2009年12月3日-12月6日

宙博(そらはく)2009 SolarTAOブース サイエンスショートトーク

SolarTAOプロジェクトに関する専門家を招き「サイエンスショートトーク」と題した講演会を行いました。 会場からは大人から子供まで多くの質問が出て活気のあるやりとりが行われました。

サイエンスショートトークの様子 サイエンスショートトークの様子

サイエンスショートトークのプログラムは下記をご覧ください。

12月3日11:30-12:30 記者発表 「アタカマ望遠鏡、波長38ミクロンの赤外線を地上から世界初観測」
 吉井 讓、宮田 隆志、三谷 夏子(東京大学大学院理学系研究科)
世界最高地点に建設されたアタカマ1m望遠鏡は、波長38ミクロンの光を地上から捉える事に成功しました。 これは地上でとらえられた赤外線の中で最も長い波長です。新しい赤外線が観測可能になったことで、 これまで不明であった宇宙の冷たい領域を詳しく調べることが可能となります。 詳しくはこちら
14:20-14:55「科学っておもしろい!と思う理由〜世阿弥の言葉〜」
 横山 広美(東京大学大学院理学系研究科)
遠い宇宙の果てを知ることで私たちは感動し、心が豊かになります。こうした心の動きはどこからくるのでしょうか? 人がおもしろい!素晴らしい!と感じる心のメカニズムについては600年も前に、日本の伝統芸能である「能」 を確立した世阿弥によって言いあてられています。科学に感動する心の動きと世阿弥の言葉『秘すれば花』について紹介します。
16:20-16:55「砂漠太陽光発電の拓く未来社会」
 藤岡 洋(東京大学生産技術研究所)
砂漠に太陽光発電所を増殖させ、超伝導送電網によって消費地にエネルギーを供給する砂漠太陽光発電計画について分かり易く解説します。 具体的な例としてサハラ砂漠におけるサハラソーラーブリーダー計画とアタカマ砂漠におけるSolar TAO計画を取り上げ、 その現況と将来展望を議論します。
12月4日11:20-11:55「いよいよ本格始動!超電導技術の今」
 筑本 知子(国際超電導産業技術研究センター)
抵抗0という特性ゆえ「究極の省エネルギー技術」といわれている超電導。1986年の酸化物超電導材料の発見から23年が経過し、 いよいよ実用化研究が本格化してきています。ここでは、送電ケーブルなどのパワー応用分野をとりあげ、 世界中で激化している材料及び応用開発競争の現況と将来への展望 をご紹介します。
14:20-14:55「世界最高地点の望遠鏡で見る暖かな宇宙」
 宮田 隆志(東京大学大学院理学系研究科)
TAOは世界の天文台の中で最も高い場所にある望遠鏡です。砂漠のからからに乾いた天気に加え、気圧はわずか0.5気圧しかありません。 この抜群の観測条件を活かせば、今まで見えなかった「暖かな宇宙」を見ることができます。 世界最高標高の望遠鏡から見る「暖かな宇宙」とはどんなもので、どんな謎が秘められているのでしょうか?
16:20-16:55「フィルム基板薄膜Si太陽電池」
 床井 和世(富士電機ホールディングス株式会社)
富士電機は、耐熱性プラスチックフィルムを基板としたロール・ツー・ロールプロセスによる、 アモルファスシリコン系フィルム太陽電池の量産技術を確立し、熊本工場で生産を行っています。 本講演では、薄膜Si太陽電池の紹介と、デバイス構造や製膜装置などの各種技術も紹介します。
12月5日11:20-11:55「アンデスの空に地球の起源を探る」
 酒向 重行(東京大学大学院理学系研究科)
Solar TAOの拠点となるオアシス都市サンペドロ・デ・アタカマは、南米チリのアンデス山脈に広がる、アタカマ砂漠にあります。 近くの丘から見下ろすと、町は広大な乾燥大地に浮かぶ緑の島のように見え、それはさながら宇宙空間に浮かぶ青い地球のようでもあります。 46億年前、地球は無数の砂粒からなる雲の中で生まれたと考えられています。私達は今、澄みきったアンデスの空に赤外線の目を向けることで、 地球誕生の謎を解く手掛かりを探っています。この地球は誕生時にどのような姿をしていたのでしょうか? 私達の研究の取り組みを最新の成果を交え、分かり易くご紹介します。
14:20-14:55「21世紀は超伝導を使いこなす時代」
 下山 淳一(東京大学大学院工学系研究科)
超伝導体の電気抵抗ゼロの性質を生かした超伝導材料応用は、省エネルギー、低炭素社会実現への有力な手段として期待されています。 講演では、超伝導現象の特徴と、近年、急速に進歩している高温超伝導材料開発とその応用について、わかりやすく説明します。 さらに、アタカマ砂漠における望遠鏡(Solar-TAO)用の発送電設備など、自然エネルギー活用における超伝導応用の将来展望を紹介します。
16:20-16:55「宇宙は真空じゃない」
 半田 利弘(東京大学大学院理学系研究科)
宇宙は真空で空気がないといいます。しかし、厳密にいうと極めて希薄なガスが存在します。 その存在を知ることで人類の宇宙観は大きく変わりました。このガスやそこに混在する塵はどうやって 観測するのか、それらは宇宙の中でどのような役割を果たしているのかについて楽しくご紹介します。
12月6日11:20-11:55「謎が渦巻く天の川銀河とその中心」
 半田 利弘(東京大学大学院理学系研究科)
夜空に延びる天の川。その正体は何千億という星の集まりです。その全体はどのような形をしているのか、 その中心では何が起こっているのか…。こうした疑問には目に見える光で観測しても迫ることはできません。 現代天文学が明らかにしたその答えをお話ししつつ、まだまだ解けない謎が数多く残っている天の川銀河とその中心について 楽しくご紹介いたします。
14:20-14:55「アタカマ紀行」
 岩野 久香(国際航業株式会社)
天文台の建設地はチリ北部の広大なアタカマ砂漠の中です。砂漠といっても標高は4000mを超えています。 砂漠にはいくつかの山が点在し、TAOはその中でも最高峰となる標高5600mのチャナントール山に建設されました。 今回は、アタカマ一帯の風土や建設の様子を紹介します。
16:20-16:55「天文学者は高い山でなにを考える〜赤外線天文学最前線〜」
 本原 顕太郎(東京大学大学院理学系研究科)
目で見えない光、赤外線。でも今や、塵に隠された星の生まれる現場からはるか100億年以上昔の宇宙の姿まで、 いろんなところ探るのに欠かすことができない天文学の武器です。 そして、その観測のため、最新鋭の天文台のほとんどが高い山の上に建設されるようになりました。 でも、なぜ高いところを目指すのでしょう?そもそも赤外線で何がわかるのでしょう? その理由を含め、最新の赤外線天文学事情を分かりやすく解説します。