Superluminous Giants in Magellanic Cloud Clusters


Flower
1981 ApJ 249, L11 - L14




 アブストラクト 

 LMC の青い星団 NGC 1866 にはコアヘリウム燃焼の黄色、および赤色巨星が 多数存在することが知られている。CTIO 4-m 望遠鏡で撮った短時間露出の写 真乾板から、この星団の中心部の星を調べた。中心コア付近で、他の青い星団 に見られる超光度巨星 = SLGs が 11 個見出された。  これらの星は, コアヘリウム燃焼星より 0.5 等以上明るい。SLGsは 原始惑星状星雲=PPN ではないか?つまり、外層を放出しきった星が、 惑星状星雲中心星へと CMD 上辺を横切っている最中ではないか


 1.イントロダクション 

 マゼラン星雲中の若い星団、NGC 1868, 2156, 2159, 2172 に非常に明るい星 があることを Flower, Hodge (1975) Flower, Geisler, Hodge, Olszewski (1980) が示した。 その他、NGC 2058 には3つ(Flower 1976), NGC 1831 には 10 (Hodge 1963) があるらしい。本論文では NGC 1866 = LMC でも最大の年齢 0.1 Gyr の超高光度星について報告する。



図1.NGC 1866 の光電測光標準星と超高光度星。Aep, Thackeray 1067 に従って 区分けをした。

 2.観測 

 観測 

 NGC 1866 に対し、23枚の B, V 乾板が 1979 年に CTIO 4m望遠鏡で撮ら れた。図1には星団の写真を、図2には星団中心部の CMD を示す。 多くの点で、その CMD は Arp, Thackeray 1967, Robertson 1974 が得た、 外側部の CMD と似ている。

 外側と内側 CMD の類似点 

 外側と内側 CMD の類似点は、主系列、黄色と赤色に集中するヘリウム核 燃焼星、(V, B-V) = (16.0, 1.1) から (15.2, 1.6) へ伸びる弱い AGB であ る。

 超高光度星 

 興味深い差は V ≤ 15.0 でAGB 先端から右に B-V = 0 まで CMD を横 切る 17 個の星である。表1にそれらの測光結果を示す。 NGC 1866 付近の Fodge 1961 による測光は、星団内に 4 - 5 個の超高光度フィールド星が混 入する可能性があることを示す。したがって、全てではないが過半の星は 星団星と見做せる。これまで 8 星団内に 40 超高光度星が見つかっている。 銀河系球状星団 NGC 6624 は X-線源 3U 1820-30 を持つが、その他にも 5個 の超高光度星を含んでいる。

図2.NGC 1866 中心部の CMD. 大きな黒丸=超高光度星。黒三角=外側領域に ある明るい星。Walker 1974 に従い、微分赤化の効果を補正した:領域I, II では、 R(B-V) = 0.11, 領域 III, IV では E(B-V) = 0.05.





表1.超高光度星の測光結果

 3.合体。計算したが個数が少なすぎ。 



 4.post-AGB 進化 

 モデルフィット 

  Flower, Geisler, Hodge, Olszewski (1980) と Hodge 1981 は、超高光度星は post-AGB 星ではないかと述べた。図3には Flower 1977 の BC 補正を使い、観測値を L, Teff に直した HR-図上に、理論 モデルを重ねた。白丸で囲んだ I-28, II-15, II-16, IV-6 は恐らくまだ AGB に 乗っているのではないか。

 寿命評価 

 Δt = 超高光度星期。T = 星団年齢。n = 超高光度星数。 N = 星団数 とすると、Δt/T = n/N である。
(嘘っぽい式だなあ。 )
この式に N = 105, T = 0.1 Gyr, n = 10 を入れると、 Δt = 105 y となる。

図3.マスロスなしで計算した (M, Z, Z, l/Hp) = (5, 0.65. 0.03, 1.5) モデルに NGC 1866 の 巨星と超高光度星を重ねた。 破線=進化の速い時期。丸=本文で触れた4つの明るい AGB 星。