On the Kinematics of a Local Component of the Interstellar Hydrogen Gas Possibly Related to Gould's Belt


Lindblad, Grape, Sandqvist, Schober
1973 AA 24, 309 - 312







図1.l = 24° での b = [1, 23] (b, v) 図。Ta 等高線間隔は 5 K

 アブストラクト 

 HI 観測の太陽近傍成分にシェルまたは雲の膨張を示す特徴が見つかった。膨張 年齢は 70 Myr である。この特徴はグールドベルトに関係する証拠がいくつかある。 この特徴の運動学的特性は渦状腕のショックモデルと関係するのではないか。


 1.イントロダクション 

 微分回転場中の膨張の検出 
 反中心方向の HI データを議論して、 Lindblad 1967 は "feature A" と呼ぶ局所雲に注意した。これは銀経の広がりが大きく、 速度の巾が 2.5 km/s と狭いという特徴を持つ。その視線速度は l = 180 - 210 付近に極大を持ち、(l - v) 関係は微分回転場中の膨張を示唆していた。

 "feature A" の再確認 
 しかし、当時の観測は l, b の広がりが小さいという欠点があった。今回最新 観測を再解析して、"feature A" が非常に広い範囲に及んでいることを確認した。 他の局所雲と区別するには精度の高い高速度分解能観測が必要である。

 2.観測 

データ  
 NRAO 300-foot 望遠鏡の公開、未公開データを用いた。図1がその結果で、 l = 24° における (b, v) 図である。"feature A" が、少し正速度の 局所成分として、全銀緯に渡って存在していることがはっきりと分かる。

  "feature A"  
 Harten 1971 が注意したように、高銀緯 |b| 大では "feature A" の視線速度 は少し小さくなる。しかし、ここでは銀河面に沿った運動に注目する。従って、 Δl = 5° の非連続観測の範囲で b = 0 での視線速度分布を解析する。

構造Aの (l, v) 図 
 図2にはこうして求めた "feature A" の (l, v) 図を示す。l = [240, 340] ではデータが著しく欠けている。また、 l = [60, 80], [190, 210] では "feature A" を他の HI と分離することが特に困難であった。



図2. "feature A" の v - l 関係。×=観測。−=モデル。

 3.モデル 

 膨張リングモデル 

 速度 s0 で銀河面上を等方的に膨張するリングを考える。 周囲の星間物質との作用は考えない。遠回転する銀河面上での運動は Lindblad 1967 で調べられた。図2にはその結果得られたベストフィットを示す。

 リングパラメタ― 

 銀河回転に対し、 Ro = 10 kpc, ω(Ro) = 25 km/s/kpc, A(Ro) = 15 km/s/kpc を仮定すると、ベストペットパラメタ―は、
   膨張時間 t = 60 Myr
   膨張速度 so = 3.6 km/s
   膨張中心の方向 l = 150°
   膨張中心の距離 d = 140 pc
   膨張中心の速度成分 ΔU = -0.8 km/s
             ΔV = -0.5 km/s


 図3の説明 

 図3に銀河面上のリングの形を示す。長半径 326 pc, 短半径= 157 pc である。



図3.膨張モデルの図示。×=太陽。マイナスX軸=銀河中心方向。


 4.グールドベルトとの関係 

 O-, B-星の膨張年齢 

 我々のモデルでは構造Aはグールドベルトの星が占めている領域にある。 Blaauw 1956, 1965, Bonneau 1964 は近傍 O-, B-型星集団の運動特性を 研究し、膨張年齢 = 40 Myr を出した。B5 より早期の星の運動を解析し、 Lesh 1968 は全体が 90 Myr の膨張年齢を持つか、アソシエイションだけ 膨張年齢 45 Myr のサブ集団を成すかのどちらかという結論を得た。
 グールドベルトの若い星と構造Aのガスは同じ空間領域 

 従って、グールドベルトの若い星と構造Aのガスは同じ空間領域を占め、 空間振舞いも同じである。H2CO が暗黒雲に検出され、それらの幾つかが 構造Aに属する暗黒雲であることが分かった。