分子雲のダスト分布を表す新しい方法 他波長測光データを用いてダスト分布を導く。この方法は近赤外色超過を直接測り、星 計数と結びつけて平均減光を導く。これは従来の可視域星計数に基づく手法より 高空間分解でより強い減光の領域に適用可能である。 IC 5146 星団暗黒雲での結果 IC 5146 星団付近の暗黒雲での結果を報告する。この雲に JHK 画像、13CO, C18O, CS 電波観測を行った。 赤外で 4000 以上の星が検出された。10個程度 の星を除いて、ほとんどの星はフィールド星である。 J バンド星計数から星表面数密度と CO, CS 分子線強度の間に強い反相関が見つかった。1300 星の H-K カラーを用いて、 減光を直接測り、 1.5' の分解能で減光マップを作成した。 |
減光強度とその分散の相関から小さい構造を推測 測定された減光強度とその分散の間に相関が見つかった。それをモデル化した結果、より小さな 雲の構造が測定の分散を支配していることが判った。そのような観測を用いて 分解能より小さな構造の性質が分かる。 1.5' より小さな構造は観測と合わない。 電波線強度比は Av に比例する 求めた Av = 0 - 32 の各地点での Av と 13CO, C18O, CS 電波強度はほぼ比例することが判った。しかし、その関係の分散は 観測エラーより大きい。分子の組成、励起が雲の内部で変化しているのかも知れない。 Av < 10 mag では 13CO/C18O 比が地球よりかなり大きい。 また、そこでは組成の分散が非常に大きく、これはそのくらいまでは組成が安定していない ことを示す。 Av がより大きいところでは安定して地上値に一致する。 |
![]() 図2."The Northern Stream" 領域 J ≤ 16mag の 3760 星位置。 ![]() 図3.図2を 1.5' タイルで星計数した結果。タイル中心は 0.75' づつずらして測り、Nyquist サンプリングを行った。 |
![]() 図4.CS マップ。 星計測から減光へ 図3において、最低等高線は 実線部で 2 星/タイル。破線の最低カウントは 12 星/タイル。ともに2星/タイル ステップで線が引いてある。。 星計測から減光への変換は次の式で行える。 AV = [AV/AJ] log(Noff/Non) /bJ ここに、[AV/AJ] は減光則の値、 Noff はフィールドでの星計数で 20/タイルである。bJ は 0.36 程度 が適当であった。可視光から近赤外に星計数を移したことにより測定可能な減光が大幅に深くなった。 |
小区間で E(H-K) 平均値を求める 固有カラー (H-K)o は 0.0 - 0.3 の狭い範囲に収まる。単純に平均を図5(右) のコントロールフィールドの平均値 0.13&olusmn;0.01 としよう。 観測領域を 1.5' x 1.5' 区間に分け、各区間で 〈H-K〉 = [Σ(H-K)i]/N - 0.13 を計算する。 小区間で Av 平均値を計算する。 E(H-K) から Av への変換には、 Rieke, Lebofsky 1985 の減光則から Av = 15.9 E(H-K) を使って求める。 |
![]() 図6. (H-K) 観測から求めた Av 分布。最低等高線は Av = 2 mag. で、線のステップ = 2 mag である。 |
σdisp と Av の関係 図7の関係は次の式で表される。 σdisp = (0.73±0.09) + (0.40±0.01) Av σmean = (0.22±0.05) + (0.22±0.01) Av その上、上の関係の分散自体がやはり Av と共に増加する。 |
![]() 図7.σdisp は各区間での Av 測定の 際の分散。(E(H-K) 決定の分散を 15.9 倍)。平均 Av の不確定さは .σmean = σdisp/sqrt(N) で計算される。 N は小区間内の星の数。 |
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