質量は 0.1 - 103 Mo である。 銀緯南半球と北半球で分布が非対称なのは太陽位置が中心面から 18 pc ずれているためである。 |
1.イントロBlitz et al 1984 以来高銀緯の分子サーベイが続いた。Dishoeck, Black 1988 の分類 (i) diffuse ≤ 1015 cm-2 光化学過程 (ii) translucent ≥ 1015 cm-2 中間仮定 (iii) dark 衝突過程で組成決定 半透明雲では炭素のほとんどは CO になっているが、減光は検出するには 小さすぎ、POSS では見つからない。 Turner 1994 "cirrus core" = 高銀緯分子雲と Clemens, Barvainis 1988 カタログ中の小さな、光学的に選んだ分子雲とは本質的には差がない。 Clemens, Barvainis 天体中の4つは |b| > 25° であるが、 それらは全て本カタログに含まれている。ただし、両者には大きな差 がある。 Clemens, Barvainis 天体は低質量星形成に関し proficient で あるが、高銀緯分子雲はそうでない。 |
CO G154.7-39.8 (CH 3335 MHz) 以外は全て CO(J=1-0) か CO(J=2-0) で 検出。いくつかは O 型星、B 型星の手前にあり、 CH, CH+, H 2 の吸収線を紫外域に示す。 |
間隙の意味 ガム星雲に付随する (l, b) = (300°, -30°) 付近のグループを 除くと、l = 240° - 360° では雲の数が少ない。これは低銀緯 Canis Major 方向で知られる局所泡トンネル (Paresce 1984, Welsh et al 1994) の高銀緯版であろう。高銀緯雲形成メカニズムが掃き寄せられた HI シェルという 仮説 (Elmegreen 1988) からは、高銀緯雲は局所泡(Local Bubble)の縁を なぞるには最適の天体である。 |
![]() 表3.高銀緯分子雲の性質 |