Exploring Halo Substructure with Giant Stars : A Diffuse Star Cloud or Tidal Debris around the Milky Way in Triangulum-Andromeda

  Rocha-Pinto, Majewski, Strutskie, Crane, Patterson       2004 ApJ 615, 732 - 737

 2MASS から 0.85 < J-K < 1.2 で選んだ M 型巨星が、少なくとも 100° < l < 150°, -20° > b > -40° で一角獣座とアンドロ メダ座を覆う広い範囲で、密度超過を示した。この構造ははっきりした中心の周り に広がっているわけではなく数十 kpc 向こうで薄い雲のように漂っている。




図1.銀河系周辺の恒星超過。(a) 太陽中心の極表示で銀河面上に超過を投影。等高線 レベルは RGC = 30 kpc で(何?) 10, 20, 40, 80, 160, 320 星 kpc-2。超過の大部分は既知の衛星銀河、 LMC, SMC, Sagittarius 及び Newberg et al 2002 が発見した一角獣座システムの延長(GASS=Galactic Anticenter Stellar Structure) に対応する。今回、新しく発見された構造、TriAnd と呼ぶ、は 太陽から 15 - 30 kpc, l = 100 - 170° に見られる。
(b) 赤化の限界をゆるめた(?)TriAnd の拡大図。ペルセウス座方向にも赤化の取り方で出たり消えたりする Per と呼ぶ構造が見られる。


図3.Hess-like diagram で残差 RPDM 星を示す。RPD = Reduced Proper Motion は 通常 H で表わされ、定義は H = m + 5 + 5 log(μ) である。ここで、μ(arcec/yr) = (1/4.74)Vtan(km/s)/d(pc) を絶対等級 M の定義に代入すると、 H = M + 5 log(Vtan) - 3.38 となる。例えば、太陽近傍円盤星の平均 垂直速度として 37 km/s をとれば、 Mv = -4.47 + Hv となる。
二つの領域を取った。一つは TriAnd 領域 (l, b) = ([105°:125°],[-18° :-40°]) で、もう一つはそれと対称な ([-105°:-125°], [18°:40°]) である。この2領域から 11.0 > Ks > 12.5 を選んで HKs = Ks + 5 + log(μ) 対 J - Ks の RPMD (Reduced Proper Motion Diagram) を作った。次にその差を取ったのが図3である。採用等級 Ks = 11 - 12.5 は Rocha-Pinto et al 2003 で Tri-And 構造に 対応する等級だからである。
 縦点線=最初に TriAnd 構造を見出した、図1,2に使われた青い範囲。実線= Ivanov, Borissova 2002 による [Fe/H] = -1 赤色巨星枝。 (HKs, J-Ks) = (6.7, 0.6) 付近の塊りは RC。J-Ks > 0.85 の M-矮星 が混入して来ているようだが、この赤い方まで含めた選択により TriAnd 巨星の数は 大幅に増えた。もう一つ注意すべきは主系列ターンオフ星、J-Ks ≤ 0.4, の 超過が大きいことである。このターンオフ星に対応する Ks = 12.1 で G0 主系列星 の Ks から距離は 500 - 1000 pc と見積もられる。先の赤色矮星は M4 として 150 - 200 pc 程度でどちらも局所性の星である。 2MASS PSR パラメター dist_op から計算された固有運動、Dec > -30° 、パロマーなら 50 年、Dec < -30° ESO なら 20 年で 2MASS 座標との差を割る、


図5.サンプル星のスペクトル。上の二星=矮星, Schiavon et al 1997 の基準による。下の二つの巨星では Na I 二重線は殆ど見えない。

 整約した固有運動図と一部のサンプル星のスペクトルからそれらは矮星を含まない 真の巨星であることが判明した。視線速度の測定はそれらの間に σ < 17 km/s の運動学的に揃った構造を見出した。これは天の川銀河の周りの拡散した 構造を確認するもので、中心核がなく、拡散した構造はそれが新しい種類の衛星銀河 の潮汐ストリームであるという考えを支持する。




図2.天球上に投影した密度超過。 0.85 < J-K < 1.5, Ks < 13.0, 15 < d < 40 kpc. E(B-V) < 0.15 領域のみを使用。等高線は E(B-V) = 0.15, 0.55, 1.20 を示す。E(B-V) に課した限界のため、(l, b) = (163°, -20°) 中心の Per 密度超過はこの図から消えている。


図4.銀河系静止標準系でのプログラム星視線速度の銀経による変化。四角=TriAnd 構造の星。逆三角=Per 構造の星。アステリスク= GASS 星。斜線=銀河回転する 局所矮星の予想帯。点線=同じ速度で RGC = 30 kpc の所を回っている 星の予想線。丸=Na I 線強度から矮星とされた星の視線速度。