ヨハネスブルグにあるライデン観測所ロックフェラー天体測光器により、南天
セファイドの青、黄色光電測光を行った。観測は 12 等まで完全である。
ケープ S システムの固有カラーと周期の間に SCImax = +0.01 + 0.10 log P 色超過と減光の関係を論じた。それから決まった 184 セファイドの距離は表 13に載せた。 | 図12にはセファイドの銀河面上の位置をプロットした。最も興味深い特徴は 銀河中心方向約 600 pc 付近にセファイドが集積して見えることである。これは カリーナ腕の連続となっているように見え、明らかにサジタリウス腕とは異なる。 サジタリウス腕自体は多数のセファイドを含む。 |
銀河面高度 z 表13のセファイドに対し、z = 銀河面高度を計算した。この際銀緯でなく Westerhout (1957) の新しい銀極を使用した。z は表13の第14列に載せた。 最後の2列にアステリスクが付いているのは、種族 I セファイドと仮定しての 距離 r と 高度 z である。彼らが種族 II だとそれらの値は半減する。 高度 セファイドを5つのグループに分け、重みを付けてグループ値の平均を 求めると 〈z〉 = -23.9 pc ±5.5 これは、 Westerhout (1957) が求めた太陽の銀河面高度 +26±7 pc と 整合する結果である。 第1セファイド群 lI = 250 - 270 図12で最もはっきり見える特徴は lI = 250 - 270 のセファイド 群である。その多くは竜骨(カリーナ)座に属する。それらの距離が広い範囲 にまたがるのは視線方向がカリーナ腕を縦に貫く所為と解釈される。距離 4 kpc で検出限界に達してセファイドの数は急減する。このため、その先へカリーナ腕 を追跡することは難しい。 |
lI = 260 - 20 カリーナ腕通過 逆にこの腕を追って、太陽に近い方へ来ると興味深い現象が起きる。 lI = 250 - 320 では r = 1 kpc に一つもセファイドが見つから ないが、カリーナ腕は lI = 260 - 20 で太陽から 0.6 - 0.7 kpc の所を通過している。この区間のセファイドの多くはいて座(サジタリウス)に 属する。しかしこのセファイドの大集団は Schmidt 1957 が名前を与えた サジタリウス腕には属していない。 太陽と腕 多くの研究から太陽はオリオン腕の縁付近に位置するとされている。 この腕は lI = 150 で太陽から 600 pc の所を通っている。した がって、もしもセファイドが渦状腕に集中しているなら、これはほぼ確かと思わ れるが、太陽はオリオン腕とカリーナ腕の中間にあるようだ。我々のカタログ は lI > 20 のセファイドを欠くので、この腕が先でどうなって いるか不明である。4つのアソシエイション、 I Vul, I, II, III Cyg はこの 腕と連続しているようである。しかし、Schmidt 1957 の乾板B ではこの腕は オリオンとサジタリウス腕の中間で途切れている。 |
第2セファイド群 lI = 290 - 10 lI = 290 - 10, r = 1.5 - 2 kpc には第2のセファイド集団が ある。これらはシュミットのサジタリウス腕の連続であろう。興味深いのは7つ のアソシエイションがセファイド群と重なってあることだ。一方、lI = 310 - 350 の8つのアソシエイション中、7つがサジタリウス腕の連続をなし、 たった一つ II Sco のみがもっと近い、おそらくカリーナ腕の連続に属している。 それなのに、どちらのセファイド群も同じくらいの数を含んでいるのは不思議で ある。 lI = 320 - 20 セファイドの比較 そこで、lI = 320 - 20 のセファイドについて少し詳しく調べた。カリーナ 腕にはほぼ完全に O-アソシエイションが欠けており、サジタリウス腕には7つの アソシエイションがあるという事実は、二つの腕に属するセファイドの平均 年齢が異なる可能性を示唆する。そうであれば、二つの群の間で周期分布に違い がでるであろう。明らかに、遠方の集団の方がカリーナ腕の延長集団より銀緯 の散布度は小さい。その違いは平均距離の比から予想される値より大きい。 ただしこの点に関しては、銀河系中心方向のセファイドの大部分は westerhout の新銀河面の南側で見つかっていて、これが北側の強い減光のためかも知れない という可能性を考慮する必要がある。 ![]() 表.lI = 320 - 20 の二つのセファイド群の性質 |
観測限界によるバイアス 表からはサジタリウス腕のセファイド周期はカリーナ腕セファイドより長い 事が分かる。カリーナ群の 19 セファイド中、周期が 10 日より長いのは2個 である。一方サジタリウス群の17星中7星が周期10日以上である。これは サジタリウス腕にはアソシエイションが付随していてセファイドも比較的に 若いことを示しているように見える。しかし結論には慎重である必要がある。 近いグループの平均等級は 7.04, 遠い方は 10.72 である。観測の限界は 12.0 なので、サジタリウス腕に属する短周期セファイドは観測にかからず、従って 平均周期の差の原因の一部は選択効果がある。 深い観測の必要性 より暗いセファイドの観測を行って、二つの腕のセファイドの性質差を比べる ことは非常に面白い。もし観測が 14 等まで深まれば、ここで述べた疑問は完全に 答えられるだろう。 lI = 200, 209 の二つのセファイド群 大犬座、とも座(Puppis) 方向 lI = 200, r = 2.4 kpc と 209, r = 4.1 kpc にはやや孤立した 二つのセファイド群が存在する。低銀経側に延びているかも知れないがデータがない。 これらは Westerhout (1957) の乾板 A, B にはっきり見える腕に一致する。 lI = 236 方向 カリーナ腕は Kerr, Hindman, Stahr Carpenter の図1で最も目立つ特徴の 一つである。しかしこの図では lI = 236 方向、 r < 4 - 5 kpc には腕の兆候が見られない。ところが我々の図では r = 0.5 - 2.0 kpc に1 ダースほどのセファイドが見出される。これらはオリオン腕の延長に属する可 能性がある。 lI = 300 - 340 lI = 300 - 340 には r = 2 kpc にたった一つのセファイドがある だけである。これは他の銀経方向では 5 kpc かもっと遠くのセファイドが見える のと大きな違いである。この原因はおそらく銀河中心方向での強い減光のためであろう。 これから 本研究により、セファイドが銀河系構造の詳しい研究に向いていることが判った。 より深い探査が必要である。r = 4 kpc ではほぼ全てのセファイドが銀河面の 2° 以内に存在する。従って銀河面に沿った狭い領域で十分である。 何にもまして、北半球の観測が望まれる。 |