The Inner Galacti Bar Traced by the VVV Survey


Gonzlez, Rejkuba, Minniti, Zoccali, Velenti, Saito
2011 AA 534, L14 - L17




 アブストラクト 

 VVV を用い、b = ±1 でのバーを追いかけた。これは以前に b = 1 で 調べた話の拡張である。6'x6' 区画でレッドクランプ星の J-Ks から赤化を求 める。次に 0.4 deg2 領域毎に赤化補正した光度関数を作り、 平均等級を求める。それらをバー構造を探るトレーサーに用いた。  その結果 Kso(l=-10) = 13.4, Kso(l=10) = 12.4 と分かった。バーの傾きが b = ±4, |l| < 4 では傾くことが分かった。これは他の研究で l > 0 において得られた結果に一致する。バーに内部構造が存在することを 意味する。これは半軸径 500 pc の内部バーなのかも知れない。


 1.イントロダクション 

 内部バー 

 銀河のバーには内部バー、典型的な大きさは 500 pc、を持つものが珍しく ない。Nishiyama et al 2005 は b = 1、l = [-10 10] での RC 星観測から 銀河バーの傾きが |b| < 4 では浅くなることを発見した。かれらはそれ を内部バーの表れと解釈した。Rodriguez-Fernandez, Combes 2008 はこの 内部バーが CMZ = Central Molecular Zone の原因とした。
 内部バー 

 本論文は VVV で b = ±1 l = [-10, 10] でバーの形状を調べる。 RC をバーの距離変化を調べるのに用いる方法は Stanek et al 1997 が 始めである。 Minniti et al. (2011) は同じ方法で銀河円盤の縁を決定した。


 2.データ 

 CASU = Cambridge Astronomical Survey Umit において作られた 単一バンド カタログの位置のクロスマッチから J-Ks 統合カタログを作製した。 用いた 28 タイルに含まれた星の数は三千万個である。解析領域は b = [-1.4, -0.4], [0.7, 1.7], l = [-10. 10] である。  測光較正は 2MASS の測光フラッグ=高精度の星と VVV 星のクロスマッチで 行った。較正された VVV タイルカタログは赤化補正を行い、光度関数が作成 された。





図1.今回得られた減光マップ。 VVV 28タイルが用いられた。

 3.解析と結果 

 減光マップ 

 赤化補正は Gonzalez et al. (2011) と同じやり方で行う。ただし今回は Nishiyama et al 2005 と同じ減光則 AKs/sub> = 0.528 E(J-Ks) を用いる。RC の固有カラーとしては BW で測られた (J-Ks)o = 0.68 を用いる。Nishiyama et al 2005 は RC 個々 の減光を決める方法であったが、我々は 6'x6' 区間での平均減光を求める。 図1に其の結果を示す。

 RC のピーク等級 

 赤化補正した Ks 等級を用い、各タイルごとに光度関数を作り、以下の式で フィットした。



結果を表1に示す。




表1.タイル毎のフィットパラメター
 第2ピーク 

 主ピーク Kso = 13.7 とはっきり異なる第2ピークが存在する。 Nishiyama et al 2005 もこの第2ピークの存在を検出した。Nataf et al 2011 は OGLE データで第2ピークを検出し、それを特異 RGB バンプであるとした。 Gonzalez et al. (2011) では VVV を用いてこのピークを b = -4 まで検出した。さらに銀河面 から離れると、RC の X-バルジ分裂の効果のため、このピークの検出は難しい。 注意したいのは、l が正の方向に増加して行くに連れ、RC 主ピークの等級は 明るくなるのだが、第2ピークの Kso 等級は逆方向に向かうのである。 これは RGB bump では説明できない。

 遠方の種族? 

 これは第2ピークがより遠方の種族に起因すると考えなければ説明できない。 RC 絶対等級を MK = -1.55 とすると、第2ピークは 11.2 kpc に対応する。観測不完全性などの問題が多く追究は今後である。 


図2.b = -1 (左) と b = 1 (右) の代表点における Kso 光度関数。 赤実線=ベストフィット。破線=個々の成分。


 図3=バー位置 

 図3は RC Kso 等級から決めたバーの位置を示す。実線は RC 等級の広がり 0.17 mag と測光誤差 0.05 mag による距離のエラーを示す。
(平均値のエラーはもっと小さい? )


 バー厚みの効果 

 Stanek et al 1994 はバーの厚さにより、 RC 法の見かけ傾き角は実際の値 からずれることを示した。

図3.VVV RC 法によるバー位置。 MK/sub> = -1.55 を仮定。 赤丸: b = -1。黒丸:b = +1. 実線=固有等級散らばりと測光精度 0.17 mag による距離の広がり。白四角= Nishiyama et al 2005 による b = +1 の バー。破線=傾き角 15, 30, 45 ライン。点線=銀経 ±5, ±10.


 4.議論 

 内部バーとメタル量 

 Laine et al 2002 は棒状銀河の 29 % が第2バーを持つと述べている。 我々の独立な観測は Nishiyama et al 2005 の内部バーの存在を確認した。 両者ともに RC の Ks 等級を用いているので、RC MKs のメタル 量依存性が問題となる。Girardi, Salaris 2001 は [Fe/H] の 0.2 dex 変化 に対し、 0.1 mag の変化を生じる。しかし [Fe/H] の変化は短軸沿いにのみ 検出されていて、銀経のよる変化は小さいであろう。
 減光則 

 Nishiyama et al 2005 と同じ減光則を用いたが、これは減光大の領域で 得られた結果である。

 b大領域 

 |b| > 3 では、低銀緯で見られたバーの勾配が寝る傾向は見られない。 これは我々が内側バーを検出したことを支持する。


 5.結論 

 第2成分は向こう側渦状腕? 

 VVV データ b = ±1 を用いて、 |l| < 5 で RC の光度関数に第2 成分が存在することを見出した。この成分の等級変化が主成分と異なることから、 これは D = 11.2 kpc にある独立な構造=向こう側の渦状腕であろう。 に沿って分布することを確認した。
 内部バー 

 主成分は l=-10 で Kso=13.4(9.6 kpc), l=10 で Kso=12.4(6.2 kpc) であ る。しかし、|l| > 4 とその外側とでは傾き角が異なる。 これは Nishiyama et al 2005 が b = 1 で見出した結果を支持する。 我々の結果はバー傾き角 45 を支持する。