グールドベルトの特徴は、系のひらぺったさ、銀河面に対する 20° の 傾き、膨張である。これはその 30 - 40 Myr という年齢と一致させる必要が ある。ここで提案するモデルは傾いた回転と膨張する円盤からなる。モデルは 線形近似で解かれ、観測に合うパラメタ―が決められた。 | その結果、つじつまの合ったパラメタ―が得られた。しかし、非線形のシ ミュレイションで現実的なモデルを作る必要がある。そこには自己重力と 継続的な星形成も含まれる必要がある。 |
グールドベルトの特性 (i) 銀河面に対し 20° の傾き。ノード線はほぼ銀河回転の向き。 (ii) 銀河面からの高さで判断した銀河系動径方向の広がりは中心方向 300 pc, 反中心方向 600 pc である。回転方向の広がりは決定困難である。 (iii) その運動は銀河中心周りの回転運動とは明らかに異なる。特に K 項 が大きいことは系の膨張を示唆する。 (iv) 特徴的な運動を示すのは 30 - 40 Myr の星である。 |
近傍ガス 系にはかなりの量のガスとダストが含まれる。近傍の星間物質とグールドベルト との関係はその空間分布と運動から示唆される。暗いガンマ線天体がグールドベルト に付随しているという観測がある。 Poppel 1997 がレビューを与えている。 |
グールドベルトの傾きと大きさ グールドベルトの傾きと大きさは系をどう同定するかに依存する。 Torra et al 2000 は銀河面に対し 20° 傾き、ノード線が銀経 105/285 方向とした。図1には 30 Myr より若い星の分布を示した。 サンプルは Lindblad 1997 のものである。 運動 Lindblad 1997 はグールドベルトの運動を調べた。 Torra et al 2000 は年齢群別にオールト の定数 A, B, C, K を求めた。 Torra et al 1997 によるその結果 を表1に示す。これらの値を Kerr, Lynden-Bell 1986 が一般銀河系回転に 対して求めた A = 14.4, B = -12.0, C = K = 0 km/s/kpc と比較する。 表1の若い年齢群のオールト定数は上の値と大きく異なる。しかし、90 Myr では正常値に戻る。 |
HI ガス 近傍の HI ガスの運動は Lindblad 1973 により調べられた。Sclober 1976 は天空上の HI 分布を調べ、銀緯方向の 分布が広がってはいるがその平均線はグールドベルトに従っていることを示した。 モデル Lindblad 1973, Grape 1975 は膨張リングモデルを唱えた。それは星の運動データに基づいて いたが、 Olano 1982 はガスの運動モデルを作り、膨張年齢を 30 Myr とした。このモデルではベルト内の HI ガスの総質量は 1.2 106 Mo である。 |
3.1.平面運動の基礎方程式3.2.面と垂直方向の速度勾配3.3.モデルパラメタ― |
![]() 表2.回転膨張円盤のパラメタ― |
微分歳差運動 我々はグールドベルトを若い星から成る、平らな回転膨張系と看做す。 回転と膨張は初期の角運動量と系自身の重力により支配される。回転は 十分に大きく、銀河面垂直方向の重力による微分歳差運動が平らな系を ゆがめないようにしておく必要がある。 |
ワープ Bahcall 1984 による円盤に垂直方向の力を適用して、モデル Nr.1 では ノード線の歳差運動として 12°/Myr を得た。微分歳差は 60°/60 Myr である。この結果系のワープが生じるが検出は困難である。 リングの中心 Olano 1982 はグールドベルトの中心= HI リングの中心までの距離を 166 pc とした。その場合、太陽位置では回転方向速度 4.0 km/s, 膨張速度 3.3 km/s となる。 |