古典セファイドの空間分布に基づいて銀河系の構造を研究した。主な結果は (i) 星間減光の銀経依存は kv=0.90+0.28sin(l+41) (ii) 太陽はセファイドで定義される腕の外側の縁に位置する。 (iii) これは B-型星で定義される局所腕のケースと逆である。 現在のセファイドサーベイは不完全で、特に高銀緯 b > 10 での mv = 7 セファイドはまだ見つかるはずである。 | 太陽は銀河面から 45±15 pc 上にあり、この面は形式的な銀河面に対し 0.8±0.2° 傾いている。この二つの面の交差点は太陽から 5.2 kpc, l = 97° 方向にあり、ノード線がこの方向に直交している。セファイドの z 方向分布は指数関数型でスケール高は 70 pc である。 Ro = 10 kpc を仮定して、 平均周期は 1 day/kpc で減少する。 |
Fernie, Hube 1968 による古典セファイドのカタログは現在得られる正確なデータを集めたもの である。このデータを使って、銀河系構造を研究するのは妥当なテーマである。 | テーマは二つ、(1)空間分布、(2)運動、である。この論文では最初の 空間分布を扱う。運動は Cramton, Fernie を見よ。 |
吸収の南北問題 Fernie 1962 は銀河系南側の星間吸収の強さが北側よりずっと弱いことを 見出した。この現象がリアルであるかどうかの確認には他の天体による研究が 欠かせない。ここではセファイドでその問題を調べる。 星間吸収度の銀経による変化 既知セファイドを銀経 40° 区間に分けて、平均吸収強度/距離を図1に プロットした。R = 3.0 を仮定した。最少二乗フィットの結果は kv=0.90+0.28sin(l+41) mag/kpc であった。 B-型星からの結果とは少し異なる。 |
![]() 図1.星間吸収の距離当たり強度と銀経との関係。 |
![]() 図2.セファイドの銀河面分布。 良く見えない渦状構造 図2にはセファイドの銀河面分布を示す。明白な渦状構造は見えない。 しかし、これは予想されたことである。なぜなら、セファイドは進化の進んだ 星で、赤色巨星段階を過ぎているのだから。長周期セファイドだけにすれば 状況が改善されると期待するかも知れないが、サンプル数が少なくなりやはり 渦状構造が現れない。 しかし、腕がそこにあると事前に知っているので、それを念頭に置いて図を 眺めるとぼやけた腕があることが判る。従って、少なくともセファイドが腕 構造に反した分布を示しているわけではない。唯一通念と反した現象として、 太陽がセファイド腕の外側にあるように見えることがある。一方、早期 B-型星、 銀河星団、 HIIR は腕の内側縁に集中していた Becker 1963 図1、2。この点 に関しては既に、Kraft, Schmidt 1963, Oort 1963 で論じられている。 探査の不完全度 図2の表面密度は太陽から離れるに連れ低下して行く。これを検出率の変化を 示す分布と考え、太陽近傍数百pcを基準にして平均面密度を距離に対して プロットしたのが図3である。距離 5 kpc では 90 % が未検出であることが判る。 光度関数 図4は 1kpc 以内のセファイドに基づいた光度関数である。 探査の徹底 図3はサンプルが不完全なのは、観測装置の限界のためではなく、観測効率と 検出の徹底さに問題があることを示す。現在の装置で成せることは多い。 |
![]() 図3.セファイド探査の不完全度 I と距離の関係。点と実線は観測から。 破線=探査が 14 等まで完全で星間吸収率が 0.9 mag/kpc と仮定した 場合の予想。 ![]() 図4.太陽近傍の観測から導いたセファイド相対光度関数。縦軸 N は 0.5 等 巾に収まる割合。 |
![]() 図5.(a) セファイドの (l, z) 分布。(b) Δl = 60 区間での平均 z 変化。 さそり・ケンタウルス流の影響があるらしい。 ![]() 図6. l = [77, 117] と [257, 297] における平均 z の変化。 |
![]() 図7.セファイドの光度分布。N は その高度から 50 pc 間隔内の星の割合。 ![]() 表1.セファイドのスケール高。 |
![]() 図8.セファイドの (r, |z|) 分布。実線は b = 10 を示す。 |
![]() 表2.銀河中心距離と平均周期との関係 |
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