Galactic Center Extinction: Evidence of Metallic Needles in the General Interstellar Medium


Dwek
2004 ApJ 611, L109 - L112




 アブストラクト 

 ISO による銀河系中心の観測から導かれた減光曲線は 3 - 8 μm で驚く べき平坦さを示した。それはシリケイトとグラファイトダストのモデルから 期待される深い極小とは大きく異なっていた。我々は、その原因として、 金属針が星間空間に存在するという説を提唱する。針が 3 - 8 μm での吸収 にのみ貢献すると仮定すると、それらは長波長カットを 8 μm に有しなけ ればならない。それは長さ・半径比 600 を意味し、 Cas A 内の針の見かけ比 3000 より小さい値である。  星間空間に一様に分布するとして、水素原子に対するその質量比は 5 10-6 と小さく、シリケイトダスト質量の 0.14 % である。 銀河系中心方向の観測からは、金属針がその組成量の低さにも拘わらず、3 - 8 μm 区間の主要吸光源であることを示す。しかし、それらの量は少な すぎて大きな減光は引き起こせないし、針の長さが短すぎ、サブミリでの 放射源にもなれない。


 1.イントロダクション 

 異常減光曲線 

 ISO/SWS 銀河中心観測データの解析から、   Lutz et al. (1996),   Lutz (1999) はシリケイト、グラファイト、PAHからなる標準ダストモデル、   Li, Draine (2001),   Zubko et al (2004) の予想と異なる異常減光曲線を得た。銀河中心方向の減光は 3 - 9 μm で かなり平坦な減光を示した。一方、モデルではその波長帯の減光は深い極小を 示すはずであった。

 異常減光の説明  

  Zubko et al (2004) はシリケイト、グラファイト、PAH 粒子に加えて、シリケイト、有機物、水の 氷、隙間からなる複合粒子の組み合わせから観測減光曲線を導けることを示した。 この論文では別の解釈、すなわち金属針が異常減光を生み出せることを示す。
 宇宙論における針 

 ホイルらは銀河間空間内にある針が星の光を熱化して宇宙背景輻射を作り出す とした。このラインに沿った話は色々ある。

 針の提案 

 ここではもっと穏やかに、ダスト成分としては少数派の針が 3 - 8 μm で は主な吸収源となることを述べる。Dwek 2004 は最近 Cas A 方向からのサブ ミリ波放射の原因として金属針モデルを提案した。Kemper et al 2002 は OH/IR 星 OH 127.8+0.0 の 3 - 8 μm SED を説明するために非球状金属粒子 を提案した。


 2.針の性質 

 光学的深さの式 

  距離 L までの光学的深さは次式で与えられる。



ここに、j = ダスト種、fj(a) = j-種粒子の半径分布、 κj(&lambda, a) = 質量減光係数、ρ d, j(a, s) = 半径 a の j-種ダスト質量密度である。
式1は次のように書き換えられる。

  τ(λ) = Σκj(&lambda)Md,j(LOS) = Σκj(&lambda)ρd,jL  (2)

ここに、κj(&lambda)はグレインサイズで平均した値、 Md,jは j-種ダストの質量コラム密度、ρd,j は 星間空間中での平均質量密度、 L は視線に沿った距離。

 金属針 

 Hoyle, Wickramasinghe 1999 によると、a = 0.01 μm の針の質量吸光率は 2 μm で 2×105 cm2g-1, 5 μm で 5×105 cm2g-1, 10 μm で 9×105 cm2g-1 という低い値から、 30 μm で 30×105 cm2g-1, に達する。銀河中心方向の減光は針に大事な制限を掛ける。図1を見ると分かるが、 針の吸収が長波長側にそのまま伸びると 20 μm 付近で必要吸収の3倍くらい 大きくなってしまう。カットオフ波長 λo ≤ 8 μm の必要がある。 λo は下の式で与えられる。
λo = 1 ρRc (l/a)2
2 ln(l/a)


(l/a) = 580, 金属低効率 1 10-6 Ωcm = 10-18 s

図1.細実線= Zubko et al (2004) の BARE-GR-S モデルが予言する減光曲線。一点鎖線=PAH 減光。 点線=グラファイト。短破線=シリケイト。金属針=長破線。 太実線=BARE-GR-S モデルに針を加えた減光曲線。




 3.議論 

 存在量 

 略する。
 結論 

 比較的短い金属針は 3 - 8 μm 減光平坦部をよく再現する。