近赤外観測から 「変光」OH/IR 星は赤色巨星に近いが、 「非変光」OH/IR 星は赤色巨星よりは惑星状星雲に近いのでは ないかという予備的な結果を得た。 | 我々は「変光」OH/IR 星は進化して「非変光」OH/IR 星となると考える。 この転移は非常に短期間で起こる。 |
1.イントロダクションOH 17.7-2.0OH/IR 星は大部分を占める変光型と少数の非変光型とに分かれる。 その最初の例は OH 17.7-2.0 で、 Herman, Isaacman, Sargent, Habing (1984) はサンプル中最も赤いこの星が変光しないことを見出した。 Olnon, Baud, Habing, de Jong, Pottasch (1984) は 他の「非変光」OH/IR 8 星が非常に赤い IRAS カラーを示すことを見つけた。 驚いたことに Le Bertre, Epschtein, Rieu (1984) は図1のように OH 17.7-2.0 スペクトルの短波長側に「肩」が付いていること を発見した。これは、OH 26.6+0.6 のような変光 OH/IR 星の短波長側が指数 関数的に落下して行くのとは対照的である。 近赤外測光 そこで、ここでは他の非変光 OH/IR 星に対して行った近赤外測光の予備的な 結果を報告する。 2.変光 OH/IR 星の性質MERLIN, VLA で得た OH メーザー源のマップは円環状で、その双峰型スペ クトルはそれが膨張していることを示す。放射光のほぼ全ては 5 - 15 μm の赤外域に限定され、図に例として OH 26.5+0.6 のスペクトルを示す。 マスロス評価はかなりばらつくが少なくとも 10-6 Mo/yr である。 星は通常周期 500 - 1000 日の脈動を繰り返す。その光度は数千から二万 Lo である。マスロスの大きさから、星がこの状態にある期間は長くとも 105 年である。 |
![]() 図1.OH 26.5+0.6 と OH 17.7-2.0 のスペクトル |
3.非変光 OH/IR 星の性質非変光 OH/IR 星の OH メーザーの特徴は他の変光メーザー源と変わらない。 近赤外で最初に観測された非変光 OH/IR 星 OH 17.7-2.0 のスペクトルは図1 に見られるように、他の変光 OH/IR 星とかなり異なっている。 エネルギーの大部分はさらに赤い波長帯から出ているが、同時に短波長側に 「肩」が現れた。それからすぐに分かることは、この星の光学的深さは OH 26.5+0.6 よりずっと小さく、中心天体がシェルを通して見えているという ものである。遠赤外のカラーがより赤いのはシェルがさらに遠方に拾っている ことを示す。新しい PN が生まれようとしているのではないか。 |
4.新しい予備観測OH 17.7-2.0 だけがそうなのだろうか? Olnon, Baud, Habing, de Jong, Pottasch (1984) は他の非変光 OH/IR 星が IRAS で同じくらい赤いことを示した。 表1には、最近の UKIRT 観測を示す。4つの非変光 OH/IR 源が全て短波長の 「肩」を示した。2つのケースでは可視光星さえ見えた。 |
新たな景観では、赤色巨星から惑星状星雲への最終遷移は非常に短期で
はっきりしている。星は脈動を停止し、同時にマスロスが急落する。
少なくとも幾つかの例では、 OH 放射は遷移の前に始まり、その後も
しばらく続く。 これまで文献にあった前駆惑星状星雲天体は今回紹介した種類の星を 含んでいない。それらに最も近い 既知 PPN と言えば OH231.8+0.4 であろう。 |
![]() 表1.非変光 OH/IR 星の近赤外予備観測 |