アブストラクトSA 51, 57, 68 における V < 20.5 の星の固有運動が 25 年の間隔で測られた。 写真乾板からの V, B - V と固有運動を用いて、整約固有運動ダイアグラムを作った。 このダイアグラムに基づき、星を確率論的に種族と等級クラスに分類する方法を提示する。 理論尾根線をフィットして、種族I主系列は太陽近傍に比べて、大きな速度分散と 低メタルを有することが判った。組成勾配が導かれた。 |
5.星の種族と光度クラスの分類5.a. 整約固有運動整約固有運動の定義整約固有運動は Luyten 1922, 1939 により広範に使用された。この有用性は それが、減光以外では、距離に依らない点にある。その定義は、 Hv = V + 5 log μ + 5 = Mv + 5 log T - 3.378 ここに、T は直交速度 km/s である。二行目から、Hv は恒星の固有量 Mv と T のみによることが判る。 |
整約固有運動による分類 Jones,E.M. 1972 は整約固有運動ダイアグラムを使って ブライトスターカタログの 星を分類した。さらに簡単な二成分モデルを使って、Jones はダイアグラム上に グループ毎に尾根線を引いた。この論文では Jones の仕事を次のように拡大する。 (1)直交速度 T をより正確に表現するため、速度楕円体を用いる。RA, Dec 依存性 も考慮する。 (2)Jones は種族を表現するのに単純な曲線を引いただけだった。ここでは、異なる 種族と高度クラス毎に Hv 分布を与える。こうして個々の星にそれがどの種族に 属するかのベイジアン確率を与える。 (3)固有運動の方向を示す位置角も考慮する。 分類の結果 こうして、Hv の分布を各種族毎に計算した。図3は B - V = 1.5 における 例を示した。HR 図では種族 I 主系列は種族 I 巨星と 10 等離れているが、 この分離は整約固有運動図でも保存される。この事実が晩期型星での光度クラス 分類の基礎となる。(Mv, B-V) 図上では種族 II 巨星は種族 I 巨星より 2 等 明るい。整約固有運動図ではその差は 2.3 等となる。図3を見ても分離はやや 弱いことが判る。 5.e. 整約固有運動分布のモデルと観測の比較図4には、図3に現れるピークをつないで作った各種族の尾根線を観測と重ねた。 |
領域は SA 51 である。種族 II 系列はかなり良く観測と一致している。これは
RR Lyr 星の速度分散と M92 の色等級図が実際にマッチしていることを示す。
モデルと観測が最もずれるのは種族 I 主系列線が観測の 1.2 等上に引かれた
ことである。同じ傾向は SA 57, SA 68 でも見られる。 その解決のため、 速度分散の変化とか、色等級関係の変化とかいろいろ考えて合わせている。 しかし、ちょっと発散。 ![]() 図3.B - V = 1.5 における Hv 分布。 |
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