Reduced Proper Motion Diagrams


Jones, E.M.
1972 ApJ 173, 671 - 676




 アブストラクト

 固有運動のある星の測光データと視差データを用いて、 H-R 図と似たダイアグラム を作った。図上に4つのグループが現れた。それぞれは、クラスIII, クラスV, クラス sd、 と白色矮星である。この図から赤い縮退星の位置が予言された。準矮星と 分類されていた星が 0.1 Mo の縮退星である可能性がある。それらは "Eggenities" として分類されていたかもしれない。

 1.イントロ 

 整約固有運動の概念 

 整約固有運動は Hertzsprung が始め、Luyten 1922 が盛んに使った。定義は

     H = m + 5 log μ +5 = M + 5 log T

ここに、μ = 固有運動(arcsec/yr)、T = 直交速度(AU/yr) である。 Strand 1971 の視差を持つ暗い星のHR図を見ると、白色矮星の系列が Mv = 15, B-V = 1.0 まで伸びている。一方、準矮星主系列は Mv = 8.5, B - V = 1.0 までで、主系列の1等下にある。もう一つ Eggen 1971 の言う系列(Eggenites)も Mv = 12, B - V = 1,0 付近に見える。



 3.議論 

 整約固有運動 H の分布は5つの群れになる 

 図1は ブライトスターカタログで固有運動天体の (H, B-V) 図である。 図には明らかな群れが5つ見られる。分光データから判断すると、それらは 左から、白色矮星、準矮星、が並び、MK クラス V, VI は中央の長い系列、 MK クラス III, II, Ib, Ia が二つの群を成している。








図1.ブライトスターカタログの 8000 星の整約固有運動 H の分布。
 各群れの特徴 

 図2には標準的な解釈が示される。各グループには AQ(1963) からの絶対等級を 付けた。その際、白色矮星、主系列星、巨星には T = 6.33 AU/yr (5 log T = 4), 準矮星には T = 100 AU/yr (5 log T = 10) を仮定した。

準矮星だけ他より下にずれるが、あとは色―等級図と同じ

一つのグループ内で T が大きくなると、実線の下になる。白色矮星では暗くなると 冷却タイムスケールが長くなる。赤い白色矮星は古く T が大なので、下に出る。同じく 主系列でも青い星は上に、古い赤色矮星は下にはみ出る。巨星が二つに分かれるのは 恐らく、進化タイムスケールの詳細にその原因があるのだろう。

 レッドクランプは意識されていなかった! 


図2.AQからとった巨星、主系列星、準矮星、白色矮星の系列。



  



 図3には M3 と M 67 の色等級図に T = 100 AU/yr を仮定して 重ねた。この図は準矮星が球状星団の主系列星と同一であることを 示すために作った。




図3.Sandage 1957 からとった M4, M67 の系列。


 図4は図2と3を合わせたもので、「種族 I 白色矮星」のラベルのついた曲線は B - V = 0 で図2の白色矮星ラインと合うように、観測点を近似した。 「種族 II 白色矮星」のラベルのついた曲線はそこから δH = 6 ずらしたもの である。これは準矮星から来た最も古い白色矮星の系列と考えられる。


図4.可能な解釈。種族 I 系列は T = 6.33 AU/yr、 種族 II 系列は T = 100 AU/yrを仮定。


 他の解釈として、低質量白色矮星の冷却曲線が普通白色矮星の上にくる という、 Chin,Stothers 1971 の計算がある。図5はその星に T = 30 km/s を仮定して描いたものである。


図5.0.1 Mo の線は、0.1 Mo 白色矮星の系列。
 図6は Eggen の低質量縮退星をプロットした。
赤色の白色矮星がなぜこの図にないのだろうか? Strand 1971 によると、それらは M = 15, B - V = 1 になる。図4の白色矮星系列を 伸ばすと、H = 23 に相当する。


図6. Eggen の低質量縮退星。