Luminosity Functions of Disk and Halo Populations in SA 51, SA 57, and SA 68


Chiu, L-T
1980 AJ 85, 812 - 823




 アブストラクト

 V/Vmax 法を用いて、 SA 51, 57, 68 における種族 I 主系列星、種族 白色矮星、種族 II 準矮星の光度関数を調べた。種族 I 主系列星の光度関数はスケール 高 z0 の取り方で変化する。  V/Vmax 法から許される z0 の範囲は 300 - 500 pc である。運動学の考察から適当な値は z0 = 500 pc である。種族 I 白色矮星の空間密度は 2 × 10 -2pc-3、スケール高は 400 - 500 pc である。近傍での 種族 II 天体の密度は 3 × 10-4Mo pc-3 である。

 2. V/Vm 法 

 光度関数を求めるには、 Schmidt 1975 の V/Vmax 法を利用する。私はこの方法を非一様な分布にも拡大した V'/V'max 法を 開発した。密度一様な場合には

     Vmax = ω∫0rmax R 2dR

で与えられ、総密度は $Sigma;(1/Vmax) となる。

 非一様な場合、D(R) を相対密度として、( D(0) = 1 である。)

     V' = ω∫0r D(R) R 2dR

     V'max = ω∫0rmax D(R) R 2dR

その星の近傍数密度を ν0 とすると、その星の期待値は ν0V'max である。この重み付き極大体積内の星一つは近傍密度 1/V'max に対応する。総局所密度は Σ(1/V'max) である。



 3.光度関数と密度分布 

 3.1.種族 I 系列 

 Schmidt 法の改良 

  Chiu 1980a では、Schmidt 1975 の方法 Schmidt 1975 の方法を改良し、星の一つ一つにその星がある種族 P、ある光度クラス L に属する 確率 p(L,P|Hv,B-V) を与えた。ここに Hv は整約固有運動である。近傍密度は Σ[p(L,P|Hv,B-V)/V'max] で与えられる。

 密度則 

 V' の計算には密度則 D(R) が必要であった。ここでは 密度則に、 (ω0/ω)nexp(-z/z0) の形を仮定し、次の二つの密度則を検討する。

ケースA:n = 2, z0 = 300 pc. z 方向速度分散 σz = 20 km/s

ケースB:n = 4, z0 = 500 pc. z 方向速度分散 σz = 33 km/s

強調したいのは、このやり方は仮定した密度則から光度関数を導いていることである。 (V'/V'max) 法を使うどんなモデル(上の A, B を含め)でも、もし密度則とそれから 導かれる光度関数を使えば星計数は再現できる。したがって、星計数だけからあるモデル がよいという結論は出せない。

 各領域での光度関数 

 図1a-c に光度関数を示す。四角はモデルA,丸がモデルB、実線は Wielen である。最も明るい Mv = +2.5 は種族 I 巨星と準巨星からの寄与である。最も 暗い側では白色矮星からの寄与が加わっている。注意しておくのは光度関数の等級 毎に異なる距離からの星が寄与していることである。





図1b. SA 57 からの種族 I 星の光度関数。最も明るい星は巨星と準巨星。
    実線は Wielen 光度関数。四角=モデルA、丸=モデルB

図1a. SA 51 からの種族 I 星の光度関数。最も明るい星は巨星と準巨星。
    実線は Wielen 光度関数。四角=モデルA、丸=モデルB




図1c. SA 68 からの種族 I 星の光度関数。最も明るい星は巨星と準巨星。
    実線は Wielen 光度関数。四角=モデルA、丸=モデルB


 種族 II 光度関数 

 種族 II の光度関数を求める際に、楕円体の軸比もフリーパラメターとして 考える。表9には (V/Vmax) テストの結果を載せた。0.4 < ⟨V'/V'max⟩ < 0.6 を許容範囲としても、軸比 h=1, 2 と n = 2 のモデルは全て不適当と なる。n = 2 が拒否されたことは Ostriker, Peebles, Yahil 1974 が提案した マッシブハローとは違うことを示す。軸比 h が 3, 4 というほど大きいことは驚きで ある。n = 3, h = 4 の組み合わせは3領域すべてで適当な ⟨V'/V'max⟩ を与える。


表9.準矮星の ⟨V'/V'max⟩
図2にはこの組み合わせで得た楕円体種族の光度関数を 四角=SA 51、丸= SA 57、 三角= SA 68 で示した。目立つ特徴は SA 51 の光度関数が 6 倍くらい大きいこと である。楕円体光度関数としては、これを除いて、SA 57 と SA 68 の平均を採る ことにした。最終的な光度関数はここに求めたものを Mv = 4 - 10 等に、Schmidt のそれを規格化してから Mv = 10 - 12 等に使用することとした。


図2.準矮星の光度関数。四角=SA 51、丸= SA 57、三角= SA 68。実線は Da Costa による NGC 6397.


 種族 II 星の結合光度関数 

 得られた種族 II 星の結合光度関数は Mv = 7 - 12 で種族 I 光度関数とよく 似た勾配を示すことが判る。Mv = 4 - 12 の種族 II 星空間密度は (4-5) × 10-4 pc-3 である。種族 I では Mv = 4 - 12 の外に約 30 % の星が存在するので同じ補正を施し、種族 II 星の全空間密度は 6 × 10-4 pc-3 である。種族 I は 0.11 - 0.13 pc-3 なので、規格値は 0.5 - 0.6 % である。

図3.種族 II 星の結合光度関数。上は Wielen 光度関数。