シグナス(lI = 40) から太陽を通り、オリオン (lI = 170 - 180) 方向に流れるオリオン腕に反対である。 シグナス(lI = 40) から太陽を通り、カリーナ(lI = 255) へ抜けるカリーナ・シグナス腕を提案する。 | OB 星、セファイド、その他の若い種族 I 天体の分布を調べると、我々の 提案がデータの自然な解釈になっていることが判る。 |
定説の腕に反対 Oort, Kerr, Westerhout 1958 のまとめでは、銀河系の腕は以下の通り。 (i) オリオン腕。lI = 40 から太陽を通り、lI = 170 - 180 方向に流れる。 (ii) ペルセウス腕。lI = 50 D = 3.5 kpc から lI = 100 D = 2.2 kpc へ伸びる。 (iii) サジタリウス腕。 Morgan, Whitford, Code 1953 が OB 星の分布から、lI = 310 D = 1.4 kpc から lI = 0, D = 6 kpc へと示した。 (iv) 3 kpc 膨張腕。最近 Oort, Rougoor が発見。 |
カリーナ・シグナス腕の提案 しかし、ペルセウス腕、 3 kpc 腕は良いとして、オリオン腕とサジタリウ ス腕は認めない。私の提案は、カリーナ・シグナス腕 である。この腕は lI = 40 から太陽を通り、lI = 255 へ伸びる。 太陽と石炭袋はこの腕の内側に位置する。この腕からは3本の枝、オリオン スパー、メンドーザのスパー、ベラスパーが突き出ている。 支持天体 lI = 40 では D = 2 kpc まで、 lI = 255 では D = 4.5 kpc まで OB 星、星団、放射星雲、古典セファイドが追尾できる。電波 でもカリーナとシグナスの構造ははっきり分かる。 |
OB星 Bok 1951, Becker 1956 は lI = 250 - 265 方向に遠い OB 星 が集中していることに注意した。Hofflet 1956 はカリーナ-南十字-ケンタウルス O, B-星集合は、距離 1 - 4 kpc と非常に深いことを見出した。彼女はこの 結果を、 lI = 250 - 265 方向で3本の腕を横切るためと考えた。 しかし、今の目でみると、一本の腕を貫く方向に見ていると考える方が自然で ある。この方向の偏光観測はかなり乱れた状況を報告しているが、それも渦状腕 を縦に見ていると考えると理解しやすい。この見方に合う報告として、Bok, Wijk 1952 は lI = 250 の OB 星集合の縁は本物であり、減光のせいでは ないと述べている。 古典セファイド Walraven, Muller, Oosterhoff (1958) はこの分野の現況をまとめている。彼の図12を見ると、 古典セファイドが lI = 250 - 265 方向に集中しており、その 距離分布が 0.5 - 5 kpc と広いことが判る。セファイドの分布は lI = 270 - 340 方向で低下し、 lI = 340 - 350 に再び集合が現れる。 そこでは集合が二つあるのかも知れない。一つは 100 pc 以内で、カリーナ シグナス腕の内側部に属し、もう一つは 2 kpc にありサジタリウス腕に属する のであろう。Torgard 1954 は lI = 80 - 175 のセファイドがぼん やりとした渦状腕風の分布をしていると述べた。同じことがライデングループ の南天セファイド研究にも言えるのかも知れない。 他の種類 Bok 1956 はその他の多くの種類の種族 I 天体がカリーナに集中している ことを注意した。この区画には B8 - A0 星が非常に多い。その距離 0.5 - 1.5 kpc の間で空間数密度が高くなっている。この値 (1.5 kpc のこと?)は探査 限界である。若い星の銀河星団と輝線星雲もこの区域には多い。 種族 I 天体が多い 全ての証拠は lI = 250 - 265 方向で種族 I 天体が異常に多い ことを示している。これは我々が腕を縦に見ているせいだという結論から逃れ ることは難しい。 |
可視天体で腕を追跡する 銀河系の局所腕構造のように複雑な問題を扱う際には作業仮説を持っている と便利である。そこで、図のようなモデルを考えた。これは太陽から 5 kpc 以内の銀河系構造を示す。斜線は Oort, Kerr, Westerhout 1958 と Kerr, Hindman, Stahr-Carpenter 1957 による HI 観測の結果を示す。可視天体の 集団を図上に描きこんだ。使用したのは、 (i) OB アソシエイションと OB 星集団は個々には示していない、主グループの 平均位置を Morgan, Whitford, Code (1953), Hoffleit (1956), Mendoza (1958) から採ってきた。 (ii) 銀河星団の基本データは Becker, Stock 1958 から採った。彼らのサーベ イは lI = 334 - 206 の間である。残りの区間は Trumpler の古典 的論文 1930 に頼った。ここでも星団集合の中心位置をプロットした。古い星団 と若い星団はある程度まで混ざっている。しかし、なるべく若い星団の集団を 選んだ。 (iii) ペルセウス腕と我々が属する腕とは、 Munch 1957 の星間吸収線データで 明瞭に区切られている。彼の論文のグラフ5から読んだ位置をいくつかの銀経方向に 付いて書いた。南天の観測は始まったばかりである。 (iv) セファイドデータは全て、 Walraven, Muller, Oosterhoff (1958) の図12 から採った。Torgard 1954 の北天セファイドの図にはペルセウス腕とシグナス 腕にオリオンスパーが付いているのまで見えていると彼女はいうが、図に正確な スケールが抜けているので使えない。 腕の傾き 現在認められている、サジタリウス・オリオン腕は太陽-銀河線に対して 50° の傾きを持っている。これは電波データが銀河中心をまわるほぼ円形の 腕を示していることと大きく反している。ところが今回示した腕は円形から僅か にしかずれず、電波データとの一致がはなはだ高い。。 セファイド:後記 セファイドの分布に関しては Rev Mod Phys 30, 914 (1958) にはカリーナ腕 がセファイドと HI ではっきりと描かれていた。Johnson 1957 PASP 69, 130 と 1957 AJ 62, 19 で銀河系が棒銀河だからという説を述べている。 |